Kiss M/M2は、ミラーレスカメラのベストセラーで、1機種の販売数からすれば、ミラーレスカメラのデファクトスタンダードになりつつあります。
工業製品には、大量に売れると価格を下げられ、価格が下がると、更に売れるという循環がありますが、Kiss Mには、この量産効果の循環ができているように見えます。
こう考えると、Kiss M/M2のコストパフォーマンスは、無敵のように思われますが、より量産効果の期待できるコンパクトデジタルカメラは、強力はライバルです。そして、スマホのカメラは、更に大きな量産効果で、コストダウンを実現しています。
カメラメーカーは、スマホに負けて、コンデジから撤退した理由は、量産効果にあります。量産効果は、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアにもあり、その効果は、ソフトウェアがより大きくなります。
さて、話をコンデジに戻します。
キヤノンは、EF-Mマウントの交換レンズには、非球面レンズは使っていますが、UDレンズは使っていません。
キヤノンのコンデジのラインナップは次のようになっています。(2022/05現在)
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APS-Cサイズのセンサーを搭載したコンデジPowerShot G1 X Mark IIIのレンズは以下です。
15-45mm(換算24-72mm)F2.8-5.6
1インチセンサーのPowerShot G5 X Mark IIのレンズは以下です。
11群13枚(両面非球面UAレンズ3枚、片面非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚)
8.8-44.0mm(換算24-120mm)F1.8-2.8
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センサーサイズが同じPowerShot G1 X Mark IIIのレンズとEF-M15-45mm F3.5-6.3の画角は全く同じです。
前者は、F2.8-5.6ですが、後者は、F3.5-6.3で、ミラーレスカメラの方が見劣りします。
センサーサイズが、1インチのPowerShot G5 X Mark IIのレンズは、換算24-120mm、F1.8-2.8で、ズームレンジは広く、レンズは明るくなっています。また、このレンズには、UDレンズが使われています。スペックは、ミラーレスカメラの方が見劣りします。
キヤノン等のカメラ―メーカーは、センサーが大きなカメラが高価な、良く写るカメラであると、細かくグレード分けしています。しかし、画像処理の中心がソフトウェアに移行しているので、ハードウェア依存の差別化には、無理があります。例えば、ちょっと前までは、フルサイズセンサーのカメラ用のレンズでは、レンズ補正なしの光学特性だけで使うことが本来の使用法であるとされていましたが、現在では、現像時の補正を前提としないレンズは設計されていません。将来的には、静止画、HDR、動画、マルチショットの区別はなくなり、トータルな画像処理になると思われます。実際に、スマホでは、複数のレンズの画像が合成されています。また、連続撮影の間隔は動画に近づきつつあります。
センサーサイズが小さくなると、望遠側のレンズの設計の自由度が各段にあがります。
このように考えると、次のリストで、画像比較して欲しい所ですが、そのような企画はみたことがありません。
(1)Kiss M2+EF-M15-45mm F3.5-6.3
(2)PowerShot G1 X Mark III
(3)PowerShot G5 X Mark II
そもそも、この業界では、カメラの性能比較の記事はほとんどみかけません。
暮らしの手帖などに期待したいところです。
比較がなければ、試してみることにします。
もちろん、画角、被写体、光を制御した厳密な比較ではありませんので、再現性は、保障されていません。その点は、いい加減ですが、実際にカメラを使う条件は、いい加減なので、そのレベルで、大差が無ければ良しとすることにします。また被写体が変われば、逆転することも考えられます。また、晴天日の日陰での撮影です。この条件が変われば、逆転もあると思います。それでも、全く比較しないよりはマシだと考えます。
EF-M15-45mm F3.5-6.3 は、換算24-72㎜です。
手元にあるコンデジの中で、比較的性能の似ている、パナソニックのDMC-LX100を取り上げます。これは旧型で、現在は、DMC-LX100IIになっています。センサーは改良されていますが、レンズ構成は変わっていません。
レンズの構成は以下です。
8群11枚(非球面 8面 5枚)LEICA DC VARIO-SUMMILUX
光学3.1倍ズーム f= 10.9mm ~34mm(35mm 判換算:24~75mm)/F1.7~2.8
光学式手ブレ補正機構内蔵
EF-M15-45mm F3.5-6.3 とDMC-LX100を比べると、広角端は、換算24mmで同じ、望遠端は、換算72mmと換算75mmで、ほぼ同じです。
F値は、広角端で、キヤノンが、F3.5、パナソニックは、F1.7、望遠端で、キヤノンが、F6.3、パナソニックは、F2.8で、大きな差があります。
撮影条件は、写真のキャプションでわかります。
RAW現像は、darktableで行い、比較を容易にするために、編集は最低限にしてあります。
いつもの画像より、色のりが悪くなっています。
結果は見て判断してください。
全般的に見た感じは、次の2点です。
まお、こうした比較は、かなり、ストレスフルなので、息抜きには、Kiss Mに、32mmF1.4を付けて撮影します。32mm(換算50mm)の単焦点を使わずに、ズームを使うのが悪いと言われれば、その通りです。