「自然言語処理(NLP)」と大臣会見

2021/10/24のロイターに、「自然言語処理NLP)」の話がでています。

実は、NLPという概念は、幅がひろいので、ロイターの用法には、問題がありますが、その点は、ひとまず、後に置いておきます。

ロイターのいうNLPとは、最高経営責任者(CEO)や経営幹部の発言パターンや声の調子を人工知能(AI)で、学習・分析する手法をさします。

 

音声パターン分析ソフトウェアの専門家のイワン・シュニドマン氏は、2020年末、サプライチェーンの混乱について、IT産業の経営幹部からは半導体不足に陥る可能性を低く見る発言が聞かれたが、発言に隠された手掛りを発見することを目的とするアルゴリズム分析によれば、そのトーンには高いレベルの不確実性が表われていたといいます。コンピューター主導のクオンツファンドが、(企業経営者の)文面どおりの発言に対する評価ではなく発言のトーンに対する評価に着目していれば、産業界の混乱に先手を打って対応できただろうと、シュニドマン氏は言います。

NLPは、これだけですが、この記事を見て、考えてしまいました。

8月までは、コロナウイルスの感染が拡がっていて、毎月大臣が、国民に向けた、記者会見をしていました。

会見の内容は、別に、NLPを使うまでもなく、発言内容がもっともで、信頼できると感じた人は少なかったと思います。これは、1年以上前から、会見では、政府は、しっかり対応しているので、問題はおこりませんという発言が繰り返され、それにも関わらず、感染はおさまらなかったからです。つまり、過去のエビデンスを見るかぎり、大臣会見の発言が、文面どおり評価できないことは明白だったからです。

コンピューター主導のクオンツファンドは、NLPの結果を見て、投資先を変更する自由があります。

一方、大臣会見を見て、NLPと同じように、文面どおりの発言に対する評価はできないと感じても、選択の自由はありません。せいぜい、内閣支持率が変化する程度です。

これは、どこかに、システム上の欠陥があるように感じられました。

例えば、大臣の記者会見で、記者は質問するだけです。

しかし、現在のデジタルテレビであれば、視聴者からレスポンスのデータをとることも可能です。

しかし、マスコミは、そのような活動は一切していません。

という訳で、少し、気分が暗くなりました。

 

 

  • 焦点:企業経営者の言葉の裏を探る、AIが声音やパターン分析 2021/10/24 ロイター

https://jp.reuters.com/article/global-investment-nlp-idJPKBN2HC0IS

 

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