ISOの設定とモードの違い(1)

1)シャッター速度の補足

 

以前紹介したように、Kevin Landwer-Johan氏は、ペットの撮影では、「1/250 秒が最も遅い安全なシャッター速度です」と書いていました。

ペット写真家の中村陽子氏は、「屋外で走っているシーンでは最低でも1/1000秒以上が目安です。室内での軽い動きなら、1/500秒以上のシャッター速度を目安にするとよいでしょう」といっています。

中村陽子氏の推奨は、1/250 秒ではなく、1/500秒です。

1/250 秒推奨のKevin Landwer-Johan氏は、マニュアルモードでの撮影を推奨しています。

 

中村陽子氏は、シャッター速度を指定しているにもかかわらず、次のように絞り優先モードで撮影することを勧めています。

「カメラのモードダイヤルは〈Av(絞り優先)モード〉に合わせます。撮影してみて、もっとシャッター速度を速くしたいときは絞り数値を変えるのではなく、ISO感度を高くして調整します」

ペットの撮影では、ポートレートとしては、絞り優先で、ボケの量を考えながら、撮影したいです。

一方、犬は動きますので、動きの量に合わせてシャッター速度も設定したいです。

写真1は、夜の室内で、蛍光灯の明かりで撮影しています。

ここでは、F1.8の単焦点レンズを使い、絞り優先で撮影しています。

ポートレート向けの換算90㎜の画角のレンズです。

シャッター速度は、1/100秒、ISOは400です。

ここで、ISOは下限200、上限6400の自動設定になっています。

写真1では、犬は動いていません。

ここで、ISO自動をやめて、ISO固定にして、ISO200にセットすれば、1/50秒のシャッター速度で撮影できたはずです。

被写体ブレがなければ、ISO400よりは、ISO200で撮影すべきです。

つまり、中村陽子氏は、しぼり優先で、ISOは自動ではなく固定にして、その値を変動させて、シャッター速度を制御すべきといっています。

2)モードの違い

ここで、指定したい内容は、絞りとシャッター速度の2つです。

M(マニュアル)モードでは、絞りとシャッター速度を指定できます。

マニュアルモードでは、ISOも指定できます。

マニュアルモードで、ISOを個別にセットすれば、露光の不足した写真や、露光の過大な写真も撮ることができます。このとき、適正露光からのずれを示すバーなどで、露光の値はチェックできます。

マニュアルモードで、ISOを自動にセットしておけば、露光が合うように、ISOが自動的に変更されます。

ただし、ISOの自動設定は、通常は、ISOの下限とISOの上限をセットするので、その範囲を越えた場合には、適正露出ではなくなります。

Kevin Landwer-Johan氏は、Mモードで撮影することを勧めていますが、動体の場合には、ISO自動を使っていると思われます。

 

飛行犬のような動きの激しい被写体では、ISOを調整しながら、撮影することは不可能ですから。

中村陽子氏は、絞り優先モードで、ISOを調整することを勧めています。

絞り優先モードでは、第1に絞り値が設定できますが、第2に設定できるのは、ISOです。

絞り優先モードでは、シャッター速度の指定はできません。

同様に、シャッター速度優先モードでは、第1に、シャッター速度の指定ができ、第2に、ISOが設定できますが、シャッター速度の指定はできません。

露光を調整する要因は、絞り、シャッター速度、ISOの3つです。

露光が、過大でも、不足でも構わないから、3つの値を設定したければ、Mモードを使います。

しかし、通常は、絞り、シャッター速度、ISOのうちの2つを指定して、残りに1つは適正露出になるように、自動調整を使います。

 

(1)ISOを自動調整したい場合:Mモードで、絞りとシャッター速度を指定して、ISOは自動に設定します。

(2)シャッター速度を自動調整したい場合:絞り優先モードで、絞りとISOを指定して、シャッター速度は自動設定にします。

(3)絞りを自動調整したい場合:シャッター速度優先モードで、シャッター速度とISOを指定して、絞りは、自動設定にします。

このように書くと簡単ですが、通常の使い方では、3つの要素のうち1つしか考えませんので、頭の切り替えに時間がかかります。

 

5/2/22, 4:51 PM Pet Photography Settings: The Ultimate Guide

https://digital-photography-school.com/pet-photography-settings/




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