darktabelのワークフロー(darktable第18回)

いままで、個別の画像処理を扱ってきましたが、ここでは、全体像がみえるように、ワークフローを整理しておきます。

基本のワークフロー

マニュアルは現像の基本のワークフローとして、次の手順を勧めています。以下に、モジュールを中心としたマニュアルのワークフローを要約します。各手順はモジュールに1対1で対応している場合と、複数のモジュールから選択する場合があります。

  1. ホワイトバランス 自動ホワイトバランスが不適切な場合の修正や、夕焼けの赤を強調するような場合に使います。基本グループのの「ホワイトバランス」モジュールが対応しています。

  2. 露光修正 画像が、暗すぎたり、明るすぎる場合に補正します。基本グループのの「露光」モジュールを使います。

  3. ノイズ低減 基本は補正グループの「ノイズ低減(プロファイル)」モジュールを使います。この他に、同じ補正グループに「ノイズ低減(非局所平均)」、「ノイズ低減(バイラテラル)モジュール」があります。

  4. スポットの修正 センサーにダストがついた場合には、補正グループの「スポット除去」モジュールを使います。暗所でのスポットには、補正グループの「ホットピクセル」モジュールが有効です。

  5. パースペクティブ補正など 長方形が台形に映る場合はパースペクティブを補正します。マニュアル修正の場合、基本モジュールの「トリミングと回転」モジュールを使います。自動修正の場合、補整グループの「パースペクティブ補正」モジュールを使います。レンズによるゆがみ、横方向の色収差、口径食などの修正は、補整グループの「レンズ補正」モジュールを使います。

  6. 細部の復元

    RAW画像は、影の部分を中心に、カメラ作成のJpegで見える以上の情報を含んでいます。 基本グループの「シャドウとハイライトモジュール」は、細部の階調値を修正し、視覚化します。完全な白飛び(ハイライト)は復元できませんが、基本グループの「ハイライト復元」モジュールは、好ましくない色かぶりを修正できます。基本グループの「カラー復元」モジュールは、白飛びを周辺の適切な色で塗りつぶします。

  7. トーンの値の調整 トーンの値の調整の基本的は、基本グループの「コントラスト 明るさ 彩度」モジュールです。 トーングループの「トーンカーブ」モジュールは、グラデーションカーブを作成してトーン値を調整します。トーングループの「レベル」モジュールは、ヒストグラムを3つのマーカーで調整します。さらに、Ansel Adamsの「ゾーンシステム」モジュールがあります。

  8. ローカルコントラストの強化 ローカルコントラストを強化して、画像の細部と明瞭さを映します。トーングループの「ローカルコントラスト」モジュールは、少数のパラメーターで簡単に処理できます。補正グループの「イコライザ」モジュールは、汎用性の高い、より複雑な手法を提供します。

  9. カラー調整

    画像の色を調整します。カラーグループの「カラー調整正」モジュールには、簡単な手法で、画像に色合いを与えたり、彩度を調整します。カラーグループの「カラーゾーン」モジュールは、ユーザー定義ゾーンの彩度、または明度、さらには色相を非常に細かく調整します。 トーングループの「トーンカーブ」モジュールは、トーン値を調整し、画像の色を細かく修正します。画像を白黒に変換する場合には、カラーグループの「モノクローム」モジュールが使えます。または、チャンネルミキサーも使用できます。

  10. シャープ化

    RAW画像のワークフローでは、最終出力をシャープ化します。補正グループの「シャープ化」モジュールは、従来のUSM(アンシャープマスク)をかけます。もう1つに、ブレンディングオペレーターと組み合わせて、効果グループの「ハイパスフィルタ」モジュールを使う方法があります。

  11. 芸術的効果

    芸術的効果を生むモジュールもあります。効果グループの「透かし」モジュールは、画像に透かしを追加します。効果グループの「粒子」モジュールは、フィルムのノイズをシミュレートします。効果グループの「カラーマッピング」モジュールは、あるカラーイメージのルックアンドフィールを別のカラーイメージに転送します。 効果グループの「ローライトヴィジョン」モジュールは、人間の視覚をシミュレートして、低光の写真を作成します。効果グループの「グラデーションフィルタ」モジュールは露出と色補正のために画像にニュートラルまたは色付きのグラデーションを追加します。

  12. 画像の書き出し

     

    以上です。

    こうしてみると、今まで説明したのは、2、4、5、6です。1、3は早急に説明すべきでしょう。

    この推奨ワークフローは体系的に整理され、かつ広範です。これは、最終的な学習目標になります。

    darktableによる現像方法の学習の視点で考えれば、まず、カメラ内現像より、優れた現像ができるようになり、その後、推奨されるワークフローができるように、使用できるワークフローを拡張するのがよいでしょう。こうした視点で、考えると、基本グループのモジュールをまず、マスターすることを目指せばよいと思われます。

    関連サイト

    つぎのサイトも英語ですが参考になります。

    https://gist.github.com/eimajtrebor/8134827

    https://www.cambridgeincolour.com/tutorials/digital-photo-editing-workflow.htm