東京都の最近のデータ~コロナウイルスのデータサイエンス(211)

東京都を含めて、沖縄県以外は、緊急事態宣言が解除されたようです。

東京都などの日本の感染者数について、木村氏は、「日本のPCR検査数は限られているので感染者数で比べることはできない。コロナ患者を病院に受け入れる基準が国によって異なるので入院患者数で比較するのも難しいが、」入院患者数の方がましであるとしています。

そうはいっても、実際には、感染者数が判断基準になっています。また、そのときに、予測に関連する行動制限率の変化がどのように使われているのかも不明です。

 

図1が検査数です。検査数は、ひたすら減っています。今回の東京都の検査データは6月15日までです。

 

図2は、いつもの陽性率と経路不明率です。

検査数は減って、陽性率は下がって、経路不明率は増加しています。経路不明率があがっているのは、把握できている感染者数が少ないので、一般的には、検査数が不足していると考えます。

 

検査数が少ないだけでなく、感染者数は、操作できます。感染者数は、検査日に関係なく、発表日にカウントされます。コロナウイルスの感染拡大から1年半たっても、この状況は全く変わりません。

この方法では、データに基づく、客観的な意思決定ができないので、この点では、日本は、途上国であるといって間違いありません。

過去のデータを見ると、直近1週間の検査データは、後日にかなり大幅に訂正されます。一方、感染者数は、いったん、発表した後で変更されません。つまり、検査データの一部の感染者数を後で発表することで、発表日を後ろにずらすことは可能です。

今回のように、17日が緊急事態宣言の延長の判断日であれば、16日までの検査データを、17日発表分に載せるか、18日に載せるかが操作ができます。

ここで、指摘しているのは、意図的に操作するか否かでなく、意図的な操作可能なデータのまま、1年半が過ぎたことが問題なのです。

図3は、3月1日から5月15日までの、検査数を陽性率をプロットしています。3月1日は、外れ値ですが、3月2日からは、赤い線に沿って上昇しています。つまり、陽性率が上がり、検査数も増えています。

4月に入ると、赤い線から外れてしまい、対応は明確でなくなります。ピークの5月5日頃は、陽性率が上がっているにも関わらず検査が減少する、とんでもないことになっていますが、これは、連休によるバイアスです。このあと再び検査数と、陽性率が減っていきます。

緑の丸で囲んだ最近の5つのデータは外れ値になっています。つまり陽性率が上がっているにも関わらず、検査数が減少しています。最新のデータは、6月15日です。感染者は、6月15日までの間で、6月12日を例外として、ひと月の間、前週を下回っています。16,17日は、前週を上回りました。図3をみると、15日までのつけを、16,17日に払っている気もします。

いまのところ、行動制限率が下がらなくとも、感染者数が減少する要因は、医療関係者へのワクチン接種の完了です。医療セクターは、大きなクラスターの一部でしたので、その分は、感染者数の減少が見込めると思われます。

最大の疑問は、10月から、検査数がほとんど増えない理由です。

現状では、感染者数が、再度増加しないことを祈るしか、トラブルを避ける方法がありません。

 

  • 「さざ波」どころではない日本のコロナ患者数 ワクチン展開でインド変異株から逃げ切れるか ニューズウイーク 木村正人 2021/05/25

https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/05/post-106.php

 

  • 都内の最新感染動向

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 

 

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  図1 東京都の検査数

 

 

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図2 東京都の陽性率と経路不明率

 

 

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 図3 東京都の検査数と陽性率(7日移動平均

 

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