地域振興のための写真撮影と処理(5)(darktable3.0第91回)

フード写真とは

フード写真とは、料理や食材を撮影した写真のことです。

地域振興のためのフード写真とは、ヴィジターた写真を見て食べてみたくなるような、おいしそうな写真をとることになります。

ここでのポイントはあくまでおいしそうに見えるということです。

たとえば、よく知られているテクニックに、氷の代わりに、アクリルをつかう方法があります。氷は解けやすいですし、ガラスに曇りが生じて、きれいに写真をとることが難しいのです。オンザロックの宣伝写真の氷がアクリルである可能性があります。先日、近くのスーパーの魚売り場で、氷の代わりにアクリルを使っているのを見つけました。

 

フード写真の撮り方

 

料理の写真では、テーブルの上の皿の上の料理を撮影することになります。

画角は、標準(換算50mm前後)、望遠(換算100mm前後)、広角(換算30mm前後)、マクロが選べますが、ここでの例は、スマホの画像なので、広角になります。

フード写真の難しさは、実は、画角の選択の幅の広さにあります。基本はテーブルの上の皿になりますが、その中に、レストランの内装を広角で入れると、雰囲気が伝わります。また、画角のことなる写真を入れることで、単調さを避けることができます。

この真逆が食堂のパンフレットで、例えば、ラーメン店の紹介パンフレットでは、同じ画角のラーメーンが、メニューの写真のように並んでいるころが多くあります。でも、これでは、見る方はすぐに飽きてしまいます。

このように条件が多様なため、撮影してみて、結構失敗が多いことがわかりました。手振れ、ピンボケが多発します。

以下、スマホの広角を例に説明します。

基本は、撮影したその場で写真を確認することなので、これを怠らないようにしましょう。

失敗の原因には次が考えられます。

  • 料理のどこが美味しいかが伝わらない。この料理のポイントはどこか考えて写真をとりましょう。

  • 姿勢がよくないため手振れする。姿勢が定まらないと、手振れが起こります。卓上の小型三脚を使う方法もありますが、その前に、姿勢に注意すればかなり、改善できるはずです。まずは、立って撮影するか、椅子に座って撮影するか、自分にあったスタイルを決めましょう。座った場合には、背筋が伸びているとブレにくいと思います。皿の大きさは、だいたい同じなので、撮りやすい、画角と距離を頭にいれるとミスが減ると思います。特に、マクロモードでければ、近づきすぎると、ピンボケになります。

  • ライティングがよくない。レストランの中で撮影する場合は光が不十分なことが多いです。これは、シャッター速度が落ちて手振れをしたり、F値が小さくなって、次の被撮深度の問題を引き起こします。解決法は、第1には、ライティングです。100円ショップで売っている乾電池で使えるLEDライトでも、大きな効果が期待できます。このとき、できるだけ明るいライトを選ぶこと、できれば2台購入して、右左からライティングして、大きな影ができないようにすることがポイントになります。

  • 被撮深度が浅くなりがちである。F値が小さいレンズなので、暗いとことでも大丈夫と思っていると痛い目にあいます。時には、絞ることも検討してください。

  • 背景がよくない。テーブルクロスの色、皿の色は重要です。

 

サンプル1はパイの写真ですが、見事に失敗してしまいました。焦点はスプーンにあっていて、一番前のパイはボケています。風景写真違って、フード写真ではボケを使った表現もありですが、ボケてしまってはダメです。

料理が立体的な時、撮影距離が短い時には注意しましょう。なお、今回は、この写真だけが、スマホでなくコンデジで撮影しています。

f:id:computer_philosopher:20200122151259p:plain

サンプル1


  フード写真の編集

次に、スマホでとった写真を例に、darktableによるフード写真の編集の仕方を説明します。

サンプル1がスマホで撮って出しの料理の写真です。これは、テーブルで食事をしながら座ったまま撮影したもので、ライティングはしていません。奥に、別の人の料理が見えます。

 

f:id:computer_philosopher:20200122151340p:plain

サンプル2 原画像



 

編集の基本は、風景写真と同じですが、フード写真の場合には、温かみのある料理を表現したいことがあるので、ホワイトバランスを調整します。

ホワイトバランスのモジュールを開きます。スラーダーが多数ありますが、基本は「色温度」を使います。

色温度のスライダーを右に動かすと黄色赤系の暖色になります。左に動かすと寒色になります。ここでは、暖色にシフトします。

 

f:id:computer_philosopher:20200122151424p:plain

「ホワイトバランス」モジュール



 

次に基本調整モジュールを開きます。ピッカーで料理の部分を選び、自動をクリックします。

自動調整後は、マニュアルでブラッシュアップします。

 

f:id:computer_philosopher:20200122151503p:plain

サンプル2 自動調整


 

f:id:computer_philosopher:20200122151538p:plain

基本調整

 

 

 

 

最後に、トリミングをして完成です。

料理の場合、基本的には、皿が全部写る必要はないといわれます。ここでは、上の部分は、文字が入っていてアクセントになること、グラスが写って、食卓の雰囲気が出るので、残していますが、切り取ってしまう方法もありだと、思います。

 

 

f:id:computer_philosopher:20200122151606p:plain

サンプル2 最終画像

 

事例研究

 

サンプル3です。サンプル2と同じように、ホワイトバランス、基本調整、トリミングをかかています。

焦点が、奥のケーキにあっていて、手前のジェラートはすこし、ピンボケに思われます。

この程度の焦点のボケは、拡大すると目に付くのですが、カメラの液晶では拡大しないとわからないと思います。マニュアル焦点を使って、拡大機能で、カメラで焦点を確認するほうがよかったかもしれません。

 

 

f:id:computer_philosopher:20200122151722p:plain

サンプル3 原画像


 

  

f:id:computer_philosopher:20200122151743p:plain

サンプル3 最終画像

 

 

サンプル4です。ここでは、皿のデコレーションが写る範囲で、皿が欠けてもよいアングルを選択しました。

ただ、結果としてできた画像をみると、料理が奥の方にあってバランスが良くないので、思い切って手前を切り取りました。

出来た画像をみると、この場合には、ライティングのミスがあることがわかります。影が手前に出来ているのです。また、ピントが手前のケーキの切り口にきていて、後方のジェイラートではピントが甘くなっています。

 

 

f:id:computer_philosopher:20200122151816p:plain

サンプル4 現画像

 

f:id:computer_philosopher:20200122151844p:plain

サンプル4 最終画像

 

たかがフード写真ですが、良い写真を撮ろうとすると、工夫すべき点が多いことが理解できたと思います。

フード写真の場合には、温かく見せるために、ホワイトバランスを調整しましたが、それ以外の部分のノウハウは、同じような距離をサイズの物体の写真にも共通になります。

例えば、採取した魚の写真をとる場合も、同じように処理できます。