山本康正の描く5年後の破壊的企業の世界

11月15日発行の山本康正「2025年を制覇する破壊的企業」を読みました。

内容は、世界先端企業11社の紹介です。

5年前に、「10年後の2025年に、仕事の半分は、なくなっている。」という予測がありましたが、本書は簡単に言えば、その企業版で、「2025年には、企業の半分はなくなっている。」という予測です。「破壊的企業」とは、5年後に、従来の企業を破壊しているという意味です。

IT企業を中心とした業界予測で、この手のものは例えば、経営コンサルタント大前研一の出しているものが広く読まれていると思いますが、大きな違いは次の点です。

  • 鮮度、情報の新しさがけた違いです。

  • 企業のトップにITエンジニアがいない会社は5年後にはつぶれます。経営コンサルタントは、企業のトップに、技術のことも勉強してくださいねというスタンスですが、それでは、変化についていけません。このことを明示しています。なぜ、テスラが強いのかその理由がここにあります。日本株式会社も危機的です。

  • アメリカの企業の強さが、コンピュータサイエンスにあることを重視しています。「机上で行う理論的な数学のトレーニングとは異なり、コンピュータサイエンスではどれだけコードに触れてきたか。美しいコードに出会えてきたか。この経験がものをいいます。」とその理由を説明しています。日本のコンピュータサエンティストは美しくないレガシーコードを扱っている人が多すぎると思います。

本書は5年後に必須な5つのスキルとして、次をあげています。

  • 英語

  • ファイナンス

  • データサイエンス

  • プログラミング

  • ビジネスモデルが読める

アメリカのIT企業は、個人としては欠けるものがあっても、トップはグループとしては、これらの条件をクリアしています。日本の企業のトップは条件をクリアできていないと思います。スキルをトレーニングすべき、大学も厳しいです。山本康正は大学の特任教授もしているようなので、ニーズはあるようですが、スキルを習得できた卒業生の数を考えると、必要な卒業生数とカリキュラムのギャップは大きいです。さらに、人材の質では、本書によると「18歳でコンピュータサイエンスの博士を取得した天才がごろごろいる」アメリカとは、比較にもなりません。

  • 2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書)

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