日本のパンデミック予測~コロナウィルスのデータサイエンス(その22)

東京都ロックダウンの基礎データ

4月1日はエイプリルフールなので、まじめな話はしにくいです。

東京都のロックダウンについて、風評が出回っているとか、4月1日はないと閣僚がいったとか、話が出ています。

このブログの視点はデータサイエンスです。

ロックダウンがないと否定しても、バックデータが占められなければ、その説明は、聴くだけ時間の無駄です。

政府は、いくつかのスマホの会社などにデータ提供を求めているようですが、自分が担当であれば、話をするのは時間の無駄なので、波風立てない程度で対応すると思います。なぜなら、医療保険のデータがクラウドデータベースにのっていれば、こうした問題は解決しているはずだからです。お薬手帳や、保険証の使用履歴がデジタル化されていれば、どの自治体で、発熱があって治療を受けた人が増加しているか否かは簡単にわかります。

こうした手持ちの駒でできる努力をしないで、丸投げしようとしているわけですから、まずは、お役人は一方的にがなり立てるだけで、何を言っても理解できるリテラシィはないだろうと予想できます。

マスクの生産も問題になって2か月たつので、今頃、生産を増やすということは2か月間なにもしていなかったといわざるをえません。

さて、今までの日本のパンデミック予測の視点をおさらいしておきます。

  • 感染経路不明の感染者数がある水準を超えると、アウトブレークが起こる。

  • 感染経路不明の患者数の変化には次のパターンがある。

  1. 一定で増加しないか、減少する

  2. 一定比率で緩やかに増加する。

  3. 爆発的に増加する。

  • 感染経路不明の感染者数は、総感染者数が増えると分離が困難になるが、この場合には、総感染者数を代替指標にしてもよいと思われる。

図1は、東京都の感染経路不明の患者数の時系列です。31日分は40超で1日で分離できなくなりました。ここでは41でプロットしてあります。

トレンドは、赤線ではなく緑線にあります。ただし、どこかでアウトブレークが起こり、この線に載らなくなります。この点については、今までの説明が不正確だったので、過去の記事を修正しました。

ですから、感染経路不明の感染者数で問題になるのは次の点です。

  • 感染経路不明感染者数の増加率

  • アウトブレークが起こる感染者数のレベル(おそらく密度依存)

 

 

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図1

 

 

図2は、日本と米国の日別感染者数の推移です。日本の最新のデータは31日のものです。

米国の場合には、緑線から、オレンジ線に切り替わる3月1日ころにアウトブレークになったと思われます。

日本の場合には、最近のデータを、緑線にのっているのか、赤線にのっているのかの判断になります。

赤線にのっているとすれば、アウトブレークの初期の段階にあることになります。

実測値が緑線の上側に出現すれば、アウトブレークが起こっていると判断して間違いがないと思われます。ただし、その時に、対策をしても。効果があらわれるには、2週間かかります。

 

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図2

 

米国のデータを見ると3月1日あるいは、1日当たり感染者数が100人を超えたところで、アウトブレークが発生しています。

ジョンホプキンス大学のWEBをみると、いくつかの国では、日感染者数がある水準を超えるとアウトブレークがが起こるというパターンの経過をだどっています。もちろん、違ったパーターンもありますが、モデルとしては、理解しやすいと思われます。その場合に、アウトブレークがおこる水準は国によって違います。

ですから、日患者数がある閾値を超えるとアウトブレークがおこるというモデルを採用するばあいでも、閾値がいくつかは不明です。この閾値の判断は、プロットの形と、集団感染の事例を元に判断することになると思います。

図3は、赤線のトレンドを採用した場合の4月7日の値を赤い円で囲んだ点にいれてあります。この場合の値は1800人です。

 

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図3

 

 

 

図4は、緑線のトレンドを採用した場合の4月7日の値を緑の円で囲んだ点にいれてあります。この場合の値は800人です。

 

いずれにしても、どちらのトレンド線でも考えれば、既にアウトブレークは起きていることになるので、今日以降のデータが、トレンド線より、小さくなり、明らかに増加が抑えられていることが確認できなければ、ロックダウンが避けられないでしょう。

 

 

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図4