darktableでポートレートを写す(14)

ポートレート現像の注意点の整理(5)パラメトリックマスクの補足

前々回は、パラメトリックマスクを使いました。

パラメトリック・マスクの使い方を習得するには、ハードルがあります。

第1に、パラメトリック・マスクの使い方は、多くのモジュール共通ですが、モジュールとセットでないと使えないため、モジュール中心に、darktableの機能をマスターしていくと、後回しになりがちです。どれかのモジュールを使ってマスターすればよいのですが、逆に、どれでもよいので後になりがちなのです。

第2に、マニュアルに記載がないか、あっても、読んでもよくわかりません。darktableの最新版のマニュアルのバージョンは3.0で、ソフトウェアのv.3.2にほぼ追いついているような印象を受けますが、実際には、最新のソフトウェアのバージョンには追い付いていない部分もあります。マニュアルに代わる方法は、Youtubeの解説(英語かフランス語)を見ることになるのですが、これも、古いバージョンのソフトの解説が多く、最新版に対応しているのは、開発者のYou tubeでの解説が唯一のものになることもあります。

このような状況は、darktableだけでなく、バージョンアップが頻繁に行われるソフトウェアに共通する問題です。解決策は、ソフトウェアの場合には、分からなければ、試してみることが理解への近道です

今回は、パラメトリック・マスクの出力(output)と入力(input)の違いを、実際に試して、説明してみます。この手法は、他のモジュールでも広く利用可能です。

写真1は出力をつかって、パラメトリック・マスクを設定した場合です。ピックアップツール(左のスポイトのアイコン)を使って、肌色のhueを取り出します。そこを挟むように、マスクを設定します。写真1は、マスクの確認モードになっているので、マスクが黄色く、表示されています。

写真2では、写真1でマスクを作成したあと、Lowのスライダーを動かして、カラーバランスを変更しています。その結果、写真1と比べて、黄色のマスクの部分が広がっています。

写真3は入力をつかって、パラメトリック・マスクを設定した場合です。

写真4では、写真3でマスクを作成したあと、Lowのスライダーを動かして、カラーバランスを変更しています。今回は、写真3と比べて、黄色のマスクの部分に変化はありません。

写真5は入力と出力をつかって、パラメトリック・マスクを設定した場合です。

写真6では、写真5でマスクを作成したあと、Lowのスライダーを動かして、カラーバランスを変更しています。今回は、写真5と比べて、マスクの黄色の部分に変化はありません。

以上のように、出力でマスクの範囲を設定した場合には、カラーバランスを変更すると、マスクのエリアが変化します。一方、入力でマスクの範囲を設定した場合には、カラーバランスを変更しても、マスクのエリアは変化しません。

これは、入力で、マスクを指定することは、処理前の画像でマスクを指定していることになり、出力で

マスクを指定することは、処理後の画像でマスクを指定することになるためと思われます。

入力と出力を併用した場合は、入力用と出力用の2種類のマスクを使ったことになるはずです。ここで、2種類のマスクを指定した場合、デフォルトではAND演算になっています。つまり、今回は、2種類のマスクのエリアが似ているので、狭い方のエリア(入力のエリア)が生きていると思われます。

本来、入力と出力の2種類のマスクを使うのであれば、マスクをエリアをずらすような設定が効果的と思われます。

 

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写真1 出力のマスク

 

 

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写真2 出力のマスク

 

 

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写真3 入力のマスク

 

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写真4 入力のマスク

 

 

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写真5 入力と出力のマスク

 

 

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写真6 入力と出力のマスク

 

使用した写真は、「FREE RAW PHOTOS FOR EDITING」というサイトからダウンロードしたもので、特に、ライセンスの制限はないようです。

  • FREE RAW PHOTOS FOR EDITING

https://www.signatureedits.com/free-raw-photos/