梅を撮る(2)

コントラスト方式の自動焦点カメラの問題点

梅の花が、開いてきて、大写しの写真は、あと1週間くらいで、撮れなくなりそうなので、現在、集中的に梅の花にとりくんでいます。

ミラー付きの一眼レフが、ミラーで、画像センサーと、位相差距離センサーを切り替えて、撮影していたのに対して、出始めのころのミラーレス一眼レフは、画像センサーに写るデータをもとに、コントラスト方式で自動焦点あわせをしていました。しかし、コントラスト方式は、位相差距離センサーより、速度(と精度?)が劣ります。もちろん、アルゴリズムの改善で、性能はかなり向上しましたが、それでも、差があります。結局、このミラーレス一眼レフが、ミラー付き一眼レフより自動焦点が合いにくい問題は、画像センサー内に、位相差距離センサーを埋め込むことで解決します。しかし、全ての一眼レフ(レンズ交換式)カメラが、位相差センサーを埋め込んだ画像センサーを使っている訳ではなく、入門機には、位相差センサーのない画像センサーを使ったコントラスト方式を採用しているメーカー(フジフィルム、オリンパス)や、全機種で、コントラスト方式を使っているメーカー(パナソニック)もあります。コントラスト方式の場合には、縞模様などに対して、アルゴリズムがうまく働かないとマニュアルに断ってあります。

筆者のカメラで利用頻度の一番高い機材は、オリンパスペンで、コントラスト方式ですが、通常は、自動焦点に大きな問題はありません。もちろん、動きの速い被写体を撮影する場合には、位相差方式のカメラ程の速度は出ませんが、そのデメリットよりも、カメラが小さくて、簡単に持ち出せるメリットの方が大きいです。

しかしながら、オリンパスペンに望遠レンズを付けて、梅の花を撮影したところ、焦点が合わない場面が続出しました。m43では、コントラスト方式の自動焦点の性能は、パナソニックが、オリンパスより優れています。これは、パナソニックが位相差センサー付き画像センサーを導入しない理由でもあります。実際に、パナソニックの入門m43では、走っている犬を撮影できます。コントラスト方式のオリンパスのカメラでは、かなり難しい場面です。そこで、梅の花に、ピントが合わないのは、オリンパスコントラスト方式の性能が良くないからで、パナソニックなら何とかなるだろうと、パナソニックの入門機を使ってみました。でも、やはり、ダメでした。

ダメついでに、フジフィルムの入門機で、望遠レンズを試したのですが、やはり、ダメでした。この入門機は、理由は不明ですが、レンズ交換式カメラでは珍しく、マクロ撮影モード(マクロレンズではなく、コンデジについているようなモード切り替え)があり、それも、使ってみましたが、効果がありませんでした。

こうなると、入門機だから焦点が合わないのであって、パナソニックの高級機材なら、コントラスト方式でも梅の花がとれるのか、気になりました。パナソニックの高級レンズ交換式カメラはもっていませんが、コンデジなら、そこそこのLX-100があります。そこで、最後に、LX-100を持ち出して試して見ました。LX-100は高級コンデジなので、コントラスト方式のアルゴリズムに手抜きはないだろうと考えたわけです。

結果は、ダメでした。LX-100を操作して気づいたことがあります。プログラムモードで、ほどほど絞って撮影する場合には、問題はありませんでした。絞り優先モードで、絞りを目いっぱい開けると、焦点が合いませんでした。これは、考えてみれば、当たり前のことで、絞った画像には、コントラストで焦点を合わせる模様がたくさんつきますが、絞りをあけて、画像がボケてしまうと、コントラストで焦点を合わせる模様がなくなってしまうからです。これから、(確認はしていませんが、)パナソニックの高級レンズ交換式カメラだから、コントラスト方式でも、絞りを開けて、梅の花が望遠で自動焦点で撮影できるとは考えにくいです。

というわけで、ここのところ、ボケた梅の写真に振りまわされています。今回は、撮影できなかった話なので、サンプルはありません。望遠レンズの場合には、プログラムモードで、ある程度絞ってもボケは出るので、あえて、絞りを無理に開けることはないという結論になりました。絞り優先ならF8でも大丈夫そうです。この条件なら、コントラスト方式でもほどほど自動焦点が使えます。

この記事だけよむと、コントラスト方式のカメラより、位相差センサー方式のカメラがよいと思われるかもしれませんが、画像センサーに埋め込んだ位相差センサー方式も10年くらい前の技術です。パナソニックが、位相差センサー方式を取り入れないのは、動画には、向いていないからだともいわれます。最新の距離計測技術は、iPhoneiPadに採用されているLiDARで、位相差センサーとは比較にならない性能があります。今後、パナソニックが、距離センサーを導入するとしたら、位相差センサーをとばして、LiDARになると思われます。