「中抜き・丸投げ」が、問題解決を阻害する

総裁選に、岸田氏が名乗りを上げて、つぎのウイルス対策を提案しています。


◆岸田氏が発表した新型コロナウイルス対策のポイント

感染症対応を一元的に担う「健康危機管理庁」(仮称)を内閣府に設置

▽地域・業種を限定しない事業規模に応じた支援など、数十兆円規模の経済対策を速やかに実施

▽臨時の「野戦病院」の開設などを国主導で進め「医療難民ゼロ」を実現

▽予約不要の無料PCR検査所を拡大


これは、効果がないと思われます。その理由は、問題を、「健康危機管理庁」に、丸投げしているからです。これは、岸田氏個人を非難している訳ではありません。

9月1日の「デジタル庁」も、DX問題は、デジタル庁に、丸投げしています。

コロナ対策のときも、都合がわるくなると、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会に、「丸投げ」してきています。分科会の答申が出るまでなにもしない。答申を聞いてからきめるという訳です。その一方では、答申の原案は、厚生労働省の官僚が作っています。原案をどこまで、会長が呑むかは、判断ですが、8、9割以上は原案通りのはずです、というは、分科会のスタッフには、専属のライターがついていなので、労務的にそうなります。

8月に、佐賀県小城市の牛津(うしづえ)川の排水機場で、市から委託を受けて作業していた操作員の石井和夫さんが除塵機に体を挟まれて亡くなりました。75歳の人でした。氾濫危険水位に達するなど増水し、対応していたようです。牛津川の排水機場はポンプの大きさが50トンもあります。国土交通省が建設して、管理を小城市に委託し、小城市が、石井和夫さんに管理を委託していたようです。

2021/09/02の西日本新聞は次の様に伝えています。


 排水機場は国交省が設置し、小城市が男性を含む3人に操作を委託。男性は11日昼ごろから対応に当たっていたという。操作員への報酬は自治体ごとに決められ、「ごくわずか」と語る操作員もおり、「負担は重く、使命感に頼る部分はある」(行政関係者)。江里口秀次市長は記者会見で「二度と事故が起こらないよう安全対策を徹底したい」と述べた。

 武雄河川事務所によると牛津川を含む六角川水系に排水機場は60カ所。操作員は半数ほどが65歳以上で、80代もいる。「土日祝日、夜間も関係なしで後任が見つからない」(事務所)。国交省によると、全国の操作員のうち60歳以上が占める割合は2009年度の53%から15年度は59%に増えた。

 3月に発足した社会資本整備審議会国交相の諮問機関)小委員会では、操作員の安全確保策などを議論している。遠隔での制御・監視が議題に上るものの、操作員が現地に向かうのを前提に到着前や退避した場合の活用を想定。操作員を置かない本格的な遠隔操作の実現は見通せない。


60カ所の排水機場を集中管理することは、今の技術では特に難しくありません。すべて、無人にすることは難しいですが、手動の担当部分が減れば、「土日祝日、夜間も関係なしで後任が見つからない」ことはありえません。結局、ここにも、丸投げがあります。なお、監視カメラだけは多数あります。

丸投げをすると楽なので、問題解決を先送りして、解決不能にしてしまいます。「操作員を置かない本格的な遠隔操作の実現は見通せない」というのは、自動運転の時代にはありえません。

 

  • 岸田氏「健康危機管理庁の創設、医療難民ゼロに」…コロナ対策の政策発表 2021/09/2 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/18b69781b34cc1331bf239bef3197c1d38745ad2

  • 大雨の作業中 男性が排水機場の機械に挟まれ死亡【佐賀県小城市】2021/08/15 SAGA TV

https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2021081506846

  • 大雨で川氾濫…排水ポンプ操作員の死 背景に使命感頼みと高齢化 2021/09/02 西日本新聞

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/794449/

http://www.qsr.mlit.go.jp/takeo/site_files/file/03haisuipompgenjyou.pdf

http://bousai-ogi.jp/kawa-camera/kyoku/12

https://livecam.asia/saga/ogi/ushitsugawa-ushizue-haisuikijyo-suimontaigan.html

http://dipjp2020.dip.jp/content135957.php

http://www.net1.jway.ne.jp/odekake/saga0.html

 

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