紅葉の解説に、全画像でよいのではないかということを書きだしたのですが、量が増えたので、別に起こすことにしました。ここでは、全画像のことと、デジカメの販売台数の関連を述べたいと思います。
ニコンとキャノンの四半期データが出て、カメラが売れていないことが明らかになりました。
オリンパスとフジフィルムもあまりよくないので、ソニーを除いて、全滅の様子です。
これに関係しては皆さま言いたいことがあるようで、デジカメインフォのニコンとキャノンの記事には、非常に多数のレスポンスがのっています。
私も書き出したら、止まらなくなりました。
デジカメの販売台数と性能
デジカメの販売台数のピークは、CIPAのデータでは、2010年頃になります。
デジカメ比較レビューに2010年発売のキャノンのフラグシップデジカメPowerShotG12の記事が2000年発発売のG1との比較がのっています。この11年間の変化をうまく要約していると思うので、ポイントを編集引用します。
http://www.monox.jp/canon_powershotg12_1.html
初代のG1が2000年に発売され、2010年発売のG12は、10代目である。
ISO上限は400が 12800になった。
RAWは非対応が対応になった。
動画は 320x240 (30秒)が、 、1280x720のハイビジョン動画 になった。
センサーは 1/1.8型334万画素CCD が 1/1.7型1000万画素CCD になった。
ズームは 35mm換算で34mmから102mm(光学3倍)まで が、 28mmから140mm(光学5倍) になった。
モニターは1.8型バリアングル液晶 が 、2.8型バリアングル液晶 になった。
手振れ補正機能 はなしが、 レンズ内手振れ補正機能搭載 になった。
価格は 10万円前後 が3万円台になった。
以上です。
これから、デジカメの販売台数の伸びた2000年から2010年は性能の向上と価格の低下が加速度的に起こっていたことがわかります。今まで10万円したものが、3万円で買える。しかも、性能が劇的に良くなっているのですから、買い替え需要が起こったわけです。
2004年頃
写真をそれなりに撮るようになったのは、ニコンのCoolpix 8400からでした。これは、2004年 発売当時、24mmから写真がとれるカメラが他になかったので、購入したものです。このカメラは手元にあり、まだ、撮影できます。先ほど、久しぶりに動かしてみて、感慨深いものがありました。画素数が800万であることは、覚えていたのですが、それ以外のスペックは頭にありませんでした。しかし、見てみると、ISOは80から400でした。また、絞りの最大はF7.1で、F8に絞ることは出来ませんでした。天気の良い日の画像は素晴らしいですが、暗所になると全く映らず、1万円のコンデジにもかないませんでした。データを保存するのはおそく、R,G,Bと順番に保存しているような感じの音がします。保存にあまりにも時間がかかるでの、保存中は、背面液晶に砂時計が表示されます。でも、撮ってだしの画像がよいので大きな不満はありませんでした。
ちなみに、レンズ交換式デジカメの統計があるのは2003年からですので、このころまでは、レンズ交換式カメラは、プロ以外は手が出せない代物でした。
ミラーレスカメラ
マイクロ43が発売されたのはパナソニックが2008年、オリンパスが2009年で、2010年以降、本格的になります。ソニーがNEXを発売したのは2010年です。2011年にニコンがNIKON1を2012年にキャノンがEOS Mを展開します。2013年には、ソニーからフルサイズミラーレスのa7が展開します。NIKON1は位相差センサーを搭載していて、自動焦点や、自動露出の性能は高かったのですが、2012年に発売された同じサイズの1インチセンサーを搭載したコンデジRX-100にサイズ、レンズ性能、センサ性能で、完全に負けて、極端な値崩れを起こします。値崩れの結果、販売台数は増えたのですが、利益はほとんどなかったと思われます。キャノンのEOS Mも自動焦点の性能が悪く値崩れしてしまいます。EOS Mで自動焦点が曲がりなりにも使えるようになったのはM3からだと思います。
2010年から2013年
コンデジは2010年に、今までのフィルムカメラの基本的な使われ方をするのに必要な性能、光量が十分あるところで、最大A4サイズをプリントするために必要な性能を満足してしまいました。ですから、買い替え需要は、性能の向上ではなく、価格の低下によって引き起こされる構造になりました。キャノンの1/1.7インチセンサーのコンデジは2013年のPower Shot G16で終了してしまいます。サンプル画像に使った、ニコンの1/1.7インチセンサーのP330は2013年の発売で、そのあと2014年に後継機種のP340が出ますが、そこで、同じようにシリーズが終了してしまいます。
