露光~darktable3.6読本(9)

露光は、画像編集の基本です。ただし、今回、他のソフトの露光の説明をみて驚きました。露光の説明に、トーンカーブコントラストなど、様々の機能が入っています。表示参照ワークフローや、他のソフトでは、トーンカーブの変更とコントラストの変更などの機能の重複があります。シーン参照ワークフローは、機能の重複をできるだけ避ける設計思想です。露光モジュールは、トーンマッピングのRGBの数値に定数kをかけます。k>1なら明るくなり、k<1なら、暗くなります。RGBの値zをyに変換する場合次式になります。

 

y = k x ( z +- b )  xはかける

 

ここで、bが、黒レベルポイント(黒レベル補正 black level correction)です。たとえば、zの最小値が-3なら、b=+4にすれば、負のRGB値のクリップを解除できます。zの最小値が、10なら、b=ー9にすれば、逆に、無駄なレンジを省くことができます。しかし、b=ー11にすると、zがマイナスになることがあります。したがって、黒レベルポイント変更は危険を伴います。マニュアルは、「黒レベル補正を使用して黒の濃度を追加しないでください。負のRGB値を生成することにより、黒に近い色を色域から切り取る可能性があります。代わりに、トーンマッピングカーブ(フィルミックRGB)を使用して、黒に濃度を追加します」と注意しています。

 

クリッピングしきい値(clipping threshhold)は、露出と黒レベル補正の計算でクリップされる明るい値のパーセンテージを定義します。カラーピッカーを使用して、この計算に使用する画像の一部をサンプリングできます。通常であれば、白飛びの部分を排除すればよいので、プリセットの0.010%で問題はありません。これは、カメラメーカーによっては、「ホワイトポイント」と呼ぶものに相当します。

 

露光は、全ての画像処理の中で、画像劣化が最小の処理です。ですから、露光で補正できるものを他のモジュールで補正すべきではありません。darktableでは、同じような補正を複数のモジュールでできる場合には、画像劣化が最小のモジュールを使うべきと考えます。

 

写真1が、露光モジュールです。画像を読み込むと、プリセットでは、露光は、0.0ではなく、+0.5になっています。これは、カメラメーカーのカメラ内現像の平均が、0.0より大きいためそれに合わせています。

 

写真1の上のヒストグラムに、「drag to change exposure」と書かれています。このエリアで、マウスをドラッグすると露光を変更できます。ダブルクリックで、リセット(EV=0.0)になります。左の部分では、同様に、ドラッグで、黒レベル補正ができます。

 

写真1の「compensate camera exposure」は、カメラ撮影時の露光シフトを自動補正します。筆者は、通常、-0.7EVで撮影していますので、その値が表示されています。

 

露光の調整はマウスでスライダーを動かします。(注1)

 

写真2は、自動露光モードです。適正な露光は、写真の主題に関わるので、筆者は、RAW現像では、自動露光は使いませんが、自動設定を変更すると、写真2のようなネガのような画像を作ることもできます。

 

写真3は、マニュアルモードの拡張インターフェースです。露光のスライダーの上で、マウスの右ボタンをクリックすると写真3のような、窓が開きます。ここでは、直接数字を入れて露光の値を設定できます。写真1のスライダーは、-3EVから+4EVです。スライダーを使って指定できない、レンジ外の露光も数字を入れて設定できます。例えば、ここで、6.0を入力すると、露光の値が、6.0になると同時に、スライダーのレンジも修正されます。

 

写真3の窓のカーブは、マウスで露光を変更するインターフェースです。赤い矢印のように曲線の上にマウスポインターをおいて、ドラッグします。左右は、露光のスライダーと同じですが、上下の位置は、スライダーの感度に相当します。上に行くと、変化が大きくなり、下に行くと小さくなります。

このインターフェースは、黒レベル補正 black level correctionのスライダーでも使えます。

 

注1:

darktable2では、スライダーをマウスで動かすときに、CNTLまたは、SHIFTを推しながら操作すると、スライダーの感度が変化したようです。darktable3.6では、この機能は廃止されているようです。

 

 

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写真1 露光(マニュアル)

 

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写真2 露光(自動)

 

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写真3 露光(拡張イーターフェース)

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