一人当たりの公園面積(つくば市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(310)

一人当たりの公園面積(つくば市

県西総合公園のところで、茨城県内の公園について調べました。筆者は、つくば市に住んでいるので、都市計画における公園の扱いに関心があります。というのは、何度か、繰り返し申し上げていますが、次の視点があるからです。

1978年から1990年の間は、日本経済が拡大する時期で、つくば研究学園都市は、全日本の都市計画のコンペとして作成されます。つまり、100点満点とはいえないとしても、つくば研究学園都市(とくに研究学園地区)は、都市計画の理想とする都市の姿が組み込まれているはずです。都市計画の理想は何で、それが、結果として、成功したのか、失敗したかに関心があります。ハワードの田園都市のように、優れた都市計画は、そのコンセプトがコピーされて、広まります。つまり、ハードウェアとは独立した文化になります。一方、しょぼい都市計画は、ハードが更新されるときに消滅してしまいます。日本の都市計画の英知をあつめたつくば学園都市計画はどちらのパターンに近いかを見れば、つくば研究学園都市の都市計画の評価ができます。

2005年につくばエクスプレスが開業します。その後は、郊外のベットダウン型の都市計画に変貌しています。この時点で、当初のつくば研究学園都市の都市計画との共存や調整がどのように図られたかが評価のポイントになります。

さて、つくば市には公園が、202か所あります。これは、一見すると多いように見えます。しかし、10ha以上の公園は、洞峰公園20haと茎崎運動公園13haの2か所だけです。茨城県内の都市公園(自然公園は山全体が指定されているので比較から外します)では、写真1のひたち海浜公園の191.9haは別格として、大子広域公園の61haと偕楽園の 58haが、2、3位と続き、桜川緑地、笠間芸術の森公園、大洗公園、県西総合公園、砂沼広域公園、笠松運動公園などが、50ha前後で並んでいます。大子広域公園の61haと偕楽園の 58haは、今後、偕楽園の整備が進めば逆転する予定です。砂沼広域公園は、現状では20haですが、将来的には、80haの計画で、2位になると思われます。

平均値で見ると、つくば市の一人当たりの公園面積は、9.22平方メートルです。これは、茨城県の平均の9.49平方メートルも、全国平均10.4平方メートルをも下回っています。

公園面積からみると、これが、理想の都市計画とはとてもおもえません。研究学園地区の都市計画で、公園がそれなりの位置づけをしていたことは確かです。現在のつくばエクスプレスつくば駅に隣接するセンタービルが計画上の都市中心で、ここを中心に、南北にペデストリアンデッキが配置され、それにつながるように、大、中、小規模の公園が配置されています。この公園の配置と、現在の一人当たりの公園面積には、大きなギャップがあります。つくば市では、一人当たりの公園面積の年代別推移のデータを公開していませんし、そもそも、土地利用計画で、公園面積の不足が問題であるという意識はないようです。wikiによれば、研究学園都市の、計画人口は10万人とされたようです。図1に、つくば市の人口の推移を示していますが、1980年頃までは、人口10万以下です。その後、特に、つくばエクスプレスが開通してから、宅地開発が増え、それに、合わせて公園も建設されていますが、その面積は、人口当たり小さく、公園の一人あたりの面積の値を引き下げたと推定できます。例えば、宅地開発に伴ってできた新しい公園には駐車場がありません。(注1)つくば市は広いので車でしか行けないところも多く、駐車場が無い場合には、このブログに載せる写真を撮影するのに苦労します。正確にはわかりませんが、研究学園都市建設当初の1978年の研究学園地区の一人当たり公園面積は、15平方メートルはあったのではないでしょうか。もちろん、1978年には、旧宅地造成法による公園面積の非常に少ない宅地開発もあったので、市内平均では、もう少し小さかったと思われます。ちなみに、茨城県の1978年の一人当たりの公園面積は、2.46平方メートルでして。つまり、1978年の水準では、研究学園地区は、断トツに公園面積の多い地域だったと推定できます。その後、茨城県内の一人当たりの公園面積は9.22平方メートルと3倍以上に拡大します。一方、つくば市は、一人当たりの公園面積が、減少したと思われます。

ちなみに、図2に、外国の都市の公園面積を示します。東京は問題外ですが、首都やそれに類する大都市でも11平方メートル以上あります。つくば市は、これらの都市のような大都市ではありません。都市計画を田園都市としてイメージするのであれば、20平方メートル未満はありえないと思います。

注1:

工業団地計画の公園には、駐車場があります。なお、牛久市のように、公園には、駐車場は併設しないと明言している自治体もあります。

 

https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/kogai/kikaku/city_park.html

https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/joho/it/opendata/od-01/080800_20160331_hitoriatari.html

https://ecitizen.jp/ssds/Indicators/_H08101

 

https://www.city.tsukuba.lg.jp/jigyosha/machinami/rittuchi/1004177/1004178.html

https://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/178/5_s_1_data.pdf

 

https://www.mlit.go.jp/crd/park/joho/database/t_kouen/index.html

https://www.mlit.go.jp/crd/park/joho/database/t_kouen/pdf/01_h30.pdf

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%91%E6%B3%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AD%A6%E5%9C%92%E9%83%BD%E5%B8%82

 

 

 

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図1 つくば市の人口の推移

 

 

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図2 諸外国の都市における公園の現状

 

 

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写真1 ひたち海浜公園