この間に、CCDがCMOSになったり、裏面照射になったり、センサーが暗所に強くなっていますが、その変化は、2000年から2010年の間に起こった性能の向上と比べると、小さなものです。2010年から2013年の間に発売されたコンデジは、ソニーの1インチのRX-100を除くと、皆値崩れしてしまい、利益がでなくなり、各社が撤退します。現在は、コンデジは基本が1インチになりましたが、その結果、サイズが大きく、価格が高くなりました。コンデジは売れないので価格を高くすると更に売れなくなるという負のサイクルに入りました。
スマホが本格的普及して10年程度といわれます。スマホのカメラは、この間に、逆に、価格は本体込みでほとんどゼロに近く、性能は毎年のように向上しました。つまり、2010年までのプラスのサイクルがコンデジから、スマホに移っていったのです。
2014年以降
コンデジでも、A4までの野外の静止画の撮影に十分な性能を獲得したのですから、よりセンサーの大きなレンズ交換式カメラでは、暗いところや、動きの早いものを撮影する以外では、性能の向上は画像には反映されなくなりました。もちろん、等倍で比較すれば、差はあるのですが、写真は等倍で見るものではないのです。
正直に言えば、ここで行ったような等倍比較は、あまり意味がないのだと思います。
これから、今回比較した5,6年前の機種でも大きな不満がないという意味がわかっていただけるとと思います。
ここで比較したのは、今から見ると古い機種ばかりですが、このレベルのデジカメを持っていれば、壊れなければ、買い替えすることはないと思います。冷蔵庫や電子レンジと同じことです。
今後
それより問題は、メーカーが赤字で、メーカーの継続性が担保できないと、カメラのレンズには互換性がないので、購買を見合わせる人が増える点であると思います。
実際、私はペンタックスユーザーでしたが、シグマなどのサイドパーティも撤退したので、もはやペンタックスが残ることはないでしょう。
ニコンやキャノンも、同じように残らないかもしれません。少なくとも、一眼レフシステムは生き残らないの
ではないかと思います。かといって、両社が、ミラーレスで残れるかといえば、キャノンのMシリーズ以外は、不透明ではないでしょうか。
ニコンは特に重傷です。ニコンは半導体装置で利益をだすといっていますが、この分野は、過去にオランダの会社に完全に負けて撤退した分野です。湯之上 隆「日本型モノづくりの敗北」ではニコンの半導体装置市場での敗退の原因が分析されていて、個々の装置の性能は高いが、部品のモジュール化が遅れて、調整と修理に時間がかかり、結果としてシステムのスループットが低くなることが敗退の原因であると指摘されています。この指摘は、デジタルカメラにもあてはまります。写真の楽しみ方が、印刷して展示することから、ネットで共有することにかわったのですから、これに対する性能評価やサービスの向上がポイントになると思いますが、依然として、大きな紙に印刷することを前提に、個別の部分性能を議論していることには、時代から取り残されている意味で驚きを感じます。
今使っているパソコンは、エプソンから購入したものです。パソコンはモジュール化が進んで、箱のデザインは10年前と同じです。購入時に、CPU、メモリなどを選びます。メーカーは、要求仕様に合わせて、部品を組み込んで出荷します。箱のサイズは大、中、小あり、大きい程、自由度があがり、ハイスペックにできますが、価格もあがり、場所をとります。レンズ交換式カメラもモジュール化すれば、カメラ本体(箱)に、センサー、モニター、シャッターなどを選んで、組み合わせることになります。現在のように、レンズ交換式カメラで、レンズだけをモジュールと考えるのはフィルム時代の思考を引きずっているだけで、どうかしていると思います。モジュール化し、部品の共通化を図れば、価格は下がられるはずです。特に、スタジオ撮影では、箱の大きさは、問題にならないと思われます。
これを書きながら、アンセル・アダムスが風景写真を撮るのに必要な機材として、機材を運ぶためのロバを挙げていたことを思い出しました。
追記の追記
この記事をかいた後で、「オリンパスCEOが「カメラ事業は売却しない」という発言を撤回」というニュースを知りました。(11月21日)
オリンパスは、ここ数年、開発余力がなくなっているようで、モデルチェンジしても、性能があまり変わらないので、古いPL6で不満はありません。上のシリーズの性能が高いことはわかりますが、価格が高い、サイズが大きい、意味もなくデザインが黒で昔ながらのカメラなので、対象外です。PL6もEOS Mとサイズが変わらないので、もう少し小さくしてほしいとはおもいますが。今年、海外旅行にいってたとき、参加者は24名で、20名が女性で、レンズ交換式カメラを持っていた人は2名で、メーカーは、オリンパスとフジフィルムでした。色は、黒ではありません。女性に売るには、デザインが重要です。また、自分が使うときにも、今は、スマホで、コンデジを含めてカメラを持っている人が少ないので、「私、カメラを持ってます」感のある黒いカメラを最近は避けています。目立ちたくはないのです。黒は夏に日光が当たると温度上昇しやすいので、機能的には良くないともいます。PLは安くて使いやすいのですが、利益が出ないので、上位機種を高く売ろうとしているのでしょうが、サイズ、価格が上がれば、m43のメリットはなくなり、売れなくなります。これも当然と思います。