12月に東京でコロナウィルスの医療崩壊は起こるか~コロナウィルスのデータサイエンス(164)

12月に東京のコロナウィルスの医療崩壊は起こるか

Googleの予測は、今後も新規感染者数がゆっくりと増加するというものです。

一方、最近2週間の実績を見ると、大きく増加している都道府県はありません。増加があっても緩やかです。

海外の医療崩壊が起こっている国では、新規患者数の増加が大きく、医療がそれについていけない状況です。それに比べれば、最近2週間の我が国の新規感染者数は増加しているとは言えないレベルです。しかしながら、いくつかの自治体は、医療崩壊の危機に見舞われ、自衛隊の出動を要請しています。

これから、見ると、新規感染者数は、利用崩壊を防ぐための監視指標としては、機能しないことがわかります。おそらく、重症患者数を考えないといけないことになります。

重症患者数は、入院患者数の内数で、入院患者数は、新規感染者数の関数です。退院患者数の変動の影響が小さいと考えれば、

新規感染者数ー>入院患者数ー>重症患者数

の関係を押さえておけばよさそうです。

図1に、11月1日以降の東京都の入院患者数と重症患者数の推移を示します。移動平均の新規感染者数と入域患者数の比率をp_rateで示しています。ただじ、右軸に合わせるために値は10倍しています。つまり、ここにはプロットしていませんが、新規患者数の3から6倍の入院患者数がいることになります。これは言い換えれば、平均入院期間が3から6日の間で変動することを意味します。11月10日以降では、p_rateは小さく、平均入院期間が短くなっていますので、治療法が改善しているのかもしれません。

入院患者のうちの重症患者の割合はs_rateですが、これも、右軸のスケールに合うように10倍にしています。s_rateは30から40の間をとることが多いので、重症化する患者の割合は3から4%になります。

図2に、p_rateのヒストグラムと集約値を示します。

中央値は、 3.976倍、第3四分位値は、 4.758です。

図3に、s_rateのヒストグラムと集約値を示します。

中央値は、3.318%、第3四分位値は 3.655 です。

Googleの推定新規感染者数と中央値、第3四分位値を使った予測値を、図4に示します。第3四分位値をつかった推定値でも、年内は重症患者が130人なので、ベッド数150に対しては、ぎりぎり(87%)持ちこたえる計算になります。逆に、言えば、感染者数は、12月30日で726人なので、835人で100%になります。つまり、900人を超えてくると、ベッド数が増えないと持たない計算になります。

 

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図1 東京都の入院患者数と重症患者数

 

person=入院患者数 左軸(人)

p_rate=入院患者数/移動平均新規患者数*10 右軸

serious=重症患者数 右軸(人)

s_rate=重症患者比率=serious/person*10 右軸

 

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図2 入院者比率(p)のヒストグラム

 

入院者比率(p)=p_rate=入院患者数/移動平均新規患者数*10 右軸

Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.

 

33.68 37.25 39.76 43.11 47.58 62.13

 

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図3 重症者比率(s)のヒストグラム

 

重症者比率(s)=s_rate=重症患者比率=serious/person*10 右軸

Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.

27.36 30.78 33.18 33.73 36.55 44.37

 

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図4 重症患者数の予測

 

m7new 移動平均新規感染者数 (google予測値12月2日版) 左軸(人)

m_person 推定入院患者数(中央値使用) 左軸(人)

3q_person 推定入院患者数(第3四分位値使用)左軸(人)

m_serious 推定重症患者数 (中央値使用)右軸(人)

3q_serious 推定重症患者数(第3四分位値使用)右軸(人)

 

大阪の課題

問題になっている大阪府の入院患者数と重症患者数を図5に示します。重症患者比率s_rateは最大で、17%にもなっています。東京都の重症患者比率s_rateは最大でも4.4%なので、3.9倍になります。

この問題については、12月2日に山中伸弥先生も言及していますが、ともかく、大阪府は重症化率がけた違いに高いです。

上記の東京都の計算も、重症化率が、4%に収まっていないと破綻します。第3四分位値の計算で使った重症化率は3.67%ですから、4.5%であれば、東京都も年末に医療崩壊、15%を超えれば、直ぐに医療崩壊になります。

つまり、重症化率が、大阪府ほど上がるリスクを想定するのであれば、すぐにでも、緊急事態宣言をださないと、医療崩壊になります。

重症化率の支配要因を早急に突き止めて、管理する必要があります。

 

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図5 大阪府の入院患者数と重症患者数

 

person=入院患者数 左軸(人)

serious=重症患者数 右軸(人)

s_rate=重症患者率=serious/person*10 右軸

 

 

  • COVID-19 感染予測 (日本版) 12月2日版

https://datastudio.google.com/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/4KwoB?s=nXbF2P6La2M

  • NHK特設サイト

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/

  • 都内の最新感染動向

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

  • 『大阪モデル』

http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/corona_model.html

https://covid19-osaka.info/

https://www.covid19-yamanaka.com/cont3/16.html