2021/11/20の読売新聞は、立憲民主党の各候補は、共産党と共闘を整理しきれていないと書いています。
現在、共産主義を掲げている社会主義国家は中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム、ラオス、キューバです。
マルクスの基本的な考え方は、生産手段の国有化です。
生産手段には、土地(農地を含む)と工場(生産手段)、鉄道、道路等の社会インフラが含まれます。
ただし、資本主義では、規模の経済が効く公共財、準公共財は、市場による供給が行われにくい反面、独占も起こりやすいため、国営または、国の管理下に置かれています。 (注1)
ですから、資本主義との比較で、問題になるのは、土地と工場です。
中国では、土地は国有ですが、利用権を付与することで、実質的な売買が可能になっていますが、簡単に言えば、土地はすべて、借地です。
工場の扱いは、グレーゾーンですが、中国政府は、実質、いつでも、国有化できるだけのフリーハンドを持っていると考えていますが、進出している外国の企業や、海外資本は、当面はそのフリーハンドを使わないだろうと考えています。つまり、同床異夢です。海外資本は、フリーハンドをそのうち凍結してくれると期待して、投資してきたように思われますが、中国政府は、以下のところ、社会主義を放棄するつもりはないようです。
日本共産党の立場は、非常に分かりにくいです。しかし、大資本が、庶民を搾取してけしからんというのが、基本的なスタンスですから、生産手段の国有化の発想が、基本的な背景にはあります。
全トヨタ労連が、立憲民主党から、自民党にシフトしたのは、生産手段の国有化はありえないとういう判断です。
前回述べましたように、自民党は、極度のリベラルです。これは、自民党がリベラルというよりも、自民党は、実務を、ほぼ100%、官僚組織に依存していますので、岸田内閣でも、「専門家居会議ー>答申ー>政策(予算化)」という手順が踏まれています。
この場合には、各省の官僚の意向が政策に反映します。
例えば、検討されているこども庁の専任閣僚には子どもに関する政策について他省庁に要請できる「勧告権」を与えるそうですが、省庁間の調整では、3府省に所管が分かれる幼稚園や保育所をまとめて所管する「幼保一元化」が焦点となっていたが、当面見送られるようです。
この程度の調整に手間取るようでは、少子化対策や、ゼロエミッションが調整できるとは思われません。
官僚主義の肥大化に反対して、安倍政権では、内閣主導を打ち出しましたが、内閣には政策立案能力がないため、忖度に終始しています。
現在の自民党の事態は、官僚中心の大きな政府を目指す、リベラルです。
問題は、ここからです。
立憲民主党が、自民党よりも更に、リベラルな政策を打ち出せば、それは、共産党の社会主義政策につながってしまいます。立憲民主党と共産党の間にあるバリアーは、あってないようなものになります。
これが、現状です。
では、立憲民主党は何ができるのでしょうか。
筆者は、ワンーフレーズ・ポリティックスを捨てる勇気が必要ではないかと思います。
格差是正でも、一端失業したあと、再教育が効いて、格差が是正されるような、2つ以上のステップが必要です。
ワンステップで、できるところで、現状の問題は解決できないと思います。
社会システムを変えて、労働生産性を上げないと、社会主義の罠にはまります。
これが、現在の日本の現状なので、ともかく、ワンフレーズにこだわらない勇気が必要です。
注1:
教育のある部分は公共財です。情報の公共財は、これからの議論の中心の一つです。
政策の優先順位を、献金の大小ではなく、政策の有効性で、判断するには、理論が必要です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E5%9B%BD
-
「共産と共闘」歯切れ悪い4氏…立民代表選、泉氏の対応に注目 2021/11/20 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/1f37df0bebef97b3a03dd6966beec8178e18b182
https://news.yahoo.co.jp/articles/598f1cf3d5f5ff74b436209eb95044bdb0c99a7f
-
【独自】こども庁創設、省庁調整に時間要し23年度以降に先送り…「幼保一元化」当面見送る 2021/11/20 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f93c9d073abea66d2d5a1fb36855181dfec5ec7