(DXでは、アルゴリズムを使って、同じ作業を繰り返さないことが基本になります)
デジタルシフトが労働生産性を上げることができる理由に、同じ作業を繰り返さないことがあげられます。
電卓で、集計するような作業は、一度、プログラムをコーディングすれば、その後、作業は全てコンピュータが実行します。
自動運転のプログラム作成は簡単ではありませんが、一度、プログラムが完成すれば、その後の運転作業は、全てコンピュータが実行し、運転手は不要になります。
自動翻訳も同じ考えです。
自動翻訳は、まだ、未完成ですが、それでも、自動翻訳を使うと辞書を引く回数が減るので、翻訳にかかる時間を節約することができます。
こうしてDXは、同じ作業を繰り返さないので、労働生産性を劇的に改善しますが、その実現には、作業をプログラム化する必要があります。
集計のプログラムが簡単にできる一方、自動運転のプログラムが簡単にできない理由は、自動運転の作業の手順が複雑なためです。作業の手順をプログラム化できるように記載したものをアルゴリズムと言います。
DXにおいては、「アルゴリズムをどう組み立てるか」が大きな課題になります。このため、問題解決の議論の中心は「アルゴリズムをどう組み立てるか」という「アルゴリズム思考」になります。
アルゴリズムができれば、プログラムのコーディング、周辺機器の接続といった実装作業は、基本的なスキルを持ったエンジニアであれば、誰でもできるので、アウトソーシングができます。
アルゴリズムができない状態で、DXをアウトソーシングすることは、理論的にはできませんが、実際には、頻繁に行われています。ITベンダーは、発注者側の要求が理不尽で、実現可能性が低いことがわかっていますが、お金が入るので、発注者の気分を害しない範囲で、お茶を濁しています。
自動運転に見られるように、問題が複雑になると、完全なアルゴリズムを構築することは容易ではありません。しかし、問題をアルゴリズム思考で処理しないと解決に向かって進むことができません。
アルゴリズム思考が有効に働くのは、繰り返し作業の場合だけです。
一度しか発生しない作業は、コンピュータを使わずにマニュアルで行うことが効率的です。
逆に言えば、DXを進めていく中で、繰り返し作業が見つかれば、それを、アルゴリズム化して、プログラムで代替できないか検討します。この代替ができれば、労働生産性が劇的に上がります。つまり、ITエンジニアは、アルゴリズム思考が、習慣化しています。これは、労働生産性を上げる基本です。
米国の企業の幹部の給与は、利益の何%をどのように配分するかというアルゴリズムで記載されています。アルゴリズムをいったん決めれば、アルゴリズムの変更がない限り、給与の交渉は不要で、労働生産性が上がります。
日本の春闘は、アルゴリズムになっていないので、毎年、数字そのものを交渉しますので、春闘協議の労働生産性は最悪です。
利益は、企業によって違うので、一律の賃金交渉ができるわけがありません。
どうして、労働生産性を引き下げて、賃金を下げるために時間を使っているのか、理解できません。
労使共に、ヒストリアンか、社会主義者なのでしょう。
国会でも、一時金の支給といった繰り返しのない生産性の悪い作業をしています。基本的な法律を改正すれば、予算がつけばそのアルゴリズムは毎年実施されます。法案自体の成立に時間がかかっても、あとは毎年法律に従って、政策が実施されます。
アルゴリズム思考からすれば、一度しか実施されない法律に時間を割けば、労働生産性が下がって、肝心なことを検討する時間がなくなることは自明です。
また、国会答弁を見ていると、質問も答弁も、予想されたとおりの内容の繰り返しです。
生身の人間が実施する必要は全くありません。
メタバースで、議員のアバターが、答弁すれば、人手をかけずに同じことができます。
アルゴリズム思考をつかって、労働生産性をあげられないIT企業は、直ぐに淘汰されます。
日本株式会社も、アルゴリズム思考を無視して、労働生産性の向上をないがしろにしたので、傾いてしまったのではないでしょうか。