darktableのテストバージョンが3.0.0rc0から3.0.0rc1に上がりました。
https://github.com/darktable-org/darktable/releases/tag/release-3.0.0rc1
でも、darktableに関心のある方は、カメラにもこだわりのある方はが多いと思いますので、コンデジでは
話にならないと思われている方も多いと思われます。
以前、シグマのレンズを評価する際には、交換レンズを3本と対象カメラ1台、プラス比較用のカメラ2台を持っていき、三脚をセットして、タイマーで撮影しました。それでも、途中で、雲が変化して、光量が変わってしました。
厳密に比較するのは、室内で光量が常に一定の場合以外では、容易ではないのです。
実際に、比較レビューは室内の置物やパターン図形を使ううこと多いようです。
しかし、一方で、こうした状況は普通にカメラを使う状況ではない訳で、比較がしやすくなる一方で
利用実態から離れてしまう欠点もあります。
実際の利用に近い条件で、比較可能な撮影は、カメラは2台までで、レンズは交換せず、手もち撮影ではないかと思います。
私の日常の撮影は、犬の散歩とセットになっていますので、基本は絞り優先でF8にセットし画角はズームの広角側に固定または、単焦点レンズをつかい、右手だけで撮影します。左手は、犬のリードをもっていますので。
ルートは毎日全く同じではありませんが、基本的には代わり映えしません。
それでも、日と時間によっては、いつもの風景が、はっとするような光になることがあるので、
たまたま、今日はいいだろうとカメラを持っていかなくて、後悔することもあります。
写真家のケルビン・コスナーは、良い風景写真は、日の出と日没の光が刻々と変化するときに限る。
まともな風景写真家になりたければ、定刻に朝食と夕食を食べることはあきらめるべきであるといっています。
昼間の時間帯でも、雲が出ていて、太陽が雲の間を行ききする場合には、光が、刻々と変化します。
次の瞬間の光は予測できないので、光が変わるごとに写真を撮っていき、あとで、ベストシーンを選ぶ
ことになりますが、快晴時より、はるかに良い写真が撮れると思います。
前書きが長きなりましたが、今回は、カメラによるdarktableの紅葉の違いの例を示します。
編集は、darktableで前回説明した方法を使っています。
対象はいつもの公園の銀杏の木です。犬と散歩のときに、1台ずつカメラをもっていって、撮影しました。
日によって、光線も、銀杏の紅葉のレベルも変化しますので、厳密な比較ではありません。
しかし、ネットでは、野外のカメラ間の比較の画像は極めて少ないので、参考にはなると思います。
どのカメラも1枚目が全景、2枚目が等倍になっています。
カメラにより画素数が違うので、それも、注意してください。
オリンパス E-PL6 パナライカレンズ
F8.0,1/160sec.,15mm,ISO100
全景は、大きな問題はありませんが、等倍にすると、今ひとつな感じがします。
色合いはオリンパスの青といわれるように青が際立っています。特に、パナライカの15mmレンズをつけた場合には、この傾向が強調され、白い自動車が青く写ることもあります。オリンパスのレンズでは、ここまで青くなることはないので、組み合わせの問題と思われます。darktablleでもあおの特徴を残すように編集しました。
パナソニック 4/3 コンデジ LX100
F5.6,1/640sec,11mm,ISO200
4/3センサーを搭載したコンデジです。いわゆるパナライカで、ライカでも、同じハードを2倍の価格でうっています。最近、II型がでて、無印は廃番になりました。
パナソニックのレンズ交換式カメラももっていますが、オリンパスと比べると、色が魅力がなく、ほとんど使わなくなりました。常時はサイズの大きなオリンパスの出番になります。いろいろなデジカメを使ってきましたが、ここまで、色でつまずいたのは初めてでした。一方、パナソニックでも、このコンデジLX1000は、色の問題がなく、気持ちよく使うことができます。上記とこれは同じライカブランドのレンズですが、ここでは、等倍を見るとオリンパスにつけた上のレンズを上回っているように思われます。これは、レンズでなく、カメラの問題かもしれませんが。ここでは、色はほとんど触っていません。
キャノン M3 レンズ不明(EXIFが不正確)
F8.0,1/400sec,16mm,ISO200
おそらく、最近の15mmからのキットレンズだったと思いますが、EXIFには記載されていませんでした。
これだけ、カメラより2週間程度まえの画像になるので、紅葉がすすんでいません。LX100には負けているとおもいますが、ほどほどの解像感があります。ただ、キャノンの場合、空は、よほど晴れていないときれいな青色にはなりません。比較を容易にするために、紅葉が目立つように色を修正しました。
フジフィルム X-A1 キットレンズ
F8.0,1/140sec,16mm,ISO200
