大きな変更の補足2(フィルミックRGBとベースカーブの比較)
前回は、フィルミックRGBの説明だけでしたので、今回は、実例を示します。
写真1が新しいフィルミックRGモジュールで、今回は、プリセットのBase_filmic minを使っています。
写真2がベーズカーブモジュールとフィルミックRGBモジュールを比較したものです、Xが入力、Yが出力で、カーブが変換関数を表します。現在のカメラ内現像で使われてるカーブはベースカーブです。ここでは、ベースカーブはcanon EOS用を使っています。なお、露光は、どちらのモジュールでも併用しています。
フィルム時代には、オーバーレンジの部分も弱いながら、焼きこまれていたので、変換カーブはフィルミックRGBのようなS字カーブであったといわれています。ただし、これは、モノクロ写真の話と思われます。フィルム時代のカラー写真はダイミックレンジが狭かったので、ベースカーブと大差はなかったと思われます。
写真2で見ると、ベースカーブモジュールとフイルミックRGBモジュールの違いが、変換曲線の違いだけのように見えますが、おそらく、ベースカーブモジュールは、RGB色空間から、Lab色空間への変換も行っているのではないかと思います。フィルミックRGBモジュールは、Lab色空間への変換をしないで、RGB色空間で処理します。
いずれにしても、darktableでは次の3つのワークフローのいずれを採るか選択する必要があります。
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表示参照:ベースカーブモジュールを使用
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シーン参照:フィルミックRGBモジュールと露出モジュールを使用(新しいデフォルト)
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非参照:ベースカーブもフィルミックRGBも使用しません
なお、どのワークフローでも「覆い焼きと焼き込み」は、トーンイコライザーで統一的に処理できます。
また、写真3は、ワークフローの比較をする目的で作成したので、露光以外の調整は行っていません。つまり、どちらのワークフローでも、より見栄えのする写真に仕上げる余地が残っています。
前回の説明を繰り返しますと、フィルミックRGBモジュールがベースカーブモジュールより優れている点は次の2つです。
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露光のフュージョンを表現できる。
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Lab色空間を使わないのでモジュール感の独立性が保てる。
プリセットのBase_filmic minを使う場合には、1.のフュージョンの効果はあまり大きくないと思います。ただし、2.の効果だけでも使う価値はあると思います。