今回は、マニュアルモードが使えるか、マニュアルモードで使うとした、どのような場合が適しているかを考えたいと思います。
先に結論を言いますと、ソニーのXperia XZsのマニュアル機能は、想像できないレベルで、使いものにならない、リコールレベルであることがわかりました。今回と次回のサンプル画像は、このことがわかる前に撮影したものです。先に、マニュアル機能の説明をしますので、そのあとで、サンプルを見ると、冗長に感じると思いますが、ご容赦ください。
また、Xperia XZsは筆者のスマホとしては1台目なので、他の機種については、何とも言えません。ただし、新しいスマホが出たときは、Webでもその評価が出ますが、XZsのマニュアルモードの問題を指摘した記事は今のところ見つかっていません。Webの評価記事は、販売促進記事で使えないと言えそうです。
今回の連載記事では、本格的に、スマホ使って写真を撮ることにしたので、最初に、カメラのマニュアルをダウンロードしてみましたが、まったく何もかいてありませんでした。
ソフトウェアの場合には、通常は次の2種類のマニュアルがあります。
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ユーザーズマニュアル
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テクニカルマニュアル
ところが、スマホの場合には、ユーザーズマニュアルのかつ、簡略版しかないのです。
WEBの機種ごとの説明は以下です。
https://www.sonymobile.co.jp/xperia/softbank/xzs/camera.html
ここでは、次が設定できるとかいてあります。
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フォーカス
「使いこなしガイド」
https://www.sonymobile.co.jp/myxperia/howtoxperia/camera/
この中に「マニュアルモードの基本」があります。
https://www.sonymobile.co.jp/myxperia/howtoxperia/camera/function17.html
以下は引用です。
「マニュアルモード」なら、思い通りの写真が撮れる。
ホワイトバランスや露出、ISO感度などを細かく調整できます。
調整できる設定
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ホワイトバランス
ホワイトバランスとは、撮影環境での光の色の影響を補正して、白を白く写すための機能です。 電球、蛍光灯、太陽光、曇天、オートから、状況に合わせて選択することで、自然な白色で写真を撮ることができます。
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露出
露出とは、写真を撮るときに取り込まれる光の量のことを言います。光の量は絞りとシャッター速度で決定され、それにISO感度を組み合わせた結果、写真の明るさが決まります。より明るくしたい場合は+方向に、より暗くしたい場合は一方向に設定しましょう。
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ISO感度とはレンズから入ってきた光を、カメラ内でどのくらい増幅させるかの指標になります。カメラ内に入ってくる光の量は、絞りとシャッター速度で決定され、その光の量から適切な明るさの画像になるように光を増幅させます。その増幅具合を数字で表しています。例えば、ISO200とはISO100の2倍感度が高いことを示し、ISO100の時に比べて光の量が半分の場所でも同じ明るさで写真を撮ることができます。
※Xperia XZs、Xperia XZ、Xperia X Compact、Xperia X PerformanceはマニュアルモードのISO感度設定には、対応していません。
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シャッタースピードとは、イメージセンサーの前にあるシャッターが開いている時間のことです。 動きの速い被写体を止めて写したい場合はシャッタースピードを上げてみてください。逆に動感のある写真を撮りたい場合は下げてみましょう。
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フォーカス
フォーカス調整では、ピントを手前に合わせるか、奥に合わせるかを設定できます。例えば奥に撮りたいものがあるのに、手前に障害物がある場合は、奥にピントを合わせると、手前の障害物をぼかして撮ることができます。オートにしていても、なかなか被写体にピントが合わない場合は、試してみましょう。
引用はここまでです。
問題は、注意書き「※Xperia XZs、Xperia XZ、Xperia X Compact、Xperia X PerformanceはマニュアルモードのISO感度設定には、対応していません。」です。筆者の機種、XZsは但し書きに該当します。スマホの絞りはF2.0で、自動モードでも、マニュアルモードでも変更できません。要するに、絞りがないのです。更に、ISOは変更できないと、注意書きに書いてあります。露光を調整する要素は「シャッター速度、絞り、ISO」の3要素です。この組み合わせで露出(EV)が決まります。露光の変更とは、この3つの組み合わせを変更して、センサーに入る光量を調整することも意味します。しかしながら、絞りとISOが固定であれば、光量(露光)はシャッター速度だけで決まってしまいます。
マニュアルモードのシャッター速度の変更例
例によって、darktableでJpegの白飛びを赤で、黒飛を青で表示しています。
マニュアルモードでシャッタースピードを1/2000,1/1000,1/500secに変えてみました。
サンプル1はシャッター速度が1/2000秒の場合です。
F2.0 1/2000sec ISO64
サンプル2はシャッター速度が1/1000秒の場合です。
F2.0 1/1000sec ISO 64
サンプル3はシャッター速度が1/500秒の場合です。
F2.0 1/500sec ISO64
まとめ
テストの結果は、シャッタースピードを変えると、他の条件(絞りとISO)が変わらなければ、センサーに入る光量が変化し、露光量の変化に伴う、白飛び、黒飛びが変化します。白飛びが多い場合も、黒飛びが多い場合も、露光量が適切でないことになります。一般に、撮影者の好みによるブレがありますが、Jpegでは、それを除けば、あるフレーム対して適切な露光量は1つしかありません。露光量を変える手段がシャッタースピードしかないのであれば、シャッター速度を決める自由度は全くありません。使いこなしWEBのキャッチコピー
「マニュアルモード」なら、思い通りの写真が撮れる。
は、真っ赤なウソです。そもそも、露光量がシャッタースピードでしか決まらないのであれば、露光量からみたマニュアルモードには意味がありません。
そうすると、マニュアルを使う意味があるのは、ホワイトバランスをフォーカスだけです。ホワイトバランスは撮影した後でも容易に修正できますので、結局、マニュアルモードというのは間違いで、「マニュアルフォーカスモード」でしかありません。
しかしながら、オートフォーカスのなかったフィルム時代から、カメラの基本は露光であり、露光を変えられないカメラは、カメラとは言えないと思います。このスマホでも、あたりまえですが、オートモードでは、ISOが変わり、露光が変わります。