レンズの性能は、第1に物理特性で決まります。
レンズを通過する光は、光学の物理に従って移動します。
したがって、レンズの性能は、第1に物理特性で決まります。
これは、科学的な真実ですが、レンズレビューでは、物理特性ではなく、価格が高いレンズが性能がよいことになっています。
カメラとレンズメーカー、業界の利害関係者にとって、価格が安いレンズの性能が、価格の高いレンズの性能を上回る下剋上は望ましくないので、希望的な主張としては、理解できますが、科学的な真実ではありません。
同様に、クロップセンサーのカメラより、フルサイズセンサーのカメラの方が良く写るという主張も、下剋上はないという主張です。
センサーのピッチがせまいクロップセンサーのダイナミックレンジは、フルサイズセンサーのダイナミックレンジより狭くなります。
このため、ダイナミックレンジの大きなシーン(晴天野外など)では、フルサイズセンサーが有利になります。
しかし、ダイナミックレンジの狭い場合(曇天や普通の室内)では、差は出ません。
Fujifilmのカメラには、ISOを変えたマルチショット画像を合成して、ダイナミックレンジを拡大する機能が標準で付いています。
被写体が動いている場合には使えませんが、静止している被写体であれば、効果があります。
もっとも大きな問題発言は、クロップセンサーはボケないというものです。
この発言が出て来る原因には、クロップセンサーのメーカーの責任もあると感じます。
レンズの物理特性は、画角とF値で決まります。
クロップセンサーになると、フルセンサー画像の一部がクロップされます。
物理法則はこれだけです。
フィルム時代の標準レンズは、50mmF1.8か、50mmF1.4でした。
ボケの量は、一般には、50mmF1.8で十分です。
これより、被写界深度が浅くなると、AFが難しくなります。
50mmF1.8を使い込めば、ボケの量と被写界深度の関係を頭にたたき込めます。
そのあとで、より広角、より望遠のレンズを使う場合には、50mmF1.8のズレを考えながら、撮影すればよいことになります。
カメラのレンズの物理法則の基準は、50mmF1.8です。
ところが、カメラメーカーは、換算画角でレンズを説明しています。
換算画角は、物理法則を無視しているので、ボケ量の混乱が起こります。
写真は、TTArtisan 35mm f/1.4で撮影しています。35mmF1.4でも、ボケが得られます。