2021/10/29に、TOYOTAは、バッテリEV新型車「bZ4X プロトタイプ」を公開しています。
2021/11/09のCar Watchなどでも、「bZ4X プロトタイプ」は、取り上げられていますが、実際の販売は、2022年半ばで、想定価格、想定生産台数は公開されていません。
2021/11/12の JIJI.COMによると、「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、2040年までに新車販売を全て電気自動車(EV)など走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」とする宣言に、二十数カ国が合意した」そうです。これには、日米中などは不参加ですが、日本の自動車メーカーは、2040年でも、早すぎるという反応です。
日米中の3各国は、不参加ですが、状況は大きく異なります。
米国では、テスラが、2021年上半期の世界販売(納車)台数を38万6050台としています。
2021/11/11のニューズウィークで、丸川知雄氏は、「中国では2021年1~9月にトップだったBYDと2位の上汽GM五菱は生産台数が28万台、3位のテスラ中国は21万台と、一般の自動車メーカーに匹敵するような大量生産を行うEVメーカーが輩出している」といっています。丸川知雄氏は、更に、「自動車の生産には規模の経済性があり、一般には1工場で年間10万台以上組み立てる規模があれば効率的である。日本の場合、2019年には純電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)を合計しても、全体で販売台数が3万8585台しかなかった」といっています。
つまり、2021年の時点で、10万台以上の生産をしているEVメーカーは、テスラ、BYD、上汽GM五菱の3社があります。
中国では、2021年現在、1台あたり1.3~1.8万元(23~32万円)出ている補助金が22年には削減され、23年には撤廃される見通し(丸川知雄氏による)です。
テスラは、2020年には、CO2の排出権取引による売却益15億8000万ドル(約1700億円)を得ています。このお金は、大手自動車メーカーが支払っています。
つまり、EVは、補助金や、排出権取引による売却益をつかって、これらがなければ、赤字の価格で、EVを販売して、生産を拡大する生産モデルをとっています。
似たような構造は、Googleのクラウドサービスに当てはまります。Googleは、2021年は赤字を覚悟で、シェア拡大を目指し、販売量が増えて、初めて、黒字になるビジネスモデルを採用しています。
テスラの排出権取引による売却益も、大手自動車メーカーが、EVにシフトすれば、入らなくなります。テスラは、その前に、量産効果で、価格を下げる計画と思われます。
これから、2023年には、テスラ、BYD、上汽GM五菱の3社は、補助金や、排出権取引による売却益がなくとも、低価格の販売で、収益を上げられるようになっていると思われます。
トヨタは新型EV「bZ4X」を22年半ばから世界の主要市場に投入します。
2021/11/12のベストカーによると、「中国で2020年7月に発売されたマイクロミニサイズの宏光MINI EVは、45万円~60万円という衝撃の低価格で、発売からわずか1年の2021年第2四半期においてはEVを含む乗用車で、1位の日産 / シルフィに続く2位に名前を連ね」ています。
これが、市場拡大のレコード・ホルダーです。
2021年の中国のEV生産は、300万台を突破しそうで、日本の自動車販売台数が1年間で520万台(2019年)の半分に達しています。
トヨタの新型EV「bZ4X」は、低価格ではないので、2023年中に、10万台以上の生産に達するのは難しいと思われます。
トヨタの新型EV「bZ4X」の発表資料を見ても、セールスポイントが、はっきりしません。
COP26は、2040年までに新車販売を全てEVにする目標ですが、実際には、2023年に、それなりの生産台数に達しないと、EV生産のレースに、残れないと思われます。
トヨタが、米国に自動車を販売し始めた頃を、思いだせば、米国では、日本車は、おもちゃのように小さく頼りない自動車という印象を持たれていました。
その後、ガソリン価格があがり、排気ガス規制が強くなって、日本車は、環境によいという評価に変わります。それは、現在の日本車に対する宏光MINI EVを連想させます。
アイリスオーヤマであれば、アイデアから成製品までのタイムラグは3か月です。
アイリスオーヤマについては、以下で、検討しています。
アイリスオーヤマの研究(2)2021/09/21
アイリスオーヤマの研究(1)2021/09/19
トヨタの新型EV「bZ4X」の発表から、販売まで、1年というタイムラグは、かなり大きいです。
ここには、できるだけ、早く、安い自動車を作って、競争するという視点は希薄です。
今回の衆議院選挙では、トヨタ労組は、野党から、自民党支持に転じました。
これから、見ると、労働組合は、守りの姿勢が強いです。
宏光MINI EVを日本に、輸入しても、走らせることは困難です。
2021/07/01から、独立行政法人自動車技術総合機構は、並行輸入車の審査規程を改訂し、「並行輸入自動車の事前審査書面等の明確化」がスタートし、並行輸入車両登録までのハードルが上がっています。
これも明らかに、守りの姿勢です。
水素自動車は、価格競争に勝てません。
トヨタの新型EV「bZ4X」の販売価格は、不明ですが、発表資料をみると、高スペックをうたっていますので、あまり、安くなるとは思われません。補助金をあてにして、赤字覚悟で、販売する計画なのでしょうか。
補助金は、2023年には、残っていると思いますが、量産EVが、普及してくると、急速に減額されると思われます。それまでに、滑り込んで、生産を拡大できるかがポイントです。
既に、日本企業は、ドローンの生産ができるところはなくなりました。
ドローンを見る限り、価格と性能の競争から、一度、脱落してしまうと、復帰は、困難です。
2023年末が、EVの天王山になると考えます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e20160f12eaffea058d019acf45b8076f86d81d
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国内自動車、EV化急加速に警戒感 「後ろ向き」レッテルの恐れも COP26 2021/11/12 JIJI.COM
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc06cdf0560a4f08bcfd73af15276dafb472ddd4
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新型BEV、bZ4Xの詳細を公表 2021/10/29 TOYOTA
https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/36254708.html
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1364794.html
https://www.newsweekjapan.jp/marukawa/
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