官僚制リベラリズムの課題

立憲民主党のリベラルの限界と官僚制リベラリズム

立憲民主党は、リベラルであると主張しています。

しかし、自民党が、リベラルなため、この主張には、説得力がありません。

立憲民主党は、社会民主主義に入らない範囲で、自民党以上に、リベラルな政策をできる余地はありません。

この点は、既に論じています。

 

立憲民主党は、何ができるか 2021/11/21

立憲民主党は、自民党より、リベラルではない 2021/11/20

 

本来の2大政党であれば、大きな政府か、小さな政府かの選択ができるはずですが、日本には、小さな政府を目指す政党はありません。

小さな政府が、不平等を助長するような説明が流布していますが、それは、政治思想の曲解です。

小さな政府論者は、結果の平等は求めませんが、機会の平等を追求します。そのためには、市場原理を最大限に活用して、結果の不平等が生じて、生活困窮者が出た場合には、その部分にだけ、重点的に、セーフティネットを設けるべきであると考えます。ベーシックインカム生活保護こそが必要な政策であって、多くの補助金や、助成金を廃止して、生活困窮者以外は、自助努力をすべきと考えます。

と、ここまで、書いて、頭を抱えました。

典型的なリベラルの政治思想家であるロールズは、人種や性別、才能や家庭の財力など、生まれついての違いに発する暮らし向きの格差を是正することを目指していますが、結果としての平等を追求している訳ではありません。

世界的に見て、結果の平等を求める日本のリベラリズムは、社会主義国を除けば、突出したリベラルの位置にあります。

日本の基準で見ると、ロールズも、保守に見えてしまいます。

そして、日本では、「結果の平等を求める」お題目とは別に、先進国にはあるまじき「結果の不平等」と生活困窮者が存在しています。

どうしてこうなるかが問題です。

その主原因は、未達の結果の平等の追求の影で、機会の平等が失われていること考えます。

更に言えば、原因のひとつは、官僚制リベラリズムにあると思われます。

官僚制リベラリズムとは、筆者の用語で、政策執行の実務を官僚が取り仕切ると、全ての政策は、官僚機構の拡大を目指す大きな政府にいきつくという視点です。つまり、官僚制を活用しながら、小さな政府を目指すことは、非常に困難です。小さな政府論者の代表は、サッチャーでした。サッチャーの政策には、副作用もありましたが、イギリス経済を立て直したと評価されています。

自民党も、立憲民主党も、政策立案に、官僚の力を借りれば、官僚制リベラリズムを免れることは困難です。実際に、民主党政権は、官僚主義を批判しましたが、それに代わる政策立案能力を伴わず、迷走しました。

リベラリズムの鉄則

人類学者のデヴィッド・グレーバーは、「官僚制のユートピア―テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則(2014)」の中で、「『リベラリズムの鉄則』が意味することは、いかなる市場の再編、つまり、お役所仕事を減らし、市場原理を促進しようとする政府の主導はどんなものであれ、規制の数全体、書類事務の量全体、そして、政府が雇う官僚の数全体を究極的には増やす結果になる」とのべています。

リベラリズムの鉄則』は、官僚制リベラリズムとほぼ同じ意味になります。

筆者が、『リベラリズムの鉄則』といわずに、官僚制リベラリズムというのは、検討対象が日本であるためです。

また、グレーバーは英米で、活動しています。英米では、シンクタンクや、ロビー活動が、政策が立案する能力は、日本とは比較にならない程高いです。それでも、『リベラリズムの鉄則』が効いているといいます。

日本では、英米に比べ、シンクタンクや、ロビー活動は、問題にならない程、低いレベルです。このため、『リベラリズムの鉄則』は、より強力に作用するので、官僚制リベラリズムと使い分けるべきと考えます。

また、『リベラリズムの鉄則』に、近い主張は、マーフィーの法則でも見られましたので、鉄則や、法則と言うまでもないと感じます。

データサイエンティストの視点

なお、データサイエンティストの視点でみれば、保守もリベラルもありません。

政策は、評価可能なモニタリング計画とセットで、実施され、エビデンスを元に、順次、継続、修正または、廃止されるべきものです。

データサイエンティストは、保守かリベラルかの議論よりも、エビデンスに基づく、政策や官僚組織の組み換えを政策決定システムに組み込むことがより重要と考えます。

データサイエンティストは、個別の助成金補助金よりも、エビデンスに基づく、政策を改善するための学習システムが、存在しないことが、非科学的で、非効率と考えます。

特に、政策実行時に、モニタリング計画がセットで、実施されないことは、目をつぶって、自動車の運転をしているようなもので、政策の効果があがるわけがないと考えます。

まとめ

データサイエンティストの視点が、一番簡単で明確ですが、選挙の争点には、なりにくいと思われます。

そうすると、立憲民主党は、自民党の官僚制リベラリズムとの差別化ができないと、存在価値がなくなります。

 

 

The Utopia of Rules: On Technology, Stupidity, and the Secret Joys of Bureaucracy , Graeber, David

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784753103430

紀伊国屋書店の内容紹介がわかりやすかったので、紀伊国屋書店を引用しています)