筑波北部公園~つくば市とその周辺の風景写真案内(217)

筑波北部公園

筑波北部公園は、北部工業団地内になるスポーツ公園です。つくば市内にテニスコートのある公園は多数ありますが。おそらくテニスコートに観客席のある公園はここだけと思われます。他に観客席のある公園としては、さくら運動公園の野球場に観客席があります。

写真1は公園の管理棟です。

写真2は公園のエントランスです。他の公園にも共通しますが、つくば市の場合には、周辺住民以外は公園には自家用車で訪れます。筑波北部公園は周辺には民家がないので、ほぼ100%の訪問者は自家用車を使うはずです。したがって、エントランスは、作るとしたら、駐車場に向けたものにすべきです。しかし、この公園だけでなく、駐車場からのアクセスを動線として、エントランスを作っている例は少ないです。茨城フラワーパークと古河公方公園しか思い浮かびません。茨城県内で、最大規模のひたちなか海浜公園も失格です。公園のデザイナーは、他の公園のデザインをコピーして、リフォームして再利用している人が多いのかもしれません。行政の人は、予算の見積もりが頭の中で占める割合が高いためと思いますが、事例集が好きです。ハウスメーカーのカタログにも似ています。事例集を見て、予算と面積のバランスを考えて、似たものを作る計画を立てるのに便利だという理由です。公園は、ひたちなか海浜公園のような例外をのぞけば、自治体の発注ですから、発注者側がコピーを求めているので、公園のデザイナーの問題ではないのかもしれません。その結果、駐車場やアクセスに配慮していないだけでなく、環境配慮が失敗している公園がコピーされて、量産されているとおもいます。交通アクセスや環境は、場所場所で条件が異なりますので、コピーした時点でほぼアウトになります。

公園の設計時には専門家の検討委員会を作りますが、現場を知らない検討委員会は意味がないです。以前、水辺公園の調査の許可を得るために、管理団体の役員の方にお願いにいったことがあります。その方が言うには、そこの水辺公園の設計時に、専門委員が、「崖のところに蛇がいて、鳥の巣が狙われているので問題だ。」という発言をされたらしいです。役員の方は、地元のカメラマンの方と懇意にされていて、「よく出入りするカメラマンの方から、そんな問題があるとは一度も聞いていない。博士を持ってる専門委員にしては、とてもまともとはおもわれない。」と愚痴をこぼしていました。専門委員会を作るだけの予算があれば、チェックリストを作って、地元の方に、謝金を払って、チェックリストの項目を調査してもらった方が、ずっとましとおもいます。

写真3は観客席付きのテニスコートです。

なお、つくば市内の研究学園地区内の公園は、国策で作った都市計画に基づいていますから、公園のデザイナーの裁量権は、例外的に大きかったと考えられます。とはいえ、おおきな幹線道路を作っておきながら、モータリゼーションに必須の駐車場の設計を完全に見誤ったと思います。公園や古い集合住宅の自動車の台数は1戸に1台未満を想定していて、所得水準の向上と、保有自動者数の増加を考慮していませんし、パークアンドライドも考えられていません。計画上の都市中心であるつくばセンタービルの周辺では、ドーナッツ化現象が進行していますが、その大きな原因のひとつは、駐車場問題です。つくばエクスプレスを設計する時点でパークアンドライドを考えていれば、駐車場専用駅を作ったり、無料駐車場から駅までの専用交通システムを作るなどの工夫もできたと思いますが、結局、つくばエクスプレスにかかわる都市計画は、鉄道と沿線の宅地開発で、関連業界が潤うという従来のパターンのコピーになっています。なお、最近の状況は、駅前のマンション以外のアパートは空きが目立ち、壊して一戸建てにしています。都市計画上は、一戸建て建設がずっと続くようになっていますが、人口が減少しているのでどうなるかは不透明です。シャープが亀山工場を作った頃に似た状況にあるといえば、言いたいことがイメージしていただけると思います。

 

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写真1 筑波北部公園(管理棟)

 

 

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写真2 筑波北部公園(エントランス)

 

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写真3 筑波北部公園(テニスコート