コロナウイルス対策と組織のシステムの課題

第3回目の緊急対宣言が出ましたので、コロナウイルス対策は上手くていっていないと言えます。問題があった場合には、問題を繰り返さないために、原因を分析して、再発しないようにします。この場合に、2種類の原因が考えられます。第1は、誰かが適切な処置をしなかったといったように、個人の行為に原因を分解する方法です。第2は、問題は、個人ではなく、組織のシステムにあるとする考えです。実際には、この2つの要因が重なりあっていますが、現時点では、混合効果を分析して、対応するレベルには達していません。 そこで、今回は、組織のシステムの問題を考えます。

組織のシステムの問題の中で、特に、変化に対応する能力を考えます。

これは、コロナウイルスは、感染が急拡大したり、変異ウイルスが発生したりするため、対応に速度が求められるからです。

感染から、発症まで、2週間弱の時間がありますが、今回の緊急事態宣言は、17日間になっていますから、2週間で、ウイルスの感染状況が変わると考えられていると思われます。問題は、2週間の変化速度に合わせた対応ができているかと言うことです。アドバイザリーボードの日程は、週に1回ですから、14日の変化にギリギリで対応できます。逆に言えば、14日と17日の違いに対応できるとは思えません。

組織システムが、コロナウイルスの変化速度に対応したら、どうなるかを考えて見ましょう。

このブログでは、darktableというソフトウェアを紹介しています。このソフトウェアも、コロナウイルスのように、頻繁にバージョンアップします。2020年までは、ソフトウェアのバージョンアップに、マニュアルが追いついていない状況でした。例えば、ソフトウェアのバージョンは3.4なのに、マニュアルのバージョンは3.0で止まっているような状態です。その間のバージョンアップの情報は、You Tubeの動画で確認するしか方法がありませんでした。darktableの開発チームは、このギャップを解消するために、2020年末にマニュアルのシステムを一新しました。その結果、2021年からは、バージョンのギャップは無くなりました。ここまでは、普通の話です。普通でない事態が、この先にあります。darktableの現在のソフトのバージョンは、3.4です。2021年6月に、バージョン3.6が出る予定であるとアナウンスされています。マニュアルの正式の最新版は、3.4です。ところが、マニュアルの3.6が既に公開されています。今までは、マニュアルのバージョンはソフトウェアのバージョンより古いという状態に慣れきっていましたので、最初に、3.6を見た時は、何かの間違いではないかと思いました。しかし、マニュアルは、ソフトウェアの開発チームが、開発に並行して、ドラフトを作り、マニュアル作成チームが編集しているはずです。この時のバグとりは、ソフトウェアより、マニュアルの方が容易ですから、マニュアルが先行して問題はない訳です。

これから、得られる教訓は以下です。

対象の速い変化に対応するためには、組織のシステムを改善する必要があります。組織のシステムが改善されている場合には、一見するとフライングに見えるような現象が発生しているはずです。このような現象が見られない場合には、組織のシステムは、対象の変化の速度に対応できていないと思われます。