darktableで建築を写す(1)

建築写真とは

建築写真とは一般には建築物の写真ですが、ここでは、複数の縦または横の線が画面構成上、重要な役割を果たしている写真を建築写真と呼ぶことにします。ですから、観光地の写真でも、縦または横の線が画面構成上重要な役割を果たしている写真は建築写真になります。ただし、風景写真でよくみられる水平線のような1本の横の線の場合は除きます。複数の縦または横の線が画面構成上重要な役割を果たすというのは、これらの線が遠近感を構成しているためです。

なお、ホテルなどの建築写真では、見ている人に宿泊してみたいというイメージを持ってもらうことが重要になります。この場合には、内部の撮影やライティングが重要な要素になりますが、今回は、日中に撮影した建物等の写真の補正法を述べます。

建築撮影上の留意点

ヨーロッパの町中の教会のように、高さが高い建築で、路地が狭くあまり下がれない場合には、広角系のレンズを準備しなければ建物全体が入らないことがあります。一昔前までは、標準レンズの画角がフィルムカメラ換算で28㎜始まりでした。しかし、最近では、換算24mm始まりになったので、この点の問題は少なくなりました。

撮影時は、できるだけ画像がボケないように、絞りをF8程度まで絞ること、逆光を避けることが基本ですが、旅行写真の場合には、太陽の位置をえらべない(撮影時間をえらべない)ので、アングルによっては逆光になることもあります。これは、RAW現像で対処するしかありません。

あとは、レンズ補正とアオリ補正が重要なので、この点はあとで説明します。しかしながら、補正が効きにくい例もあるので、撮影時に注意が必要です。

対象図形の撮影

写真1は左が、レンズ補正のみで、アオリ補正をしていない画像。右がアオリ補正をした画像です。

確かに、左より、右が対称性が良くはなっていますが、完全には補正しきれていません。

シンメトリック(左右対称)な図形では、左右のアンバランスに目がいってしまいますので、次のどちらかで撮影すべきです。

  • 細心の注意を払って出来るだけ左右対称になるように撮影する。

  • 左右対称な対象でも、対象にならないアングルを選んで撮影する。

写真1のような、中途半端に左右対称なアングルは最悪で避けるべきです。

 

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写真1 対象図形の問題

 

撮影や補正で考慮すべき点をあげます。

レンズ補正

コンデジなどのレンズ一体型カメラでは、カメラ内現像で、レンズの歪補正が前提であるといわれます。レンズ交換式カメラでは、レンズ歪はより小さいといわれます。写真2は、オリンパスの12-40㎜F2.8のレンズで12㎜で撮影した画像です。右がレンズ補正なし、左がレンズ補正ありです。屋根のところにつけた赤い線をみていただくとわかりますように、レンズ補正しないと曲がっていた屋根が、レンズ補正でまっすぐになっています。このレンズは、オリンパスのレンズの中では、プロレンズと呼ばれる一番高いグレードのレンズです。それでも、この程度の湾曲があります。建築写真はレンズ補正は常に使うべきと思います。

 

 

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写真2 レンズ補正

 

 

アオリ補正

今回は、アオリ補正とは何かだけを説明し、詳細は次回に検討します。

まず、darktableにはアオリ補正という名称のモジュールはありません。アオリ補正には、「パースペクティブ補正」モジュールを使います。

写真3が、パースペクティブ補正モジュールです。アオリ補正をするには、一番下の構造を取得の行から、縦線が4本のアイコンをクリックします。

写真4が構造が取得された状態のメイン画面です。色の意味は以下です。

  • 緑:関連する垂直収束線として選択された線。

  • 赤:垂直であるが、収束する線のセットの一部ではない線。

  • 青:関連する水平収束線として選択された線。

  • yellow:水平であるが、収束する線のセットの一部ではない線。

  • 灰色:他に識別されたが、このモジュールには関係のない線。

写真5の自動適合の行の一番左の台形をクリックするとアオリ補正が実施され、緑の線は平行になるように補正されます。

写真6が、アオリ補正を実施した結果です。黒い部分をみると元の画像に比べて、下側の幅が狭くなっています。つまり、見上げるように写真を撮影するとパースペクティブ補正モジュールの構造を取得の行の一番左のアイコンのように、縦線が上に行くほど狭くなります。アオリ補正はこの線を取得して、平行になるように変形します。また、平行に変換した後で、線の傾きが垂直とずれている場合には、その角度が垂直になるように回転します。

自動適合の行の左から2番目と三番目の台形のアイコンは、アオリ補正ではありません。中央は、水平線を補正し、一番右は水平線と垂直性を合わせて補正しますが、補正量が小さい場合以外には利用価値は少なく、あまり、利用頻度は高くないと思います。

 

 

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写真3 アオリ補正

 

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写真4 アオリ補正

 

 

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写真5 アオリ補正

 

 

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写真6 アオリ補正

あおり (写真) wiki (View camera)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%8A%E3%82%8A_(%E5%86%99%E7%9C%9F)