今回は、図で考える方法の実験です。文章は、少なめにします。
最初は、かって人気のあったマルクスのアイデアを図で示すことから始めます。
図1は、マルクスの頭にあっただろうと、筆者が推定する生産と利益の関係です。
地主は農地をもっています。小作農民は労働力を提供します。種とか肥料代も土地に含まれるとします。
そうすると、生産費用は、地主と小作が負担し、あがった利益をこの2者で分配することになります。
工場の場合は、資本家が工場を所有し、労働者が労働力を提供します。そして、あがった利益をこの資本家と労働者の2者で分配することになります。図1は、資本家と工場を中心に書いていますが、地主と小作でも同じ図に落とせます。つまり、このシステムは、封建主義のときから、構造が変わっていないのです。(とマルクスが思ったと推定しています。)
図2は、マルクスのアイデアを表しています。工場を国有にすれば、利益のうちの資本家の部分も労働者に分配できるだろうという発想です。実際には、資本家の取り分は、いったん国家に収められ、労働者の手に渡る前に、露骨なピンハネが生ずるという問題があるのですが、今回はその問題にはふれません。
総利益のうちの、労働者のとる割合を労働配分率といいます。ピケティも労働配分率を問題にしていますので、ピケティの視点は、図1の構造に基づいています。ピケティは、最近、労働配分率が低下していることが問題であると言います。しかし、これは、平均値の議論にある間違いではないかと思います。
図3は、機械化のレベルの異なる2つの工場を比較した図と考えてください。単純化するために、業種が同じとします。工場規模が異なる場合もあるので、図は、単位生産量あたりに標準化してあるとします。
図4は、生産性向上の過程がさらに進んだ場合を示しています。クラウドサービスや、ソフトウェア(ロボット化)を進めることで、左の工場が淘汰され、右の工場に入れ替わります。これが、現在の状況です。
この後の図は、将来展開の予測です。
図5は、更に、生産性があがり、労働者がいなくなった場合です。こうなると、ベーシックインカムを導入しないと、食べられない人が出てきます。おそらく、ロボット化の最大の議論は、図5の右の状態が生ずるか否かです。
図6では、仮にロボット化が進んでも、ロボットのソフトウェアを各技術者や、ロボット工場を作る技術がなくなることはないだろうと考え、労働者の表記をやめて、オペレータと技術者に分けたものです。つまり、オペレータはロボットに置き換わるが、技術者は残るという図です。
図7では、今までの、オペレータ(オペレータ1)は、消滅するが新しいオペレータ(オペレータ2)が生ずるというアイデアです。これな、ロボットに置き換わるオペレータ1は消滅するが、新しいタイプのオペレータ2が生ずるというアイデアです。
つまり、ITを使った新しい職種が出てくると考えます。馬車の御者(オペレータ0)が、自動車の運転手(オペレータ1)になり、次は、自動運転自動車グループの管理とトラベルアドバイザー(オペレータ2)になるようなイメージです。
まとめ
マルクスのアイデアを図で考えて、資本主義の将来を考えるのが今回のお題です。
わかったことは、次です。
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図で考えると、文章では、複雑すぎる課題も扱えるので、有効な手法です。
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資本主義といいますが、これからの展開を考える上では、資本よりも、労働者の部分のモデルの精緻化がキーになると思われます。