モノクロ画像の現像(1)

ミニマリストの写真をもう少し追求したいのですが、ミニマリストの写真では、モノクロ写真は避けて通れませんので、モノクロ写真の復習をまずします。



1)画像のインポート

 

darktableのマニュアルの説明は以下です。

 

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>モノクロ画像の現像

 

写真にはモノクロ画像を作成する長い歴史があり、多くの人は今でも写真のこの側面を楽しんでいます。真のモノクロ センサーを備えた特殊な/改造されたカメラがいくつかありますが、ほとんどのカメラはまだ通常のカメラを使用してカラー画像をキャプチャし、後処理中にモノクロ画像に変換します。

 

この変換には、主に 2 つの方法があります。

 

    銀ベースの写真フィルム乳剤がシーンでキャプチャされた光にどのように反応するかをシミュレートしようとする物理的アプローチ。

 

    カラー画像を作成し、CIE Lab などの知覚色空間で彩度を下げる知覚的アプローチ。

 

これらのアプローチ、およびdarktableのその他のモノクロ関連機能については、次のセクションで説明します。

 

>>画像をモノクロとしてインポートしてフラグを立てる

 

画像をインポートする場合、画像にモノクロ処理が必要であることを示すために使用できるプロパティがいくつかあります。

 

    画像が無彩色カメラを使用して撮影された場合、画像は自動的にモノクロとしてフラグ付けされます。

 

    モノクロ画像を作成したいシーンをキャプチャするときは、カメラを「白黒」クリエイティブ モードにすると便利です。これにより、カメラのライブビュー画面または電子ビューファインダーを通して、シーンがモノクロでどのように見えるかを視覚化できます.カメラは引き続き RAW ファイルにフル カラー データをキャプチャしますが、埋め込まれた JPEG プレビュー イメージはモノクロになります。このような画像をインポートすると、darktable はプレビュー画像に基づいて自動的に画像にモノクロのフラグを付けることができます。

 

    プレビューがモノクロかどうかを確認すると、インポート プロセスが遅くなるため、既定では無効になっています。このチェックは、設定 > 処理 > モノクロ プレビュー(preferences > processing > detect monochrome previews)の検出で有効にできます。

 

    RAW ファイルを処理するときの最初のステップの 1 つは、画像をデモザイクすることです。デモザイク方法を「パススルー (モノクロ)passthrough (monochrome)」に設定すると、デモザイク処理中に色情報が破棄され、darktable は画像にモノクロとしてフラグを立てます。

 

    注: これは、カラー フィルター アレイが取り除かれたカメラで撮影された画像にのみ使用してください。

 

    画像をインポートした後、ライトテーブルの選択した画像モジュールのメタデータ タブを使用して、手動で画像にモノクロ (またはモノクロ以外) のフラグを付けることができます。

 

上記のいずれかの方法で画像がモノクロとしてフラグ付けされた場合、darktable モジュールはこの情報を使用して、ユーザーにモノクロ固有のモジュール コントロールを提示したり、画像に特別な処理を適用したりできます。

 

darktable|mode|monochrome タグは、モノクロのフラグが付けられた画像に自動的に適用されます。ライトテーブルのサムネイルで永続的なオーバーレイ情報を有効にしている場合、そのような画像は、ファイル タイプ情報の横に視覚的なインジケーター B&W でマークされます。このタグと視覚的インジケーターを自動的に適用することで、darktable はフィルターを設定してモノクロ処理用の画像を選別し、現在のコレクション内のどの画像にモノクロ タグが付いているかを一目で確認できるようにします。

 

darktable が真のモノクロ画像またはモノクロ変換されたカメラ (「パススルー モノクロ」デモザイクを使用) からの画像を検出すると、一部のモジュール (デモザイク、ホワイト バランスなど) が自動的に無効になります。

 

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補足説明:

 

カメラで、RAW画像レベルで、モノクロとカラーで別のファイルを生成する機種もあります。ソニーの古いデジカメでは、モノクロでは、赤外領域のデータも取り込んで、暗所の感度をあげていました。とはいえ、現在のレンズ交換式カメラでは、モノクロは、Jpegを作成するときのカラーのアルゴリズムにすぎません。

