Purposeとmission(3) 情報の見分け方

情報の見分け方

「Purposeとmissionも、情報の見分け方である」というテーマです。

Purposeとmissionは、企業の経営の立ち位置を決めるコンセプトです。

政府は、12月に入って、10万円給付と、オリンピックの外交ボイコットについて、態度を明確にしていません。

マスコミは、連日、この2つを話題にしています。

オリンピックの外交ボイコットについて言えば、日本には、米軍が駐留していますから、米国の軍事支配下にあります。

以前、安倍前首相が、日本は米国にはっきりものをいうといって、訪米して、2、3日で、方針転換をしたことが良く知られています。

こうした客観情勢を考えれば、米軍の支配下にある限り、外交ボイコット以外の選択肢はありませんし、中国もそのことは理解しているはずです。

長期的に米軍との関係をどのように修正していくかは、米国との外交交渉の課題になりますが、短期的には、問題になりません。

結局、この2つの問題に対する方向性が決まらないというのは、Purposeとmissionの双方がないからだと考えられます。

Purposeとmissionが、なければ、議論しても始まらないので、時間の無駄です。

マスコミが、無駄を、繰り返しているということは、マスコミも、Purposeとmissionをもっていないことを意味します。

このように考えると、「Purposeとmissionも、情報の見分け方である」と言えると思います。

Purposeとmissionのルーツ

Purposeとmissionがないということは、選挙の支持母体である業界や企業の利益を代表しているからかもしれません。

しかし、purposeとmissionは、企業経営の理念から出てきた概念です。つまり、選挙の支持母体である業界や企業が、purposeとmissionを持っていれば、政府が、purposeとmissionを,持たないわけはありません。

ですから、この問題は、根が深いといえます。

企業経営が、SDGなどに関係したpurposeとmissionを持っていれば、それは、政府を動かし、政府も、purposeとmissionを明確にするはずです。

天安門事件の時には、日本は、率先して、人権問題を無視して、貿易再開に動きました。

しかし、現在の企業理念は、大きく変わっています。米国は、人権問題のある国や企業とは取引をしない方向を明確にしています。

中国もまた、米国と関係のある企業とは取引をしない方向に動いています。

つまり、どちらも、経済のブロック化に、動いています。

米国の投資家や投資企業は、現在の中国との貿易量の大きさから、ブロック化は困難で進まないだろうと述べています。

しかし、投資企業が、ブロック化が進むと、利益が減りますので、楽観的な見通しを述べているだけです。

10年前には、BRICSなど、途上国の経済が成長する、そこに投資すれば、利益がでると、投資企業は主張しました。

確かに、2000年から2010年の間には、途上国経済は伸びたのですが、最近の10年は、成長が鈍化しています。

このことを考えると、投資企業の見通しより、エマニュエル・トッド氏の見通しの方が、バイアスが少ないと思われます。

世界は、冷戦期のように、ブロック経済圏に、徐々に後戻りすると予想する訳です。

現在、国単位でみれば、ブロック経済を、防止する勢力はありません。

米国が、ブロック経済に方向転換した場合に、中国が、グローバル化を促進することはありません。

中国の主張するグローバル化は、現実には、グローバル化ではなく、経済の政治化に他なりません。

ですから、米国が撤退した後では、グローバル化を促進する勢力はありません。

第3の勢力であるEUは、内部に矛盾を抱えていますので、グローバル化に動くことはありません。

EUグローバル化は、実質は、ドイツの一人勝ちにほかなりませんので、動けないのです。

そう考えると、これからは、どちら陣営につくが問われてきます。

つまり、人権問題などの、政治抜きの経済はあり得ません。

Purposeとmissionの背景には、こうした動きがあります。

失われた20年で、日本の企業の経済価値は、小さくなり、ほぼ途上国になりました。

しかし、次に、待っている課題は、purposeとmissionを明確にしないと、取引をしてもらえないという世界と考えます。

  • 与野党内から「外交ボイコットを」相次ぐ 首相は明言避ける 2021/12/14 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/f34a5175284554527c0d6e848bd0eb299a9fbc2d

  • 10万円給付“現金も”転換…自治体は困惑 2021/12/14 0テレNEWS

https://news.yahoo.co.jp/articles/8eaa55e524d91bc2a68cb7ab2e55d01bbae7784a