今回は、iPadの写真を公開する予定です。ただし、前回、レタッチした、小貝川の橋からみた鳥居に写真については、さらに、レタッチを加えてみました。
写真1は、本殿とその前の鳥居です。
写真2は、本殿です。
写真3は、本殿から参道を見たもので、中央の輪は「茅の輪」です。
前回のカメラでとった写真と比べて、負けていません。
普及型カメラの性能規定は800万画素
これを比べながら、次のことを思いました。
スマホのカメラや、単独のカメラを開発する場合には、開発目標を決めます。これが性能規定にもなります。
このブログの写真は900x640画素くらいです。Instagramの最大サイズは1000x750くらいなので、これらは、80万画素あればたります。初期のiPadのディスプレイは、1024×768画素なので、80万画素の表示能力があります。
また、国土交通省が定める工事写真の基準であるCALSは以下です。
電子媒体による写真については、必要な文字、数値等の内容の判読ができる機能、精度を確保できる撮影機材を用いるものとする。(有効画素数80万画 素以上、プリンターはフルカラー300dpi以上、インク・用紙等は通常の使用条件のもとで3年間程度に顕著な劣化が生じないものとする。)
実用上の写真は、この程度です。
写真の現像で、一番使われているサイズはL版で、(89 × 127 ミリ 1576500画素300dpi)なので、80万画素x2です。
現時点では、80万画素のセンサーはありません。これは、ガラゲーにカメラが付いたことろの画素数です。
トリミング等を考えると余裕もみた方がよいです。
古いiPhoneやiPadのカメラの画像数は800万画素です。ここで使ったiPadは1200万画素あります。重要なことは、スマホやタブレットは800万画素をターゲットに製品を開発してきたことです。
800万画素は、300dpiで印刷するのであれば、六つ切り(203 × 254 ミリ、7194000画素)または、A4に対応できます。
まとめると、「800画素=タブレットディスプレイx10=Instagram投稿規格x10=六つ切り=L版x5」なのです。
カメラのレンズやセンサーの評価では、等倍に拡大してノイズの乗りかたがどちらがよいかという実際の利用と離れたトンデモ基準で評価されています。これは、全てのカメラとレンズは車で言えば、販売価格はいくら高くともよいレーシングカーの性能を持つべきという評価です。車を買う人は、軽自動車か小型乗用車で、オーマチックで、市内を最高速度60㎞/hまでで、快適に走れ、価格も手ごろな車を求めます。デジカメの主戦場は800万画素です。800万画素で、オートモードでシャッターを押すだけで、きれいな写真が写ることが、普及型のカメラの評価基準です。
この基準でカメラを比較している例を見たことがありません。スマホメーカーは、この基準にターゲットを定めて、スマホ搭載のカメラを改良しました。その結果、800万画素では、スマホに完敗しています。
カメラ雑誌や、カメラ評価は、最近では、高価格、高性能を比較しています。しかし、2000から2010年頃にデジカメの販売台数が増えたのは、安価で性能の良いカメラが毎年発売され、買い替え需要があったためです。
カメラが高級品だった時代のことをオリンパスの米谷美久は次のようにいっています。
醤油を造っていた四国の実家には、ライカ「III f」があったので、勝手に引っ張り出して使っていました。中学の後半から高校の間(1947-1952頃、筆者補足)ずっと写真を撮ることに熱中していました。学校の先生の紹介で、街の写真クラブに入っていました。(中略)当時のライカ「III f」といったら、19万円くらいしました。その頃の公務員の平均月給は7千円くらいですからね。
このレベルのカメラであれば、レーシングカーと同じような設計コンセプトでよいと思われますが、販売台数は限りなくゼロに近くなります。
たくきよしみつ氏が『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社講談社現代新書)を出版したのは、2008年10月です。おそらく、そのころから、デジカメは実用的な画質に関する開発目標が不在になって、2010年頃から、明確な開発目標をもったスマホに負けてしまったというのが、カメラメーカーが言いたくない真実と思います。はっきり言って、あまりに、初歩的なミスで、これでは、会社がつぶれて当たり前です。
この点は、別の機会に、詳しく分析したいと思います。
鳥居の写真の再修整
最後は、鳥居の写真の再修整です。
写真4は、darktableのレタッチモジュールで、鳥居の足を復元したものです。darktableのレタッチツールは、単純に周辺の画像で、ターゲットの部分を置き換えるだけでなく、ターゲーットにあわせた修正を行います。
その機能が有効な場合も多いのですが、写真4の鳥居の中の部分のようにぼかしが入ってしまうことがあります。
写真5では、その部分をNikonのCapture NXDで補正しています。このソフトでは、ぼかしが入ることはありません。
引用
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写真サイズ一覧表
https://www.size-info.com/photo-paper/
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国土交通省 電子納品に関する要綱・基準 デジタル写真管理情報基準(案)平成30年3月
http://www.cals-ed.go.jp/cri_point_old_photo/
https://www.olympus.co.jp/technology/museum/camera/lecture/vol1/?page=technology_museum