ここでは、カラーバランスモジュールを使って、紅葉を引き立てます。
紅葉は、既に、題材として何回も使っているので、またかという印象を持たれるかもしれません。
カラー処理では、効果が見えやすいのでサンプルに取り上げました。今回は、紅葉の赤だけでなく、空の青も強調してみたいと思います。
作例をまず示します。
カラーバランスモジュールでは、色を、シャドウ、ハイライト、中間トーンに分けて指定します。
紅葉は主に、シャドウに、空は主に、ハイライトに対応します。カラーバランスモジュールを使うコツは画面の中で、シャドウ、ハイライト、中間トーンがどこに位置しているかを判断する点にあります。ここでは、シャドウは赤を強くし、ハイライトは、青を強くすることで、色を修正することにします。
左が元の画像で、右がカラーバランスモジュールを適用した結果です。紅葉と空の色が鮮やかになっています。
いつも紅葉だけでは芸がないので、他の素材にもチャレンジしてみます。
サンプル2は、梅の花です。梅の花は、中間トーンに対応します。空は、ハイライトに、木の枝はシャドウに対応します。そこで、梅の花の白を強調し、背景の空と、木の枝に青を入れて、色の対比をはっきりさせます。
右が元の画像、左がカラーバランス処理をした画像です。背景に青が強調されて、梅の花は前面に出てきています。
サンプル3は川岸の日没です。この画像は、ハイライトはほとんどなく、シャドウは黒く、影になっています。
夕焼けの部分は中間トーンと思われます。そこで、中間トーンを、朱色に振ります。
右が元の画像、左が、カラーバランス処理をした画像です。夕焼けの赤色が強調されています。
カラーバランス処理をした結果、画像が単調になりすぎた傾向が見られました。
次の画像は、上の画像の右左を入れ替えたもので、左がカラーバランス処理をした画像、右が元の画像です。
この画像では、消失点のある左の部分のウェイトが大きくなるので、これを見れば、カラーバランス処理をした画像が極端に単調とまではいえないことがわかります。色のきれいさからすると朱色が勝っているので、カラーバランス処理した画像を最終画像としてもよいのではないかと思いました。
サンプル4は海岸です。風景写真では、水平線を含んだ海の風景は、非常に多い題材です。バリエーションには、湖などの水平性を含む場合があります。この場合の処理の鉄則は、空と水面を分けて処理したいということになります。かっては、これを、レンズの前につけるフィルターで処理していましたが、現在では、グラデーションマスクを使うことで、ほぼ同じ効果が得られます。ここでは、グラデーションマスクで対象を空に限定したうえで、空の色を変えてみました。カラーバランスでは、空は、ハイライトに対応します。
左が元の画像、右が、カラーバランスの処理結果で空の色が変化しています。
サンプル5は池の周辺です。この画像は、1インチセンサーのコンデジでとったため、空の部分が白飛びしています。白飛びの部分には、データがないため、普通の編集では、白飛びの回復は困難です。一方白飛びの部分は、画像のハイライトに含まれます。そうであれば、ハイライトのカラーバランスを変えることで白飛びを回復できるか、試してみる価値があると判断しました。
カラーバランスのハイライトのパラメータを次に示します。ここでは、描画マスクとしてグラデーションマスクを設定し、空の部分だけに処理がかかるように限定しています。
左が元の画像右が処理結果です。カラーバランスを使うと、白飛びの部分も色を入れれことができることがわかります。
サンプル6は僧院の夕焼けの効果です。サンプル5でハイライトにだけ、カラーバランスを適用しました。そのなかで、ハイライトに適用したカラーバランスは光の色に対応していることに気づきました。夕焼けには2つの要素があります。
第1は、太陽が赤い色に見えることです。
第2は、赤い太陽光線を受けて反射する物体が赤く見えることです。
ハーライトのカラーバランスを夕焼け色に設定すると2番目の効果が表現できるはずです。サンプル6はこれを試した結果です。予想通り夕焼けシーンができています。
カラーバランス処理gは、画像の中のシャドウ、ハイライト、中間トーンが自然と見えてくれば、極めて使いやすいツールであると思います。