darktableでポートレートを写す(11)

ポートレート現像の注意点の整理(2)基本編2:禁止事項

ポートレート現像の注意点の整理の2回目です。

今回は、普通のRAW現像の説明では、説明されることのないシーン参照(RGBワークフロー)の禁止事項の説明です。なお、表示参照では、従来通り、以下のモジュールを使うこともできますし、画像劣化を減らす目的で、シーン参照(RGBワークフロー)と同様に以下の禁止事項を守ることも可能です。これを、書くと、非常に煩雑になるので、以下では、シーン参照(RGBワークフロー)を前提に説明します。表示参照(ベーズカーブ)を使う場合には、以下を参考に、禁止ではなく、メリット、デメリットを考えた判断をしてください。

禁止事項とは、前回説明しましたように、「古いモジュールが新しいモジュールに置き換わった後でも、過去の画像編集データを有効にするために、古いモジュールが残されます。このために、本来は使うべきでないモジュールが残っていることになります。」という問題の回避です。

複雑に見えますが、要点は、前回の復習です。


明暗の調整は、トーンイコライザー・モジュールを使い、他のモジュールを使わない。

色の調整は第1にはカラーバランスモジュールを使う。


この2つがわかれば、簡単です。

以下の比較画像では、左側がトーンイコライザーモジュールとカラーバランス・モジュールを使った画像、右側が検討しているモジュールを使った画像になります。

  • 基本調整・モジュール(写真1)

このモジュールの実態は単独モジュールではなく、複数モジュールを束ねて1つのモジュールに集約したものです。darktableには、2019年のバージョンアップで基本調整モジュールが作られるまで、自動調整現像機能がありませんでした。他のRAW現像ソフトでは、最初に、自動調整現像をして、その結果に不満な部分はマニュアルで修正するというワークフローが使えましたが、darktableでは使えなかったのです。この点では便利です。しかし、画像劣化をする可能性の大きなモジュールが含まれているので、使うべきではありません。写真1では、自動(auto)ボタンを使っていますが、右側の画像は露光が不足しています。

 

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写真1 基本調整・モジュール

 

  • コントラスト 明るさ 彩度・モジュール(写真2)

コントラスト 明るさ 彩度・モジュールはガンマ補正をかけるので、トーンカーブを変更することになります。ですから、シーン参照(RGBワークフロー)では、使うべきではありません。写真2のように、トーンイコライザーとカラーバランスで代替可能です。

 

注意:

鐸木能光(たくしみよみつ)さんは、ガンマ補正(コントラスト 明るさ 彩度)だけを使うべきであるといいます。これはJpeg補正に限れば、ガンマ補正(コントラスト 明るさ 彩度)だけを使うことは合理的な判断と思われます。Jpegでは、トーン・イコライザーは機能しません。正確に言えば、ゾーン別の補正は機能せず、露出モジュールと差がなくなります。Jpegの課題は、別途整理したいと思います。

 

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写真2 コントラスト 明るさ 彩度・モジュール

 

 

  • シャドウとハイライト・モジュール

    シャドウとハイライト・モジュールは著しく画像を劣化させます。この機能は、トーンイコライザーで代替可能なので、使うべきではありません。あえて、このモジュールを使う場合は、HDR風に画像を劣化させて強調する場合に限られると思います。

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写真3 シャドウとハイライト・モジュール

 

 トーンカーブモジュールは、フィルミックRGBで作成した変換曲線に変更を加えるので、シーン参照(RGBワークフロー)では使ってはいけません。フィルミックRGBモジュールで代替されています。フィルミックRGBモジュールでカーブをしっかり設定してください。表示参照(ベーズカーブ)はこのモジュールを前提としているので、理解した上で使います。他のモジュールが、実質トーンカーブの変更として、機能することがある点も頭に入れてください。

 

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写真4 トーンカーブ・モジュール

 

  • RGBレベル・モジュール

RGBレベル・モジュールは、シーン参照(RGBワークフロー)で使っても問題はありません。ただし、このモジュールが効果を発揮する場合は、RGBのスケールに大きな偏りがある場合に限られますので、常に使う必要はありません。

 

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写真5 RGBレベル・モジュール

使用した写真は、「FREE RAW PHOTOS FOR EDITING」というサイトからダウンロードしたもので、特に、ライセンスの制限はないようです。

  • FREE RAW PHOTOS FOR EDITING

https://www.signatureedits.com/free-raw-photos/