チームラボ偕楽園 光の祭の写真撮影と編集(2)

影絵の撮影

説明したい内容が多岐にわたるので、実際の作品の順番で説明してみます。最初に説明する作品は影絵です。この作品では、竹林に張られた半透明のスクリーンに、プロジェクターで影絵を投影しています。

この作品の前に来て撮影するまでは、梅の木のライトアップをイメージして、明るいレンズで、ISO200から、手振れしない範囲を、ISO感度をあげながら、探すつもりでした。しかし、影絵は、梅の木のライトアップに比べ、圧倒的に光量が少ないので、梅の木のライトアップを想定した作戦は、出だしからつまずきました。この光量では、ISOをあげないと撮影できません。しかも、手元が暗いので、カメラの操作ボタンはみえません。指の感覚で、操作ボタンを探して、200に固定してあったISOを変更することになりました。この操作は、操作ボタンが少なく、使用頻度の一番高いPL-6では、簡単にできましたが、それ以外の機種では難航し、結局、PL-6以外には、広角換算26㎜で、F1.4の明るいレンズを付けていたKiss Mを使うことしました。今から考えると、撮影する画像がぶれまくって、頭が冷静でなかったと思います。

写真1は、Kiss Mを使い、1/40sec、IS6400で撮影した影絵です。1/40secなので、手振れはありません。ISO6400なので、竹の部分をみるとノイズがのっています。

写真2は、PL-6を使い、F2.0、1/15sec、ISO6400で撮影した影絵です。飛び上がったウサギが2重になっています。この写真は、撮影時には、モニターを見て、ぶれていると思いました。このレンズは、F1.7から使えるので、解像度が落ちますが、F2.0をF1.7にして、シャッター速度をもうすこし稼ぐべきだったかもしれません。頭のメモリーの容量制限があるので、細かな設定を行うのであれば、持ち込む機材は1種類にする必要があります。今回は、どの機材が良いかをテストするつもりだったので、複数のカメラを持ち込み、その結果、細かな設定変更まではできませんでした。同じ、ISO6400 でも、写真2の方が、写真1より、シャッター速度が長いので、センサーに入る光量は多くなります。そのため、写真1より写真2の方が、ノイズは少なくなっています。写真1のノイズは、このサイズでも目立ちますが、写真2は、ノイズはわかりません。つまり、ISO6400でノイズが出やすいのは、光量が少ない場合なので、ぶれない限りは、シャッター速度を大きく取るべきです。この辺りを考えると夜景はマニュアルモードを使った方が良かったと思います。次回は、マニュアルモードで撮影したいと思いますが、今回は、プログラムモードを使っています。

写真3は、PL-6を使い、1/6sec、ISO3200で撮影した影絵です。飛び上がったウサギが4重になっています。この写真も、撮影時には、モニターを見て、ぶれていると思いました。正直に言えば、最初に、PL-6のISO3200で、写真3を撮影して、モニターを見て、ぶれていると思い、ISOを6400に変えました。次に、写真2を撮影して、モニターを見て、まだ、ぶれていると思いました。そこで、次に、レンズの明るいKiss Mにカメラに変えて、写真1を撮影しました。しかし、冷静になって、写真2と写真3を見ると、手振れは発生していません。飛び上がったウサギの影絵がぶれているのは、プロジェクターが、ずらして、順に飛び上がったウサギの影絵を投影しているためです。一種の動体ブレです。写真2の1/15(=0.067)secの間には、2枚の飛び上がったウサギの影絵を、写真3の1/6(=0.167)secの間には、4枚の飛び上がったウサギの影絵を投影しています。写真1の人物の移動は、ウサギのジャンプよりゆっくりなので、画像の更新を考えると、1/40secより、遅いシャッター速度でも問題はなかったと思われます。

まとめますと、影絵の移動を写真に切りとるには、写真1のように、完全に停止している画像を目指す方法と、一部が2重露出になりますが、それも、写真表現と考え、写真2と写真3のように撮影する方法があります。

ただし、この考察は、後で、冷静になってできるもので、現場で、画像はぶれまくっていると動揺している場合には、難しいです。実は、「チームラボ偕楽園 光の祭」の作品には、このような動きのあるものが多いです。

次回は、影絵の画像編集について、説明します。

 

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写真1 Kiss M 16㎜(26mm) F1.4 1/40sec  ISO6400

 

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写真2 PL-6 15mm(30mm)  F2.0  1/15sec  ISO6400

 

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写真3 PL-6 15mm(30mm)  F2.0  1/6sec  ISO3200