darktable3.4のカラーキャリブレーション

darktable3.4をインストールして、若干操作してわかったことをメモします。

今回のバージョンアップの目玉は、カラーキャリブレーションモジュールです。

1年前のバージョンアップの目玉は、フィルミックRGBモジュールで、そのモジュールを有効に使うために、従来のベースカーブを使った表示参照ワークフローのほかに、フィルミックRGBモジュールを使ったシーン参照ワークフローを設定し、プリファレンスで選択できるようにしたのでした。

今回は、ホワイトバランスモジュールを一般化したカラーキャリブレーションモジュールを開発して、ホワイトバランスについても、ワークフローを分離する方針になっています。

写真1は、プリファレンスのプロセシング設定タブですが、「auto-apply pixel workflow details」で、ここでは、「scene-referred」(シーン参照ワークフロー)が選択されています。

その次の行に、「auto-apply chromatic adaptation defaults」があり、ここでは、「modern」が選択されています。この部分は、「legacy/modern」から選択するようになっていて、デフォルトは「legacy」です。この部分がホワイトバランスの設定に相当し、デフォルトは、ホワイトバランスモジュールをつかう「legacy」で、オプションの「modern」がカラーキャリブレーションを使うワークフローになります。

さて、問題のカラーキャリブレーションですが、とりあえず、動かしてみた印象を示します。

写真2から写真4では、左側が従来のホワイトバランスモジュールの処理で、右側がカラーキャリブレーションを追加した処理です。処理は、画像全体にピックアップツールを使って、自動パラメータ設定をかけています。

写真2のムーミンのぬいぐるみを見ると、左の不自然に青みがったホワイトバランスが右では補正されています。

写真3は、ちょっと変わった例です。これは地下室のワイン樽の写真で、明かりは蛍光灯の足元灯だけで、実際の現場は、目視では非常に暗いです。ここでは、露光補正で、全体を明るくしていますが、ISO1600なので、左の樽の部分にはノイズがのっています。注目しているのは、床のタイルと右の樽の表現です。右側が、表現の幅が広がって、非常に雰囲気のある写真に仕上がっています。こうした雰囲気がだせることはすごいと思います。

写真4が、曇りの日の建築写真です。曇りの日のホワイトバランスは難しいです。白壁の表現を比べてみればわかりますが、右の壁は白く、左は黄色ががっています。また、曇りの日には、空の色がでず、さえない写真になりがちですが、右では、ほんのり青い空色になっています。

写真5は夜明けの富士山の写真です。いわゆるゴールデンタイムの写真になり、刻々と変化する空の色をきれいにどこまで表現できるかがポイントになります。左が、モノトーンに近い色表現になっているのに対して、右では、オレンジ色がきれいにのって、深みのある色合いになっています。

以上のように、ちょっといじっただけですが、ここまで、色彩表現が広がると、今まで、古いdarktableで編集してきた写真をもう一度新バージョンで編集しなおしたくなるような出来栄えと言えます。

新リリースの案内に「darktableの新機能リリース3.4.0を発表できることを誇りに思います。」とありますが、その言葉に嘘はないと言えます。

 

 

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写真1

 

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写真2

 

 

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写真3

 

 

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写真4

 

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写真5