コンデジの紅葉をきれいに編集するには1~(darktable3.0第32回)

東京付近が紅葉のシーズンになってきたので、より北の方や、標高の高い紅葉の写真を撮られた方も多いと思います。

そこで、今回はコンデジjpeg画像で、紅葉をきれいに仕上げる方法を検討したいと思います。

darktableは、基本はRAW現像ソフトですが、Jpegも編集することができます。ただし、Jpegに適用できるモジュールは一部に限定されます。

今回のサンプル画像はニコンの防水デジカメAW130で撮った画像です。フィールド調査にカメラを携帯する場合には

  • カメラは調査中でサブの位置なのでかさばらないこと

  • カメラが丈夫なこと

  • 防水性能があること

  • GPSのデータが記録できること

  • 出来ればマクロモードがあること

が求められます。

このタイプのコンデジでは、オリンパスの機種を除けば、RAWには対応していませんでした。最近は、防水でないコンデジでは、RAWサポートが増えているので、防水コンデジもRAW対応してきたているかもしれませんが。

さて、サンプル写真の画僧情報は

F2.8、ISO125、1/500sec、4mmになります。

darktableでは、内部処理は32ビットの浮動小数点でおこなわれるので、内部処理が8ビットのソフトウェアのように、処理を繰り返すと画像劣化が進むことはないと思います。しかし、もともとのデータ量が少ないので、あまり複雑な処理をしてもメリットは少ないと思われます。

こうした状況では、basic adjustmentモジュールが有効で、基本的にはこのモジュールだけで、8、9割の編集が可能と思われます。

次の画像は、左が元の画像、右がbasic adjustmentの自動調整をかけた処理画像です。

紅葉がくきっりしてきています。しかし、差は小さいです。

この画像の対岸の線は水平ではありません。画像の回転をかけてみましたが、かえってアンバランスになってので、ここでは、修正していません。ここでは、手前の岸の線と対岸の山の線、その線が川に映った線の4本の線が、遠近感と構図を決めています。対岸の岸の線の構図に占める重みは小さいのです。また、左が暗く、右が明るい点も遠近感を補助して、特に、左上にある黒い幹が、バランスのポイントになっています。また、中央から下の川の部分が暗いので、画像が安定しています。

なお、右上の空の部分は白飛びしています。コンデジで、センサーが小さい場合には、ダイナミックレンジがせまくなるため、白飛びを避けることは難しいいです。この点を気にしなければ、紅葉の様子を伝えるには、十分な画像と思います。コンデジに限りませんが、カメラに何を求めるかを限定して、撮れないものは、最初からあきらめることにすると、撮影のストレスが少なくなります。写真家のスコット・ケルビーはデジタルカメラの教科書で、大きな望遠レンズと早いシャッター速度が必要なスポーツ写真は、大きな資金がないと対応できないので、アマチュアが対象とする場合には、それなりの覚悟をするように注意しています。

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サンプル写真


 

紅葉を引き立てる方法には、彩度を変える方法と色をシフトする方法があります。

前回のカラー調整の応用になります。

最初に、basic adjustmentで彩度をあげてみます。

 

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彩度のパラメータ


 

左が自動調整の画像、右が彩度をあげた画像です。全般に色があでやかになっています。

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処理結果1


 

次に、「カラー調整」モジュールで色をシフトしてみます。

「カラー調整」モジュールにも彩度の調整バーがあります。この彩度と「basic adjustment」モジュールの彩度と「コントラスト 明るさ 彩度」モジュールの彩度の機能は同じで、どこで調整しても同じ結果が得られます。

 

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カラー調整モジュールのパラメータ

 

 

左が彩度だけを変えた画像、右がカラーをシフトした画像です。赤みが強くなっています。ただし、若干不自然な感じもしますので、ここまで処理するか否かは、好みの問題とおもいます。

川のの部分が明るくなったので、全体的に、画像は軽やかな印象を与えるようになりました。この辺りをどう評価するかもポイントと思われます。

 

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サンプル画像処理結果2


 

ここでは、コンデジJpegファイルを編集してみました。このクラスのセンサーサイズのコンデジは防水機種を除いて、スマホにとって代わられ、なくなりました。

今回はJpeg編集ですから、スマホの画像ファイルも、同じように処理できますが、スマホの写真画像処理ソフトウェアは機能豊富なので、あえてdarktableを使う必要性はないと思われます。唯一あえて、darktableを使う可能性があるのは、マスクを使った部分処理になります。実は、サンプル画像で、これも試してみましたが、良い結果は得られませんでした。darktableのJpeg対応のモジュールが限定されているためです。なので、大幅なJpeg編集を行うのであれば、PhotoshopGimpをつかうべきでしょう。

以前、センサーサイズの同じコンデジと、スマホの画像を比べたことがありますが、ほぼ同じでした。

あたりまえといえば、あたりまえですが。一方、1機種あたりの生産台数は、スマホコンデジの100倍くらいなので、コストパーフォーマンスが圧倒的に良くなります。

いままで、コンデジの画像について、カメラメーカーは、良い画質であると宣伝してうってきました。

現在でも、防水コンデジの宣伝のwebをみればよい画質であると宣伝していると思います。

一方、今までのコンデジが売れなくなってきたので、1インチセンサーのコンデジであったり、フルサイズセンサーのレンズ交換式カメラを、スマホにない画質が撮れると宣伝しています。

つまり、間接的にはスマホの画像はよくないといいたいのです。しかし、ちょっと前まで、あるいは、防水コンデジについては、現在でも、画質がよいとカメラメーカーはいっているのです。

このように、カメラメーカーの言っていることは、普通の人には理解できないものとなりました。