 

写真1は、オリンパスのカメラで撮影した画像をライトテーブルで見ています。右がピクチャースタイルのモノクロの画像です。マニュアルで言っていることは、モノクロのスタイルで撮影したRAW画像は、ライトテーブルでモノクロとして表示されるということです。

 

写真2と写真3はダークルームの画像で、写真2がカラーのスタンダード、写真3がモノクロのスタイルで撮影しています。画像は、どちらも、カラーで表示されます。また、ヒストグラムには、差がありません。つまり、モノクロのスタイルで撮影しても、カラーのスタイルで撮影しても、出来上がるRAW画像に差はありません。

 

写真4は、マニュアルの「このチェックは、設定 > 処理 > モノクロ プレビュー(preferences > processing > detect monochrome previews)の検出で有効にできます」の部分です。



写真1




写真2

 

 

写真3

 

 

写真4

2)モノクロ変換

RAW画像は、ダークルームで、モノクロ画像に変換します。

 

この部分のマニュアルを引用します。

 

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>モノクロ変換

 

>>物理アプローチ

 

このアプローチは、センサーからの線形シーン参照データで機能する傾向があり、銀乳剤を使用した写真フィルムの応答を模倣しようとします。次の 3 つの手順で構成されます。

 

    センサーからのカラー チャネルを 1 つのモノクロ チャネルにマップします。さまざまなタイプのモノクロ写真フィルムは、さまざまな波長の光に対する感度のレベルが異なります。これは、3 つのカラー チャネルを 1 つのモノクロ チャネルに組み合わせるときに、これらのカラー チャネルに異なる重みを与えることでシミュレートできます。カラー キャリブレーション モジュールを使用すると、3 つのチャネルをさまざまな量でグレー チャネルに混合できます。これには、よく知られているタイプの写真フィルムの特性をエミュレートするように設計された多数のプリセットが含まれています。

 

    輝度飽和曲線(a luminosity saturation curve)を適用します。写真フィルムがより強い光にさらされると、銀乳剤が飽和するため、その反応は低下します。この彩度曲線は、フィルミック rgb モジュール内でシミュレートできます。

 

   ダークルームでのモノクロ フィルムの現像には、従来、画像のさまざまな部分の露出レベルを制御するための「覆い焼きと焼き込み」が含まれていました。これは、手動で作成されたマスクを含む露出モジュールを使用するか、ガイド付きフィルターを使用してマスクを生成するトーン イコライザー モジュールを使用することにより、darktable でエミュレートできます。

 

>>知覚的アプローチ

 

モノクロ画像を生成するためのもう 1 つのオプションは、画像の彩度を下げることです。これは、線形色空間、または人間の知覚をモデル化することを目的とした色空間で行うことができます。

 

カラー バランス モジュールはリニア RGB で動作し、入力または出力の彩度スライダーを使用して画像の彩度を下げることができます。 どちらを選択するかは、カラー バランス モジュールでカラー イメージまたはモノクロ イメージのどちらに調整を加えるかによって異なります。カラー バランス モジュールは、予測可能で知覚的に均一な結果をもたらす傾向があります。

 

    モノクロ モジュールは Lab 色空間で動作し、ユーザーは重み付けされた色の組み合わせをグラフィカルに定義して、モノクロ イメージの黒の密度を決定できます。インターフェースは設定に多少敏感で、小さな変更が大きな効果を生み出し、全体的なコントラストや黒のピクセル アーティファクトに関する問題が発生する可能性があります。

 

    カラー ゾーンなどの他のモジュールを使用して画像から色の彩度を取り除くこともできますが、これらはカラー バランス モジュールの彩度スライダーのシンプルさに勝る利点はありません。

 

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まとめると、利用可能なモジュールは、

 

物理アプローチで、「カラーキャリブレーション」、知覚的アプローチで、「カラー バランス モジュール」、「モノクロ モジュール」、「 カラー ゾーン」などです。なお、「カラー バランス モジュール」は、「カラー バランスRGB モジュール」ではないことに注意してください。

