撮影時と現像時の露光補正の課題(1)
撮影時の露光について、テキストやマニュアルに書かれていることを再度ためしてみます。今回は、画像だけでなく、ヒストグラムにも注目します。
写真1、2、3が0EV、-2EV、+2EVで撮影したハーブの瓶で、背景は白になっています。背景が白いので、ハーブの瓶は、0EVでは、見た目より写るはずです。写真1、2、3はJpeg画像データです。写真3は、白飛びを表示しています。
写真1、2、3のヒストグラムを比べると、露光が明るくなると、ヒストグラムが右に移動していることがわかります。
念のために、写真4に、3枚のヒストグラムをー2、0、+2EVの順に、まとめて並べています。
ここまでは、一見、露光調整で画像の明るさが調整できて問題がないように思われます。
図1は、露光調整で、ダイナミックレンジがどのように対応するかを示しています。背景が白の場所に置かれた瓶は、実世界のヒストグラムの平均が、Jpeg のグレースケールの平均に対応するREDと書かれたバーに転写されます。右の赤い矢印の部分は、そのときに白飛びしている部分です。この状態では、瓶は見た目より暗く写るので、露光を明るくします。そうすると、実世界のダイナミックレンジは、今度は、GREENと書かれたバーに転写されます。REDのバーより、GREENのバーが左にあります。これは、Jpegのヒストグラムで考えれば、ヒストグラムが逆方向の右に動くことになります。したがって、画像が明るくなります。しかし、白飛びの部分は、赤の矢印から緑の矢印に拡大してしまいます。
図1に見るように、この実世界は、明るいダイナミックレンジのデータが主体で構成されていますから、明るい部分のデータはいちばんおいしい所です。しかし、露光補正するとその部分が飛んでしまいます。
もちろん、実際に、露光補正するとすぐに白飛びするカメラでは売れません。ですから、カメラメーカーは、これを避けるために、トリックをしています。
次の後半は、このトリックを取り上げます。