ポートレート現像の注意点の整理(2)基本編2:禁止事項
ポートレート現像の注意点の整理の2回目です。
今回は、普通のRAW現像の説明では、説明されることのないシーン参照(RGBワークフロー)の禁止事項の説明です。なお、表示参照では、従来通り、以下のモジュールを使うこともできますし、画像劣化を減らす目的で、シーン参照(RGBワークフロー)と同様に以下の禁止事項を守ることも可能です。これを、書くと、非常に煩雑になるので、以下では、シーン参照(RGBワークフロー)を前提に説明します。表示参照(ベーズカーブ)を使う場合には、以下を参考に、禁止ではなく、メリット、デメリットを考えた判断をしてください。
禁止事項とは、前回説明しましたように、「古いモジュールが新しいモジュールに置き換わった後でも、過去の画像編集データを有効にするために、古いモジュールが残されます。このために、本来は使うべきでないモジュールが残っていることになります。」という問題の回避です。
複雑に見えますが、要点は、前回の復習です。
明暗の調整は、トーンイコライザー・モジュールを使い、他のモジュールを使わない。
色の調整は第1にはカラーバランスモジュールを使う。
この2つがわかれば、簡単です。
以下の比較画像では、左側がトーンイコライザーモジュールとカラーバランス・モジュールを使った画像、右側が検討しているモジュールを使った画像になります。
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基本調整・モジュール(写真1)
このモジュールの実態は単独モジュールではなく、複数モジュールを束ねて1つのモジュールに集約したものです。darktableには、2019年のバージョンアップで基本調整モジュールが作られるまで、自動調整現像機能がありませんでした。他のRAW現像ソフトでは、最初に、自動調整現像をして、その結果に不満な部分はマニュアルで修正するというワークフローが使えましたが、darktableでは使えなかったのです。この点では便利です。しかし、画像劣化をする可能性の大きなモジュールが含まれているので、使うべきではありません。写真1では、自動(auto)ボタンを使っていますが、右側の画像は露光が不足しています。
コントラスト 明るさ 彩度・モジュールはガンマ補正をかけるので、トーンカーブを変更することになります。ですから、シーン参照(RGBワークフロー)では、使うべきではありません。写真2のように、トーンイコライザーとカラーバランスで代替可能です。
注意:
鐸木能光(たくしみよみつ)さんは、ガンマ補正(コントラスト 明るさ 彩度)だけを使うべきであるといいます。これは、Jpeg補正に限れば、ガンマ補正(コントラスト 明るさ 彩度)だけを使うことは合理的な判断と思われます。Jpegでは、トーン・イコライザーは機能しません。正確に言えば、ゾーン別の補正は機能せず、露出モジュールと差がなくなります。
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シャドウとハイライト・モジュール
シャドウとハイライト・モジュールは著しく画像を劣化させます。この機能は、トーンイコライザーで代替可能なので、使うべきではありません。あえて、このモジュールを使う場合は、HDR風に画像を劣化させて強調する場合に限られると思います。
トーンカーブモジュールは、フィルミックRGBで作成した変換曲線に変更を加えるので、シーン参照(RGBワークフロー)では使ってはいけません。フィルミックRGBモジュールで代替されています。フィルミックRGBモジュールでカーブをしっかり設定してください。表示参照(ベーズカーブ)はこのモジュールを前提としているので、理解した上で使います。他のモジュールが、実質トーンカーブの変更として、機能することがある点も頭に入れてください。
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RGBレベル・モジュール
RGBレベル・モジュールは、シーン参照(RGBワークフロー)で使っても問題はありません。ただし、このモジュールが効果を発揮する場合は、RGBのスケールに大きな偏りがある場合に限られますので、常に使う必要はありません。
使用した写真は、「FREE RAW PHOTOS FOR EDITING」というサイトからダウンロードしたもので、特に、ライセンスの制限はないようです。
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FREE RAW PHOTOS FOR EDITING
https://www.signatureedits.com/free-raw-photos/