パラメトリックマスクーその1(darktable第8回)

ここでは、マニュアルに例が載っているような、花の色をのこして、周辺をモノクロームにするパラメトリックマスクを試してみます。

元の画像を示します。

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元の画像

マニュアルに載っている例題は、このような花の画像で、パラメトリック・マスクを使って、花以外の部分をモノクロームにするというものです。説明の中心は、パラメトリックマスクで、モノクロームモジュールは、機能が単純で、例として分かりやすいので選ばれています。

画像をダークルームで開いて、モノクロームモジュールを開き、ブレンドOFFからパラメトリックマスクを指定します。次のようなメニューが現れます。

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パラメトリックマスク1

ここで、パラメトリックマスクの線の下には、L、a、b、c、hのチャンネル選択と上下に三角マークのついている2本の線があります。この2本の線には、ともに4つの三角形がついています。この2本の線はカラーチャンネルスライダー(CCS)と呼ばれ、パラメトリックマスクを定義する関数を表します。左側のキャプションをみると、出力、CCSバー、入力、CCSバー,マスク結合の順になっています。下図のように、上のCSSバーがモジュールの出力用、下のCSSバーがモジュールの入力用になります。2本のバーはパラメトリックマスクの不透明関数を定義する同じ機能を持ちます。

 

 

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チャンネルタブ

 

CSS関数

CSSの関数は、上のように、CSSバーの右端が丸付き+の場合には、範囲選択関数、右端が丸付きーの場合には、選択範囲解除関数になります。+とーはトグルになっていて、右端の+またはーのついた〇をクリックすれば、入れ替わります。

範囲選択関数

2本のCSSバーで作られた関数は右端が+の範囲選択関数の場合には足のついた台形の形をしています。まず、2本のCSSバーのうち、下側の1本だけをつかい、上側のバーはそのままにしておきます。

下側のCSSバーの4つの三角形を移動して、台形を作ります。台形を作るとは、三角形の位置が左から順に、入力側の左から1番目の三角形、出力側の左から1番目の三角形、出力側の左から2番目の三角形、入力側の左から2番目の三角形の大きさの順に値を与えることです。次の図の場合ですと、三角形の位置が左から順に、入力側の左から1番目の三角形(=10)、出力側の左から1番目の三角形(=40)、出力側の左から2番目の三角形(=70)、入力側の左から2番目の三角形(=90)となります。

注意してほしいのは、2本のCCSバーの間になる入力行の値(10,40,70,90)です。これは、出力側の左から1番目の三角形、入力側の左から1番目の三角形、出力側の左から2番目の三角形、入力側の左から2番目の三角形になっていてます。出力行にある4つの数字が、1本目のCSSバーの4つの三角形の位置を、入力行にある4つの数字が、2本目のCSSバーの4つの三角形の位置を表しています。関数の値は、次図の縦軸、Capacityになります。なお、ここでの数字は百分率です。関数のあたいは、(1,10)では0%、(40,70)では100%、(90,100)で0%になり、(10,40)は線形に増加、(70,90)は線形に減少します。

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CSS関数1

 

 

範囲選択解除関数

2本のCSSバーで作られた関数は右端がーの範囲選択解除関数の場合には逆台形の形をしています。右端の+マークをーに変えて、同じ数値例を入力すると、三角形の位置が左から順に、出力側の左から1番目の三角形(=10)、入力側の左から1番目の三角形(=40)、入力側の左から2番目の三角形(=70)、出力側の左から2番目の三角形(=90)となります。関数の値は(0,10)が100%、(40,70)が0%、(90,100)が100%、(10,40)は線形に減少、(70,90)は線形に増加になります。次に、例を示します。

 

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CSS関数2

 

台形に選択範囲解除関数を適用、あるいは、逆台形に選択範囲関数を適用しようとしても、スライダーの上の三角形が移動せず、関数が設定できません。

不透明関数の作成

不透明関数はCSSバーの三角形を移動して作成します。CSSバーは、色空間のチャンネルに設定されています。

この部分の説明は、次回にすることにして、とりあえず、赤い花を例にしたマニュアルと同じようにhチャンネルを開くと次のようになっています。ここで、CSSバーの上にある矢印のカラーピッカーを起動します。

 

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パラメトリックマスク2

 

中央の画面にピッカーの位置を示す四角が表示されます。ここでは、四角が赤い花の上にあるので、位置を変えませんが、必要であれば、ピックスする位置を移動します。

 

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パラメトリックマスク3

 ピッカーが有効になると、入力CSSバーの上に白い縦線が現れます。これが、ピックした色の位置なので、これを含むように、三角形を移動して、台形の関数を作成します。

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パラメトリックマスク4


 

次が、台形の関数を作成した例ですが、この状態ではマスクは表示されず、メインの画面は変化しません。

 

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パラメトリックマスク5

中央のメイン画像は、マスクが効いた状態になります。

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パラメトリイクマスク6

マスクを表示するためには、三角形を移動するときに、シフトキーを押しながらマウスを操作する必要があります。また、操作し終わったあとで、マウスがCSSバーの上にあることが必要です。下の図はシフトキーを押しながらマウスを操作した例で、マスクが表示されています。

モジュールの操作では、ます、左上の小さなが画像に変化があらわれ、次いで、中央の画面に変化が出るのですが、今回は、マスクなので、中央の画面にのみ表示が現れます。

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パラメトリックマスク7

あとで比較するためにマスクの部分だけを再度表示します。

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パラメトリックマスク8


 

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パラメトリックマスク9

マスク作成の目標は、花の色を残して、周辺をモノクロームにすることです。

右端の+をクリックして、ーに反転します。

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パラメトリックマスク10

おおむね、花の色がのこり、周辺がモノクロームになりました。しかし、花の色の中にモノクロームが混在していて、問題がのこっています。

 

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パラメトリックマスク11

この状態で、シフトキーを押してマウスを操作して、マスクを表示してみます。マスクは、反転前と同じになっています。

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パラメトリックマスク12

 

描画マスクで使ったように、左下の黄色のボタンを押すことでも、マスクを表示することができます。

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パラメトリックマスク13

これが、+の場合のマスクです。

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パラメトリックマスク14

これが、-の反転の場合のマスクで、こちらでは、マスクは反転しています。

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パラメトリックマスク15

今のままでは、花の形にパラメトリックマスクができていません。今回は、ちょっと、複雑な説明であったので、ここまでにして、次回は色空間の説明からはじめはじめて、続けます。