12)司令塔の一元化
政府は度々、司令塔の一元化といっています。
12-1)一元化の効能
一元化には、独占の弊害以外のメリットはありません。
インフルエンザとガンの薬を一元化しても、無駄を省くことにはなりません、
害があるだけです。
資本主義は市場経済による競争が原則です。市場経済には、次のメリットがあります。
1)生産性の高い企業が残るため、継続的な生産性の向上(所得の向上)が見込めます。
2)生産性をあげるスキルは、高い所得を得る機会になります。
一方、一元化は、社会主義のキーワードです。
これをゴリ押しすると生産性があがらず、貧乏になり、さらに、飢餓が発生します。
現在の日本は、労働市場(市場経済による労働力の取引)がない、この状態です。
労働市場があれば、高給を提示すれば、人材不足は解決します。
これが市場原理です。
政府や、マスコミは、人手不足問題があるといいます。
しかし、労働市場がなければ、労働力は、経済的に配分されません。
ここで、経済的というのは、経済全体の生産を最大化するという意味です。
資本主義が、市場経済にこだわるのは、市場経済以外に経済全体の生産(経済のパイ)を最大化する手法が見つかっていないからです。
保育園と幼稚園に市場原理を適用すれば、保育園は幼稚園を営業でき、幼稚園は保育園を営業できるようにします。そのあとは、選抜は市場に任せます。サービスの悪い方は淘汰されて、どちらかが残ります。市場に介入して、恣意的にどちらかに統一するのは、社会主義です。これは、経済のパイを小さくします。資本主義では、一元化してはいけないことになります。
市場経済では、貧富の差がつきます。
しかし、経済のパイが大きくなっているので、パイを再配分する余裕があります。お金持ちから、パイを分けてもらっても、お金持ちは嬉しくないかもしれませんが、お金持ちが生活に困る訳ではありません。
貧富の差を抑えるために、市場経済に介入すると経済のパイが大きくなりません。
これが、現在の日本の状態です。経済のパイが大きくならない状態で、お金持ちになる方法は、収奪しかありません。
12-2)司令塔の幽霊
英語のウィキペディアはまともですが、日本には、かなりひどい間違いが沢山あります。
そこで、「司令塔の一元化」を英語でなんというか考えてみます。
司令塔( conning tower)は、飛行場の管制塔のようなものと思われます。
問題は、司令塔ではなく、指令のように思われます。
デジタル庁やこども家庭庁は、新しい司令塔です。
しかし、司令の内容は変わっていないように見えます。
つまり、政治家の関心は、司令を整理することではなく、司令塔を作ることにあると思われます。
組織を分断したままの「一元化」に相当する英語は見つかりませんでした。
Unification(統一、単一化)は、東西ドイツの統一のようなものをさします。
厚生省と労働省が厚生労働省になるのは、Unificationです。これは英語になります。
Centralizationは、中央集権をさします。
しかし、組織が分裂したままの「一元化」という単語は英語にはなさそうです。
日本にいる特派員は、「司令塔の一元化」をなんと英語に訳すのでしょうか。
英語にするのをあきらめて、Japanese Englishで押し通すのかも知れません。
実は、霞が関の官僚は、車輪を発明することが多くあります。
既に、カードレスになっているIT先進国の事例や、情報化の手順に関するノウハウを参照すれば、マイナンバーカードのようなシステム設計はあり得ません。
専門的な知識を無視して、権限をごり押しして、発明した新しい車輪がマイナンバーカードと思われます。
司令塔の一元化も、新しい車輪の発明の可能性が高いです。