ダニエル・ハリトーノフのピアノリサイタルを聴きました。1998年サハリン生まれ。この人は、2015年のチャイコフスキー国際コンクールで3位入賞ということです。この年は、1位が1名、2位が2名、3位が2名います。ちなみに、このコンクールは4年に一度開かれていて、2019年の入賞者は1位が1名、2位が2名、3位が3名います。3位というのは、技術的には、問題がないが、インプレッションでは、勝てなかったという位置と思われます。コンクールの実績からして、技術的には完全無比と思われますが、確かに、すごい技術でした。
ホールのピアノはスタンウェイでしたが、音の抜けが今ひとつよくない感じで、スタートは、のり切れない感じでした。最初のベートーベンは、教科書をさらっているような律儀な演奏でした。月光にはいると観客の反応も良くなったのか、少し、気分が乗ってきた感じでした。ここで中休みになりました。
驚いたのは、後半で、ショパンを引き始めると、気分が全く変わってノリノリ状態になりました。この人は本当にロマン派の音楽がすきなんだなと思いました。作曲家で、演奏者の気分がこれほど変わるのを見るのは初めてで、大変興味深かったです。ショパンは、大変よかったと思います。名前のついた有名曲でも、全体のバランスが計算されていて、大変見通しの良い演奏で、12曲の時間が短く感じられました。
アンコールは2曲ありました。
最初の曲はバラキレフみたいな感じでした。
2番目の曲は、ピアノが音を立ててうなる超絶技巧曲でした。これは、今までの聴いたことがない、ど迫力でした。ラフマニノフかメトネルみたいでした。
2曲ともとても気持ちよく弾いている感じが伝わってきました。
会場の出口にアンコール曲の解説が出ていました。
第2局は、ハリトーノフの幻想曲第2番
だそうです。曲を当てられなかったのも当然でした。
この人は、心底、後期ロマン派の後継者なのだろうと思いました。