戦争の条件の変化(5)

代替戦争

戦争というと今までは、破壊兵器を使うことが常識でしたが、最近では、サイバー世界の情報戦も注目されています。これは、1種の代替戦争なので、この点を考えています。

サイバー攻撃の効果は次の3つの面があります。

第1は、情報を取り出す(盗みだす)面です。

第2は、誤った情報を混在させる面です。

第3は、大量のデータなどで、攪乱したり、情報を破壊する面です。

第1の面では、代替戦だけで、便益が生じます。

一方、第2、第3の面では、単独では便益を生じません。つまり、何か得るものがあるときに、補助的な役割を果たすことになります。ただし、相手の軍事力をそぐという目的であれば、大きな成果が期待できます。

極端な場合を考えれば、内乱が起こったり、経済が破綻するような状態になれば、戦争どころではなくなります。

戦争で勝敗を決めるのは相対的な戦力です。その点では、サイバー戦の効率は高いと言えます。

過去の冷戦時代には、与党には、米国から、野党にはソ連から政治資金が流れていたとする説もあります。

国会での論戦が、政策に結びつかない時間つぶしばかりだったり、財政赤字が増加する一方であったりすると、これは、どこかの国の陰謀ではないかと思いたくなります。

代替戦は最近では、インターネット上のサイバー攻撃が注目されていますが、古くからあるスパイ戦であったり、特定の政治団体に資金提供する方法も代替戦のひとつです。これは資金を提供する側と、受け取る側があって初めて成立します。ただし、途上国の場合には、ODAを役人がピンはねすることも多いので、合法と違法の線引きは難しいです。

モラルの問題

代替戦はコストパーフォーマンスが高い手法も多いのですが、実際には、海外に仕掛けるものの、国内を対象にする場合を想定すれば、違法であったり、違法すれすれの場合も多くあります。また、先手をうって攻撃をしかけるか、攻撃を仕掛けられた場合に、対応するのかの違いもあります。一般には、攻撃は最大の防御なので、はなから、攻撃を排除するのは、不合理です。

国際法の基本は、複数の国の国内法が均衡して、国際法になるという考え方と思われます。この点では、国の内外に不均衡な法律を成させるる国が増加することを国際法は前提としていないとも言えます。

この辺りが、最終的な判断基準にならざるを得ないと思いますが、あまり論じられていません。

国際法の均衡ルールが、開戦まえの状態での正義の判断基準になるのかと考えています。

まとめ

以上で、今回の検討は一休みです。

全体は、基本的には、論点のリストアップが主な目的です。最後が、ちょっと、尻切れトンボになりました。