2月第1週の東京都の感染者数のまとめ~コロナウィルスのデータサイエンス(183)

2月第1週の東京都の感染者数のまとめ

2月の第1週も終わるので、今週の2月6日までの感染者データをまとめておきます。

Google Transitデータも更新しました。

Googleの予測データも、2月3日版に更新して、これも7日移動平均をEstimatedでプロットしてあります。

今週の東京都の検査データは、検査数が直近7日平均8,363.6 人(8,962.6人)、陽性率が直近7日平均 5.6 %(7.8%)<10.5 %>です。これは2月4日の数値で、()は、1月28日のデータ、<>は、1月20日のデータです。

その前の、1月12日の陽性率は14.2%ですから、3週間で、陽性率は14.2->10.5->7.8->5.6と下がっています。偏差は、3.7->2.7->2.2で、偏差の比率は、0.73->0.81です。過去の東京都の陽性率の最低値9月末の約3.4%です。今後は、下げ止まり傾向になると思われます。偏差が、前週の08倍とすると5.6-2.2*0.8=3.84%と4%を切るのですが、この値は、3.4%に近いので、そこまでは、下がらないでしょう。1%下がればよい方ではないでしょうか。

図1が、2月4日版のGoogleの予測値と、東京都の感染者数、経路不明感染者数です。

行動制限率は、7日移動平均では、最近は、依然として、-43%前後です。2週間の時間遅れを考えると、現在は、非常事態宣言以降の行動制限率を表していると思われます。陽性率が下がってきているので、このレベルの行動制限が続けば、感染者数は徐々に減少すると思われます

そこで、図2に、11月1日からの東京都の経路不明率と陽性率を示します。これから見ると、11月1日頃から、経路不明率と陽性率が連動して変動していたものが、最近では乖離しています。経路不明率は下がっていますが、陽性率は下がっていません。この理由が不明なので、ちょっと不気味です。

図3に、感染者数の1週間前の同じ曜日との差を示しています。東京都が前週との比を使うようになったので、前週との比率(1week_ratio)もプロットしてあります。ただし、軸を共通にするために、ー1をかけています。行動制限率はここのところ、-43%前後で、感染者数も前週より、300人くらい減っています。今週になって、分母の感染者数が600人くらいまでだったので、今後は、300人は減らなくなります。表1に、最近の感染者数の前週同曜日との差の変化を示します。2月6日が、diff(人数の偏差)は減っているのに、rate(人数の比率)は逆に上がっていることが注目されます。今のところ東京都は、rateを70%とみています。

2月6日の1週間の移動平均の感染者数が601人なので、600人を基準に考えると

2月第2週 600x0.7=420人 前週差 -180人

2月第3週 600x0.7x0.7=294人 前週差 -128人

2月第4週 600x0.7x0.7x0.7=206人 前週差 -88人

3月第1週 600x0.7x0.7x0.7x0.7=144人 前週差 -62人

になります。ここまでは、現在予定の、緊急事態宣言です。

参考までに、68%とすると、3月第1週は、128人になります。

過去の同じレベルの感染者数を探すとは9月28日が147人、7月10日が、142人です。9月28日はこの日の値が谷底です。

しかし、この予測は、当たらないと考えます。その理由は、1週間前に対して、70%の感染者数という数字に問題があるからです。

感染者数=検査人数x陽性率

になります。感染者数が減るには、検査人数または、陽性率が減らなければなりません。東京都の検査人数、陽性率、経路不明者率の1月1日からのデータを使って、1週間前と偏差を計算したものを図4、5、6に示しました。なお、検査人数の陽性率のデータは、随時変更されます。特に、最近1週間のデータは、暫定値でしかありませんが、今回はその点は無視しています。

典型的な図4で説明します。

ここ2週間の検査人数は、8000人から9000人です。また、陽性率は5から8%です。最新のデータは2月4日です。1つの点が1週間前と比較した1日のデータです。

図4から、ここ1週間でみると、陽性率はー2%下がっています。検査人数は、-2000から-1000人減っています。

陽性率を7%に固定し、検査人数が2000人減ったとすると、検査人数の減少による減少効果は、

2000x0.07=140人 (*1)

検査人数を9000人に固定し、陽性率が2%下がったとすると、陽性率の減少による減少効果は、

8500x0.02=180人 (*2)

ダブルカウントを避けるために、陽性率が2%下り、検査人数が2000人へったとすると、その効果は

1000x0.02=40人 (*3)

合計=(*1)+(*2)ー(*3)=140+180-40=280人

となり、ほぼ、1週間の平均減少人数299人に一致します。

次に、陽性率と検査数がどこまで下がるか考えると、過去の実績では、陽性率が3.5%、検査数が5000人で、感感染者数170人が最小値の目安になります。現在の値との差を考えると、陽性率で2%(2%で1週間分)、検査数で、3000人(1000人で3週間分)しか、余地がありません。もちろん、陽性率または、経路不明率が劇的に下がる(すなわち、ウィルスの封じ込めに成功する)場合には、この限りではありませんが、図2を見る限り、経路不明率は頭打ち、陽性率の低下速度は落ちている状態です。

仮に1週間の陽性率の減少が2%から1%に低下し、検査数の減少が2000人から1000人に減少すると、次の計算になります。

陽性率を6%に固定し、検査人数が1000人減ったとすると、検査人数の減少による減少効果は、

1000x0.06=60人 (*1)

検査人数を8000人に固定し、陽性率が1%下がったとすると、陽性率の減少による減少効果は、

8000x0.01=80人 (*2)

ダブルカウントを避けるために、陽性率が1%下り、検査人数が1000人へったとすると、その効果は

1000x0.01=10人 (*3)

合計=(*1)+(*2)ー(*3)=60+80-10=130人

となります。これは、7割減少の1週目の減少人数180人より小さく、2週目の128人に近い値です。

陽性率の低下が止まって、検査人数が1000人だけが減ると考えると、60人しかへりません。

以上のように、7割比率の減少が2月いっぱい続くことは期待できないと思われます。

長くなったので、図5と図6の説明は省略します。

 

表1 東京都の最近の感染者数の前週同曜日との変化

date diff rate
2021/1/31 -353 64.20
2021/2/1 -225 63.59
2021/2/2 -470 54.19
2021/2/3 -297 69.48
2021/2/4 -330 68.98
2021/2/5 -291 66.47
2021/2/6 -130 83.09
ave -299 67.14

 

 

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図1 東京都の感染者数の推移(左軸:人、感染者数、経路不明感染者数、右軸:%、Google Transitデータ、2月3日版Google予測データ)

 

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図2 東京都の経路不明率と陽性率(左軸:経路不明率%、右軸:陽性率%)

 

 

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図3 東京都の感染者数の前週の同じ曜日との比較とGoogle Transit(左軸:感染者数の差、人、右軸:行動制限率%、右軸:感染者数の比x(ー1))

 

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図4  東京都の前週の同じ曜日との感染者数の差(横軸)と陽性率の差(縦軸)

 

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図5  東京都の前週の同じ曜日との感染者数の差(横軸)と経路不明率の差(縦軸)

 

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図6  東京都の前週の同じ曜日との陽性率の差(横軸)と経路不明率の差(縦軸)





  • COVID-19 感染予測 (日本版) 2月3日版

https://datastudio.google.com/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/4KwoB?s=nXbF2P6La2M

  • NHK特設サイト

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/

  • 都内の最新感染動向

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

https://www.google.com/covid19/mobility/ Accessed: <2021.2.6>2021-2-2version.