デジタルカメラの不都合な真実(3)

落穂ひろい

前回で、一応予定した内容は完結しています。ただし、前回の写真は、話の流れがわかりやすくなるように、写真を選抜しています。つまり、実際に撮影した機材はもう少し多いのですが、写真をあまり増やしすぎると、話の流れがわかりにくくなると考えて、選抜しています。なお、この選抜は、機材についての選抜です。同一機材の中での写真の選抜は、白鳥の大きさが同じになる画像を選抜しているだけで、写りで選抜はしていません。

というわけで、没になった機材の写真を落穂ひろいとして載せておきます。

写真1は、オリンパスPL-6(パナソニック45-175m換算350㎜f7.1、フィルター径46mm)で撮影した白鳥です。この望遠レンズは、電動ズームで、ズームしてもレンズの長さが変わりません。パナソニックが動画用に開発したレンズと言われています。このレンズは、キットレンズではなく、Xランクというキットレンズのちょっと上に位置付けられます。とはいっても、人気がないようで、カメラ店は、パナソニックのデジカメとセットで販売していたものです。メーカーのキットレンズではありません、カメラ店仕様のキットレンズというわけです。おそらく、在庫処分だったと思われます。オリンパスのキットレンズ(フィルター径58mm)より、写りが悪いということはないと思いますが、格段に優れているとまではいえません。このレンズは、パナソニックのカメラにつけると、電動ズームしたときの画角がカメラのモニターに表示されますが、オリンパスのカメラにつけるとモニターに画角が表示されません。ズームしてもレンズの長さが変わらないため、写真1の場合のように、オリンパスのカメラにつけた場合には、画角がわかりません。そこで、ここでは、望遠端で撮影しています。この辺りが、このレンズの人気がなかった理由と考えられます。この辺りのm43規格は、規格とは言えないレベルの低さです。

写真2は、フジフィルムXA-1(50-230㎜換算460mmf7.1、フィルター径58mm)で撮影した白鳥です。フジフィルムのキットレンズは2グレードあり、これは安い方のグレードです。画像は、キャノンのキットレンズ(フィルター径52mm)と大差ないと思います。レンズが大きい分だけ、画像に余裕があるとは思いますが、解像度は高くありません。この製品も含めて、APS-Cのカメラのキットレンズは、標準ズームを含めて、それなりに写るというレベルと思います。キャノンとニコンの場合には、APS-Cの交換レンズは、選択肢が限られますが、フジフィルムの場合には、選択肢が広がります。この辺りは、同じレベルの写りであっても、選択肢のないキャノンのEF-Mとは異なります。

写真3は、NikonP610(4.3-258mm換算450㎜f6.3、フィルター径52㎜)で撮影した白鳥です。このカメラは、センサーサイズ1/2.3型のコンデジです。このカメラは、換算1440mmまで、光学ズームします。写真の写りは、グラデーションがつぶれていてよくありません。

このカメラの重量は600gで、フジフィルムS100FSの1000gの6割しかありません。フィルター径は、このカメラが、52mmで、S100FSは、67㎜です。望遠端は、このカメラが、換算1440mmで、S100FSは、換算400㎜です。センサーサイズは、このカメラが1/2.3型で、S100FSは、2/3型(=1/1.5)です。縦横で言えば、1/2.3型は、6.2x4.6mm(=28.52)、2/3型は、8.8x6.6mm(=58.08)となります。(注1)S100FSは、P610の2倍のセンサー面積があります。つまり、換算400㎜以下でよければ、すべてにおいて、S100FSは余裕があります。

写真4が、Nikon P610(4.3-258mm換算24㎜f6.0)で撮影した風景です。ヒストグラムを見ると、明らかに、ダイナミックレンジがオーバーしています。

写真5が、前回紹介したフジフィルムS100FS(7-101㎜換算28mm f8.0)で撮影した風景です。

写真4と写真5を比べると、センサーサイズとレンズのバランスが良い写りに影響することがわかります。

  • センサーサイズが小さい場合には、ダイナミックレンジが大きい場面では、画像に問題がでます。

  • 画質を優先するには、レンズは、ズームレンジなどで、無理をしないで、写りを優先する必要があります。

換算1440mのP610のズームは、写りを犠牲にして、ズーム倍率を優先しています。P610は極端としても、最近のコンデジは、スマホとの差別化を図るために、センサーを大きくするか、ズームを高倍率にすることが多くなっています。スマホはセンサーが小さく、ズームは基本的にはしません。ダイナミックレンジが狭い場合には、画質は、センサーが小さく、レンズに余裕がある方が良いと思われます。この点で言えば、1型センサーをつんだコンデジでも、レンズに無理が来るので、ダイナミックレンジが狭い場合には、スマホに勝てないと思われます。

 

注1:

1/1.7型は、7.6x5.7=43.32、1型は、13.2x8.8=116.10、m43は17.3x13=224.0、APS-Cは23x15=345なので、1/2.3型を1とすると1/1.7型が、1.5倍、2/3型が、2倍、1型が4倍、m43が8倍、APS-Cが12倍になります。(単位はmm)

 

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写真1 オリンパス PL-6 パナソニック45-175m換算350㎜ f7.1、フィルター径46㎜

 

 

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写真2 フジフィルム XA-1 50-230㎜換算460mmf7.1、フィルター径58mm

 

 

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写真3 Nikon P610 4.3-258mm換算450㎜f6.3、フィルター径52㎜

 

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写真4 Nikon P610 4.3-258mm換算24㎜f6.0

 

 

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写真5 フジフィルム S100FS 7-101㎜ 換算28mm f8.0