空がきれいに青くなること、色が、きれいなことで、撮影していると幸福な気持ちにさせてくれるカメラです。コントローラーのデザインがよくないのですが、その点を我慢すれば、入門機で、2つのコントローラーがついているので、操作もしやすいです。なお、そのコントローラーのデザインは先月に発売されたX-A7で改善されています。その前のX-A5までは、同じデザインだったので、金型を使いまわしたのではないかと思っています。
X-A1を購入した理由は、電池で動くコンパトプリンタが使えることです。数年前にガーナに行ったときに、現地の子供が、カメラを持っているのを見ると、写真を撮ってくれとせがむので、写真をとりましたが、撮った写真をその場で渡すことができませんでした。なので、そのあとで、デジカメで、その場で撮った写真を渡せる機種という点で、購入しました。現在では、フジフィルム以外にも選択肢は増えていると思います。
購入したあと、この機種はほとんど使われていませんでした。というのは、キットレンズを信用していなかったからです。キットレンズは、一般には、カメラの販売促進のためにとりあえず安価につけることを優先しているといわれます。それでも、最近は、一昔前よりも、レンズ設計技術の向上で、キットレンズの性能が格段に向上しているといわれます。キットレンズは何よりも個数がでるので、薄利多売が可能なため、コストパーフォーマンスのよいレンズになります。F値も3.5始まりで、暗いことも事実ですが、これは、晴天時でもシャッター速度が1/4000secより短くならないため、入門者には使いやすい仕様になります。
しかし、フジフィルムのキットレンズ戦略は劣悪に思われます。入門用と中級機用に2種類のキットレンズを準備しているのです。入門機はプラスチック製、中級機は金属製と分けています。プラスチック製のレンズを高級感がないなどの評価している例を見かけますが、レンズは写ってなんぼと思っていますので、まったく、気になりません。また、今まで、プラスチック製で、壊れたことはありません。値段が安くて、写りが良ければ、それでよいと思います。この販売戦略が気に入らないのは、キャノンやニコンに比べもともと販売個数の少ないフジフィルムで、キットレンズを2系統にわけてしまうと、量産効果による薄利多売が効かなくなることです。
そうなりますと、値段の割に映りのよくないキットレンズになってしまいます。これが、X-A1をあまり手にしなかった理由です。最近、このキッレンズについてネットでみると大きな欠点のないレンズということでした。そこで、気を取り直して持ち出して使っています。正直、使っていて思ったより楽しいです。
フジフィルムとは逆に、個数が出ることを前提に、最初から薄利多売戦略をとっているのがキャノンのMシリーズです。交換レンズの種類も少なく、価格も安いものばかりで、特に、尖った性能のものはあまりありませんが、かといって、大きな欠点がないレンズをそろえています。
キャノンには手振れ補正があり、フジフィルムには、手振れ補正がない点の差がつく原因ではありますが、ここでは、X-A1の画像でも、明らかな手振れが見られるものは排除していますので、その点が、差になるとはおもわれません。
キャノンとフジフィルムを比べると細部においては、キャノンに軍配があがると思います。
現在、ソニー以外のミラーレスカメラで、唯一売れているのが、キャノンのKiss Mですが、これは、キャノンのマーケット戦略によって、非常に、コストパーフォーマンスのよい製品になっているためと思います。
補足<<<<<
実際、尖ったレンズして、キャノンのM用のシグマの16mmを買ったのですが、やはり、非常に大きく重いので、持ち歩くのは不便でした。また、既に、報告しましたように、レンズの暗さは、センサーの高ISO時のノイズ低減で補えるので、レンズを変えるより、センサー(カメラのボディ)を変えるべきであるという結論になりました。レンズは、重い思いをしても2段分くらいしか明るくなりませんが、最近のセンサーでは、この程度の暗所特性の向上が見込まれるものは多くあります。また、センサーを変えるとその恩恵は、全てのレンズに及びます。
補足終わり>>>>>
ちなみに、一つ前の画像は、KissMではなく、古いM3です。ですから、ボディの世代の差はありません。キャノンのキットレンズは、新しい15mm始まりで、フジフィルムは、16mm始まりの旧世代になります。この写りの差が、キットレンズの世代の差だけであればよいなとはおもいますが。
一時期、フジフィルムのキットレンズを15mm始まりに変えるために、ボディを更新しようかと思ったこともあります。特に、先月は、新機種X-A7がでたので、旧機種のX-A5が安くなるはずなので、ちょと悩んだのです。しかし、マウントを変えるつもりはないので、購入するならコンデジのXF10の方がよさそうです。
