ITベンダーの生き残りの可能性 - computer

数と質

IT人材が、不足するという話は、前から出きていて、需給のギャップを推定しています。

今回の話題は、この需給のギャップに、あまり意味はないのではないかという疑問です。

このブログでは、darktableというデジタル写真の編集ソフトの説明をしています。

筆者は、このソフトは、非常に優れていると思います。マニュアルは、随分改善されていますが、完全ではありません。ソフトは6か月毎にバージョンアップしますので、利用するには、その変化についていく必要があります。もちろん、ソフトについて、疑問点をディスカッションするフォーラムは充実していますが、難しい質疑応答になると、ソースコードが参照され、その点は、ソースのここに書かれているから見てくれとなります。

これは、ブラックボックスの市販のソフトより、精神衛生上は、はるかによいです。

とはいえ、使える時間を100ポイント（％）とすれば、学習の30ポイント使えば、写真の編集に使える時間は、７０ポイントしか残りません。つまり、学習能力の高い人ほど、作業に使える時間が長くなります。

こうした学習能力の問題は、ITについて、一般的な特徴です。

通信障害が頻発しているCOBOLのように40年間の変化が小さいソフトは例外で、ほとんどの最新の開発環境は、2、3年で大きく変化します。

そうなると、ITエンジニアの数より、質が重要になります。優秀なITエンジニアを抱えていない企業は、学習が追い付かず、先端的なシステム開発ができません。

何が先端か

こう考えますと、ITの会社で、先端的なシステム開発ができていないところは、淘汰されるでしょう。

それでは、何が先端的かが問題になります。

筆者は、OS、プロセッサ、クラウドを含むネットワークの3種類だろうと考えています。

１）OS

OSは、寡占で、日本製は、むかし、TRONというプリミティブなOSがありましたが、現在は、ここで、勝負できるIT企業は日本にはありません。Googleにしても、androidは、自社開発ではなく、買収していますから、ここは、非常に狭き門です。今後の主戦場は、自動車のOSではないかと思います。現時点では、テスラが、先をいっていますが、スタンダードが、どこになるかは、予断をゆるしません。

２）プロセッサ

これは、最近、変化が大きいです。Intelの独占から、NDIVEAのような、GPUメーカー出てきて、更に、最近は、アップル（M1Pro、M1 Max）、Google（Google Tensor）、テスラなどが、SoCを内製しています。

内製といっても、設計は、アームと共同、製造は、SMCですが、出来合いを購入するという例は減っています。

３）ネットワーク（クラウド）

クラウドでは、アマゾンとマイクロソフトが、今まで2強でしたが、Googleのシェアが10％近くに上がっています。Googleは、まだ、黒字化していませんが、クラウドを押さえないと生き残れないと考えているフシがあります。

衛星通信は、自前のロケットを持っているスペースXとブルーオリジンが先行しています。

KDDIは、スペースXと提携をはじめました。このまま行くと、日本のITベンダーやスマホの会社は、アマゾン、テスラなどの系列企業に統合されるのでしょうか。

４）電池

電池は、直接ITではなりませんが、テスラは内製化しています。これは、EVの製造費に占める電池の割合が高いためです。しかし、容量当たりの単価は急速に下がっています。アップルやGoogleは、電池価格が下がってから、EVに本格参入する計画かもしれません。トヨタは、電池には、投資していますが、OS、プロセッサ、クラウドの戦略がよく見えません。

まとめます。

先端的なシステム開発の視点で考えれば、ITエンジニアの数より、質が大事です。これは、とりもなおさず、出来高に対して、それなりの高給で処遇することになります。

OS、プロセッサ、クラウドを含むネットワークの3種類について、日本のITベンダーが、競争力があるかと問えば、日本のITベンダーの将来は自動的にわかります。

筆者には、とても、薔薇色だとは思えません。