ダニエル・ハリトーノフのピアノリサイタルを聴きました

ダニエル・ハリトーノフのピアノリサイタルを聴きました。1998年サハリン生まれ。この人は、2015年のチャイコフスキー国際コンクールで3位入賞ということです。この年は、1位が1名、2位が2名、3位が2名います。ちなみに、このコンクールは4年に一度開かれていて、2019年の入賞者は1位が1名、2位が2名、3位が3名います。3位というのは、技術的には、問題がないが、インプレッションでは、勝てなかったという位置と思われます。コンクールの実績からして、技術的には完全無比と思われますが、確かに、すごい技術でした。

曲目は、前半がベートーベンのピアノソナタ3番ハ長調作品2-3と14番ハ単調作品27-2(月光)、後半が、ショパンの練習曲作品10、スケルッオ第3番嬰ハ単調でした。2017年の来日時も前半はベートーベン、後半がショパンとリストでしたので、ベートーベンとショパンが好きなのか、音楽事務所のリクエストなのかもしれません。ちなみに、2017年は、月光と熱情だったので、リクエスト見え見えのように思われます。

ホールのピアノはスタンウェイでしたが、音の抜けが今ひとつよくない感じで、スタートは、のり切れない感じでした。最初のベートーベンは、教科書をさらっているような律儀な演奏でした。月光にはいると観客の反応も良くなったのか、少し、気分が乗ってきた感じでした。ここで中休みになりました。

驚いたのは、後半で、ショパンを引き始めると、気分が全く変わってノリノリ状態になりました。この人は本当にロマン派の音楽がすきなんだなと思いました。作曲家で、演奏者の気分がこれほど変わるのを見るのは初めてで、大変興味深かったです。ショパンは、大変よかったと思います。名前のついた有名曲でも、全体のバランスが計算されていて、大変見通しの良い演奏で、12曲の時間が短く感じられました。

アンコールは2曲ありました。

最初の曲はバラキレフみたいな感じでした。

2番目の曲は、ピアノが音を立ててうなる超絶技巧曲でした。これは、今までの聴いたことがない、ど迫力でした。ラフマニノフメトネルみたいでした。

2曲ともとても気持ちよく弾いている感じが伝わってきました。

会場の出口にアンコール曲の解説が出ていました。

第1曲は、ハリトーノフ夜想曲第2番

第2局は、ハリトーノフの幻想曲第2番

だそうです。曲を当てられなかったのも当然でした。

この人は、心底、後期ロマン派の後継者なのだろうと思いました。