最近の検査数と陽性率~コロナウィルスのデータサイエンス(114)

できること

2月頃から、コロナウィルスの記事を書いていますが、もうすぐ半年になります。

感染拡大防ぐ方法をデータサイエンスで検討するには、PCRのデータを増やすこと、PCRのデータと感染拡大の過程の分析ができるように、PCRの属性データを公開することの必要性を申しあげてきました。

残念ながら、この2つは未だに達成されていません。PCRの公開データは、数が、圧倒的に不足している上に、公開された属性がなく、分析はできません。

数と属性がそろったデータが公開されていれば、感染経路のリスク評価ができます。つまり対策が検討できます。

しかし、現在は、何かが行われていますが、どうして、それが有効な対策になるのかの、バックデータは示されていません。

米国の感染者数は膨大です。それだけをみれば、米国はコロナ対策に失敗して、日本は成功しているように見えます。しかし、米国の場合、データが公開され、対策で何をすべきかが検討され、実施に移されている州もあります。米国は、合衆国なので、コロナウィルス対策は、州ごとに異なるので、州ごとの対策を追跡しないと何が行われているかはわかりません。米国でも着実にコロナウィルス対策が進められている州はあります。一部の州では、PCRで可能な限りリスクを取り除くことが実施されています。そこでは、感染拡大を止めるには、何をすべきかという対策が明確になっていて、着実に前に向かって進んでいます

日本の場合には、Xファクターがあるので、何もしなくとも問題はないのかもしれません。しかし、Xファクターがなく、単なる時間遅れの問題であれば、感染は拡大します。おそらく、現実は、弱いXファクターと時間遅れ効果の合成効果と考えています。(注1)ひょっとしたら、コロナ戦線の戦況はミッドウェー大戦前にあるのかもしれません。コロナ戦線の最終戦で、日本が米国より成功するという予測の根拠はありません。年功序列と企業内留保が温存されているので、倒産と解雇の数は米国より少なくなりますが、これは、ポストコロナの世界に適応する面では、リスクでもあります。

 

ともかく、公開データがありませんので、データサイエンスが現在できることは、指をくわえて見ているだけになります。

ということで、見ているだけの報告をします。

最近の検査数と陽性率

 

図1は、東京都の検査数・陽性者数・感染者数です。検査数が落ちてきているので、感染者数は減少します。グラフの感染者数は2日ずらしてあります。

図2は、東京都の陽性率(縦軸:%)と陽性者数(横軸:人)の日の値です。最新のデータには日付の数字を加えてあります。27日20時30分公開の最新データは、26日のデータです。ただし、このデータ更新は曲者で、あとになって、突然、26日の検査数が増えるというように、過去にさかのぼってデータが更新されます。感染拡大から、4か月たっても、まだ、まともな情報システムが構築されていないのです。ですから、グラフはそのリスクを理解した上で、解読する必要があります。なお、陽性率と陽性者数は7日間移動平均です。

7月21日から22日の間では陽性者数と陽性率が増加しています。この傾向は、7月22日までは、一般的な変化です。しかし、22日以降は、陽性率が変化せずに、陽性者数が減少します。25日から26日の間には、陽性率の減少が見られますが、22日から25日は陽性率は微増です。右上に矢印を示しましたが、本来は、陽性者数の減少は陽性率の減少と同時に起こるべきものです。

繰り返しになりますが、コロナウィル対策をサイエンスに基づいて行うために使えるデータはPCR検査だけです。他のデータの信頼性は、かなり低いです。PCR検査をかなりの数行い、移動経路などの属性データとリンクさせて、分析すれば、有効な対策と、効果のない対策が明確にわかります。

 

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図1 検査数・陽性者数・感染者数

 

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図2 陽性率と陽性者数

 

追記(28日14:30)

28 日の感染者数が270人以上という数字が出てきました。

陽性率が変化した可能性があります。

ただ、個々のところ、PCR検査のデータの公開は2,3日ごとなので、29日または30日の20時30分過ぎにならないとわかりません。

また、陽性率があがったときの、具体的な対策が見えていません。

注1:

これは単に事前確率を考えるときによく使われるベイズ的な発想です。

引用

  • 都内の最新感染動向 最終更新 2020年7月27日 20:30

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/