区切りをつけることの重要性

昨日の購買力平価でみた一人当たりGDP議論でも、おおむね毎年低下していると思っていたら、いつの間にか、OECDの先進国グループの最末尾になっています。

コロナウィルスの感染拡大は、毎日少しずつ、増加傾向にあるのですが、どこまでに抑えようという明確な区切りを付けないと、気が付いた時には、感染拡大が止まらなくなっていたことになりそうです。実際に、昨年の12月には、感染が増えているけれど、さほど、急ではないと思っているうちに、かなり、ひどい状態になっていました。つまり、今回も、昨年末の失敗から、学習できていないので、また、失敗が繰り返されそうです。

このように、変化が少しずつ起こって、最終的には、制御不能になる現象は、「ゆでガカエル現象」と呼ばれます。気が付いた時には、命取りになっていて、後の祭りであるという現象です。悲劇が起こる原因は認知バイアスにあります。変化が緩やかな場合には、感覚的判断に従ってはいけないのです。このような場合には、区切りを設けて、測定値と比較し評価する必要があります。

3月にコロナウィルスの非常事態宣言が解除されましたが、その判定は、明確な数字に基づくものではありませんでした。したがって、現在は、「ゆでガエル現象」の最中にいる可能があります。

2%のインフレ目標も、いつまでに、2%という区切りが無視されて暴走しています。

区切りをつけると、成功と失敗が明確になります。例えば、1月に非常事態宣言を出した時に、1か月後に、感染者数なり陽性率をいくらにするという区切りを明確に設定すれば、成功と失敗が明確になります。この場合には、誰かが責任を追及されることになります。これを避けて、区切りを明確に設定しなければ、無責任状態になります。そのため、過去に失敗した政策が繰り返されるので、状況は改善しなくなります。

次年度予算は膨れ上がりました。しかし、過去の政策について、区切りを明確に設定した評価がなされていないので、失敗が繰り返されている可能もあり、効果は不明です。

区切りを明確に設定した評価が、予算拡大よりも重要と思われます。