カメラの撮影時に、カメラマンが、自由に設定できる要素は、構図と絞りだけです。
スタジオ撮影では、ライティングを調整しますが、屋外では、光を自由に選ぶことはできないので、条件のよい光を探して撮影しますが、自由度は限られています。
絞りを決める要素は、3つあります。
1)解像度をあげたシャープな写真を撮影するには、Fの値を大きくします。ただし、あまり絞りすぎると回折の影響が出るので、F8からF11程度に止めます。
逆に、F値の小さな写真は、柔らかい写真になります。
2)被写界深度を大きくするためには、絞りを絞ります。
3)フレーム内に太陽を入れた逆光写真では、太陽の光条を出すために、絞りを絞ります。
今回は、2)のサンプルを示します。
写真1から、写真5は、絞りを変えて撮影しています。
前景に、犬がいて、背景に、藤棚があります。
このバランスのとり方がテーマです。
写真1は、F1.4で背景の藤棚は、ボケて形がわかりません。
写真2は、ピンボケ写真です。焦点は、手前の手提げに合っています。
F2.0では、被写界深度が浅いので、犬の目には焦点があっていません。
写真2の場合には、犬の目に確実に焦点を合わせる必要があります。
瞳認識が効くこともありますが、タッチシャッターで、目に焦点を合わせるしか、確実な方法はないと思われます。
写真3は、F5.0です。ここまで絞ると、手前の手提と犬の目の双方に焦点があっています。
ただし、背景の藤棚は、被写界深度の外にあります。
写真4は、F8.0です。背景の藤棚も、大まかに様子がわかるようになっています。
写真5は、F14.0です。背景の藤棚も、様子がわかるようになっています。
ただし、犬の顔は硬くなっています。
また、回折の影響もあると思われます。
写真5は、背景も大まかにはピントがあっていますが、逆に、主題が何かがわかりにくくなっています。