 

シーン参照ワークフローでは、知覚的アプローチでは、問題を引き起こすリスクがあることを理解した上で使う必要があります。

 

ここに書かれていない、方法に、LUT  3Dでモノクロのプリセットを読みこむ方法があります。この方法は、「センサーからのカラー チャネルを 1 つのモノクロ チャネルにマップ」する物理アプローチではなく、「画像の彩度を下げる」知覚的アプローチです。

カラーキャリブレーションとカラ―バランスRGBは、0から255を越えるオーバーレンジに対応していますが、LUT  3Dは、オーバーレンジには対応していません。なので、必ずしも推奨の方法ではありません。

 

物理アプローチで、「カラーキャリブレーション」を使う方法は、グレイタブで、RGBの比率を入れます。darktable 4.0のマニュアルのサンプルは以下です。[ ]内は、R、G、Bの順です。

 

[0.9, 0.3, -0.3]  darktable(weight on R for smooth skin tones)

[0.4, 0.75, -0.15] darktable(emphasizing G for bring out detail)

 

カラーキャリブレーションになってから、RGBの値にマイナスが指定できるようになりました。

 

いくつか他のサンプルもあります。

 

[0.29, 0.587, 0.114] MSDN article

[0.3, 0.59, 0.11] Wikipedia article or tutorial point 

[0.2125, 0.7154, 0.0721] Color FAQ

[0.2126, 0.7152, 0.0722] Myndex Luminance Contrast and Perception

 

darktable3.4のチャンネルミキサーでは、次の値も紹介されていました。現在のマニュアルにはのっていません。

 

カラーキャリブレーションになってから、RGBの値にマイナスが指定できるようになっていますので、完全互換ではない可能性があります。

darktabel3.4のマニュアルから

 

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チャンネルミキサーChannel mixer

 

一部の白黒フィルムのミキシング値の表

 

従来の白黒フィルムには、異なる特徴的な色反応があります。 出力ミキシング チャンネルとして灰色を選択し、お気に入りのフィルム タイプについて以下に示す値を試してください。

 

Film Type Red Green Blue

AGFA 200X 0.18 0.41 0.41

Agfapan 25 0.25 0.39 0.36

Agfapan 100 0.21 0.40 0.39

Agfapan 400 0.20 0.41 0.39

Ilford Delta 100 0.21 0.42 0.37

Ilford Delta 400 0.22 0.42 0.36

Ilford Delta 3200 0.31 0.36 0.33

Ilford FP4 0.28 0.41 0.31

Ilford HP5 0.23 0.37 0.40

Ilford Pan F 0.33 0.36 0.31

Ilford SFX 0.36 0.31 0.33

Ilford XP2 Super 0.21 0.42 0.37

Kodak T-Max 100 0.24 0.37 0.39

Kodak T-Max 400 0.27 0.36 0.37

Kodak Tri-X 400 0.25 0.35 0.40

Normal Contrast 0.43 0.33 0.30

High Contrast 0.40 0.34 0.60

Generic B/W 0.24 0.68 0.08 

 

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今回は、ここまで、作例は、次回にします。

 

引用文献

 

darktable 3.4

https://darktable.gitlab.io/doc/en/grading_group.html

 

Grayscale to RGB Conversion tutorial point

https://www.tutorialspoint.com/dip/grayscale_to_rgb_conversion.htm

 

Color FAQ - Frequently Asked Questions Color

http://poynton.ca/notes/colour_and_gamma/ColorFAQ.html

 

Grayscale 

https://en.wikipedia.org/wiki/Grayscale#Converting_color_to_grayscale

 

Improving a Graphics Application with Tablet APIs

https://docs.microsoft.com/en-us/previous-versions/bb332387(v=msdn.10)?redirectedfrom=MSDN#tbconimagecolorizer_grayscaleconversion



Myndex Luminance Contrast and Perception

https://www.myndex.com/WEB/LuminanceContrast