X-A1のキットレンズでも、7割方は16mmで使っているので、単焦点でもかまわないとおもっています。キットズームの広角側は開放では、周辺の写りが良くないことが多く、開放でなく、絞って使うことが推奨されています。風景写真で、F8で撮る場合には、これで問題はないのですが、光量が減ったときでも、開放F3.5で使うのが気が引けるのは問題です。単焦点レンズのよい点は、開放でも周辺の画像劣化が少ないので、その点では、使いやすいのです。
補足<<<<<
ちなみに、キットレンズの望遠側ではF値はさらに悪くなります。F8を超えて絞るとAPS-Cでは回析が起こるといわれていて、普通は避けた方がよいようです。レンズ2本のキットの場合には、望遠ズームがついています。キットの望遠ズームは、セットで買うと、1万円以下で手に入るので、持っていますが、正直、ほとんど使ったことがありません。望遠になると、動くものが多くなり、シャッター速度を短くしないとぶれてしまいます。そのためには、明るいレンズが必要になります。そうなりますと、ズームでは難しく、単焦点になるのではないかと思います。望遠ズームは、これがあれば、画質はともかくも、写すことができるという安心感を買う意味はありますが。先日、m4/3に175mm(換算350mm)の望遠ズームをつけて、公園の水鳥を狙ってみましたが、望遠が不足して、大きくはうつりませんでした。そこで、次の超望遠コンデジを持ち出したところ、フレーミングには苦労しますが、何とか写すことができました。
補足終わり>>>>>
ニコン 望望遠コンデジ S9900
F3.7,1/800sec,4mm,ISO125
昔ながらの2.3インチセンサーを積んだコンデジです。このサイズのセンサーは現在では、防水カメラとここに示す超望遠タイプ以外は残っていないと思います。S9900は旧型で、RAWデータに対応していませんが、後継機種はRAWに対応しているようです。この機種を選定した理由は、GPS付であること、2.3インチコンデジの中では、ニコンの最上位機種であったことです。後継機種にはGPSはつかなくなりました。
最近のカメラは、GPS付が、防水コンデジを除いて、著しく減ってしまいました。なので、現在は、GPSはカメラとは別にする方法にカメラ選択の指向が傾きつつあります。今から振り返るとGPS付が流行ったのは、2年ほどでした。カメラ内臓のGPSは、カメラの位置だけでなく、カメラの向きの情報も記録してくれるので、それは、それで、便利なのですが、ここまで、GPSをサポートする機種が減ると、やむを得ないと思います。
ちなみに、GPS付デジカメを初めてサポートしたの15年くらい前のニコンで、専用のGPSユニットと対応カメラを買うことが必要でした。最初は、GPSに対応しているカメラは、一眼レフの最上位機種だけで、50万円以上しました。その後、普及一眼レフにもこのユニットが使えるようになりましたが。
さて、S9900は水鳥をとるために公園に持ち込みました。でも、ついでに、紅葉もとってきました。
S9900は光学30倍換算750mmになりますので、画像に期待するのはどうかと思われます。デジタルズームよりよく写る機種と考えるべきです。
開放もF3.5ではなくF3.7になります。
全景写真をみると銀杏の葉がなんとなくモコモコしています。一方、等倍は、ひどいかと思うと、案外、解放感が残っているので逆に驚きました。USMを強くかけているとは思いますが、思ったより葉の感じが残っています。
また、この機種を使って驚いたのは、空の青色です。全景は、darktableで若干いじっていますが、基本的に、撮ってだしでも、この青さでした。ニコンのカメラは、一眼レフ、コンデジと色々使ってきましたが、ここまで空が青く写ったのは、初めてだったので、大変驚きました。
まとめ
等倍の解像感は、LX100とM3がよかったです。フジフィルムは色は好きなのですが、等倍はいまいちです。PL6のパナライカのレンズが、いまいちな気がするのは、カメラのせいかもしれません。ただ、全景をみれば、大きな欠点はないとも言えます。
全景では、LX100が一番良いともいますが、キャノンのM3の日は曇っていたので、この点では、フェアではありません。また、フジフィルムのX-A1の時は、晴天でも、雲がでていたので、若干光量が少なくなっており、絞り優先でとったので、このあたりが、シャッター速度の差にでています。このように、条件は厳密には一致しませんので、あくまで、参考程度のつもりでご覧ください。
なお、フジフィルムの色が好きで、フジフィルムのカメラを買う人がいるという話もききます。私も実はファンです。でも、darktableであれば、フジフィルム以外のカメラでも、スタイルファイルを変更することで、フジフィルムの色を再現することができます。どこまで、完全に再現できているかはわかりませんが。
一方、フジフィルムのカメラのRAWにもフジフィルムのスタイルファイルを適用することができます。試しにサンプルに示したX-A1の銀杏の画像に、ベルビア100のスタイルファイルを適用したところ、色が破綻してしまいました。ちなみに、カメラのフィルムシミュレーションはプロビアでした。
「追記」を書き出したら、存外、量が増えたので、darktable番外編として、次回にのべることにします。