「日本製鉄vs.宝山鋼鉄・トヨタ」報道

「日本製鉄vs.宝山鋼鉄トヨタ」の問題については、以下で論じています。

 

ESG投資とトヨタと水平分業 2021/10/21

 

その後、フォローアップの記事が2本でました。1本は、有料記事でサマリーだけが公開です。

わかる範囲で、追跡してみます。

2021/10/25のJB pressに横山恭三氏は、「 2012年、新日鐵住金(2019年4月1日に日鉄に商号変更)の(方向性)電磁鋼板に関する営業秘密情報が韓国の鉄鋼大手ポスコに盗まれ、その情報が中国の宝山鋼鉄に流出していた」として、今回の「無方向性電磁鋼板」に関する特許の技術流出は2回目であるとしています。

横山恭三氏は、トヨタ宝山鋼鉄の電磁鋼板の日鉄の特許を侵害を認識していたとみなしています。

トヨタ特許権侵害の疑いのある宝山鉄鋼製の電磁鋼板を採用した理由は、中国政府からの圧力と推測しています。

つまり、ESGとしては、妥当な対応でないという判断で、この点では、筆者の記事と一致しています。

2021/10/19のForesightの後藤康浩氏は、「中国EVメーカーにブレーキをかけるという『仮説』を立てて読み解けば、素材・キーデバイスでプロパテント戦略を仕掛ける日米欧の狙いが浮かび上がる」という視点で、記事を書いています。ただし、仮説はよくわからないところもあります。

公開ページには、「宝山鋼鉄は日鉄の前身である新日本製鐵が全面的な技術支援で中国最初の近代的な大型高炉、一貫生産の臨海型製鉄所として誕生した。粗鋼生産量では2010年に宝山が新日鐵を抜き、その後の経営統合で規模を拡大した宝山の親会社宝武集団の2020年の粗鋼生産量は1億1529万トンと日鉄の2.8倍で、日本全体をも上回る。利益水準でも宝山が日鉄を上回り、当然ながら研究開発の面でも日鉄は急激に追い上げられている。日鉄は宝山に対し、設立以来様々な技術供与を行い、なかでも自動車の外板に使う亜鉛メッキ(GA)の高張力鋼板(ハイテン)を現地生産するために、2004年に合弁で宝鋼新日鐵自動車鋼板有限公司(BNA)を設立、トヨタ含む日系合弁自動車メーカー向けの中国拠点に供給してきた。」という内容が書かれています。

これを見ると、横山恭三氏の単純な「技術盗用」ではないとも言えます。

中国に外国企業が進出する場合には、合弁企業を作ることが条件で、なおかつ、株式の所有は、最大でも49%というWTOからみれば、おかしな、ルールを強要してきたので、「技術盗用」が合弁企業に、織り込み済みの部分もあります。

トヨタのESG対応に関する筆者の考えは変わりませんが、「知的財産戦略」については、これからは、今までのように、グレーな対応が出来なくなっているということが背景にあると思われます。

 

 

  • 日鉄の宝山鋼鉄提訴で見えた中国・韓国の技術盗用手口

海外でのビジネス優先に潜む技術立国崩壊の危険性 2021/10/25 JB press 横山恭三

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67440

  1. 「日本製鉄vs.宝山鋼鉄トヨタ」訴訟の隠れた意味を「対中封じ込め」で読み解く 2021/10/19 Foresight 後藤康浩 有料記事

https://www.fsight.jp/articles/-/48341

https://news.yahoo.co.jp/articles/69d30d45233a36c7bf1a240e802b9af4123ebad2

 

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