国会答弁は、10万円で1か月くらいもめていました。
ただし、10万円は、一時金なので、貧富の格差是正には、ほとんど効果がありません。
国会答弁を聞いていると気が遠くなります。
2021/11/11の現代ビジネスに、野口悠紀雄氏は、次の試算を発表しています。
高齢者の保護率と30年前の男性非正規率はほぼ同じなので、2040年頃、高齢者世帯のうち生活保護を受ける割合は、現在の3%から10%になる。
2040年における高齢者向けの生活保護費は、7.2兆円、現在の3.8倍になり、消費税の税率を2.5%に相当する5.3兆円程度の財源手当が必要になる。
つまり、10万円よりも、非正規雇用の賃金をあげる生産性の向上をしなければ、2040年には、財政が破綻し、食べられない人が、街中に出没するということです。
なお、老人ホームに入っていても、人出不足で、介護する人がいなくなりますので、ロボット化が進まなければ、各段の富裕層以外は、介護が受けられなくなります。この問題の回避には、リモート診療が必須ですが、医師会は、コロナでも、限定的にしか、認めていません。
10万円の配分方法の議論をする前に、どのテーマが優先的に解決しなければならないかという議論をする必要があります。
これをしなかった結果、少子化と高齢化が止まらなくなりました。
こども庁をこども家庭庁に名前を変えても、そこで、問題解決ができるのでしょうか。少子化解決策を、「こども家庭庁」に、丸投げして、「こども家庭庁」は、少子化解決策を、「審議会」に丸投げして、時間がたつだけで、解決はできないのではないでしょうか。
たとえば、「新しい資本主義実現会議」というものがあります。この会議を作った時点では、理論はありません。専門家として、参加した場合、真面目に考えれば、期間内に、問題を解決できる理論が構築できない可能性があります。というか、新しい理論が、簡単にできる可能性は、通常は、極めて低く、期間限定であれば、5%以下でしょう。これは、誰もが、ノーベル経済学賞をとれないのと同じ確率です。
この状態で、委員を受ける人は、何を考えているのでしょうか。
しかも、何が重要課題かという、課題の優先順位を考えるメタな議論は、飛ばして、突然、「新しい資本主義」というキーワードが最優先に、出現しています。
おそらく、「こども家庭庁」でも、同じようにメタな議論が飛ばされてしまうのではないでしょうか。
メタな議論は、重要です。
温暖化対策も、日経新聞は、排出権取引は、問題が大きいという記事ですが、排出権取引に代わる手法、つまり、メタな議論を、日本は提案できていませんので、クレームは無視されます。
ウイグルの人権問題も同じです。ともかく、情報は少ないです。中国政府は、人権侵害はないといい、人権活動家は、人権侵害があるといいます。この場合に、人権侵害がある、ないの議論すれば、水かけ論になります。
問題にすべきは、人権侵害の有無は、どのような手順と基準でなされるべきかというメタな議論です。
すぐに、全てが解決できる訳はありませんが、少しでも、優先順位に関するメタな議論が進むことを期待しています。