1)ボケ
写真にボケが必要かは、議論が分かれます。
日本では、以前から、ボケが好きな写真家が多く、ボケが多用されています。
海外で、ボケが多用されるのは、今世紀に入ってからで、ボケはBokehと日本語が英語になっています。
写真のボケ具合は、F値、レンズの画角(焦点距離)、カメラと被写体の距離、被写体とボケるものとの距離できまります。
距離を変えなければ、ボケの量は、F値が小さい方が、画角が望遠側の方が大きくなります。
APS-Cのようなクロップセンサーのボケの量は、フルサイズセンサーのカメラよりボケ量が小さくなりますが、クロップセンサーのカメラの画角が、フルサイズより広角になるためです。
小さいF値、望遠、大きなセンサーが、ボケ量を増やす原則です。
たとえば、オリンパスの望遠ズームで、150㎜F2.8で撮影した画像は、換算画角は、300mmになりますが。ボケの量は、フルサイズの150㎜F2.8と同じです。フルサイズの200㎜F2.8よりは小さくなります。
m4/3のオリンパスのF2.8の望遠ズームの画角は、40-150mmです。フルサイズのF2.8望遠ズームの画角は、70-200mmです。m4/3の望遠ズームレンズでは、フルサイズの150-200mmF2.8の部分のボケは表現できません。ただし、m4/3にすることで、レンズは小型、軽量、安価になります。歪みの出やすいレンズの周辺部分はクロップセンサーでは使いませんので、レンズは高性能になります。一方では、センサーサイズが小さくなるので、ダイナミックレンジが狭くなります。
以上が、ボケの一般論です。
2)丸ボケ
今回のテーマは丸ボケです。
丸ボケには、ボケの光源があります。
光源をうまく画角にいれれば、F値、望遠、大きなセンサーでなくとも、ボケをつくることができます。
入門用のAPS-Cのクロップセンサーのカメラのレンズは暗いです。
キヤノンのKiss M/M2のEF-Mマウントの場合、F2未満のレンズは、純正では、32㎜F1.4だけです。
オリンパスのようなF2.8通しの望遠ズームはありません。
望遠ズームは、EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STMとEF-M55-200mmF4.5-6.3 IS STMの2本だけで、どちらも、望遠端ではF6.3になります。
オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROは、760gあります。
EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STMは、300gで、EF-M55-200mmF4.5-6.3 IS STMは、約260gです。
260gで、200㎜までの望遠で、重量がオリンパスの3分の1ですから、F値にはこだわらずに小型化して、露光不足は、ISOをあげて対応する設計コンセプトです。
Kiss M/M2は、操作系が全てカメラの右側にあり、片手で操作できます。
Kiss M/M2は、フルサイズと比べて、画質を問題にするカメラではなく、小型の機動性を使って、シャッターチャンスを生かすカメラです。
フルサイズと比べると画質が劣りますが、フィルム時代のカメラの水準は超えていますから、良い写真が撮れるか否かは、カメラマンの腕次第です。
写真1は、EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STMの150㎜の写真で、左がF6.3、右がF13です。
丸ボケの場合には、F6.3 でも、F13でも、ボケは入ります。
違いは、丸ボケの丸の大きさです。
わざわざ、F13まで絞る人はいないと思いますが、丸ボケについては、F6.3 の暗いレンズでも、十分なボケを得ることが可能です。
なお、EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STMについては、ダブルズームレンズが1本になっただけ、150mmの焦点距離で比べるとEF-M55-200mmF4.5-6.3 IS STMの方が、明るいレンズという評価がなされることが多いです。
しかし、EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STMは、EF-M15-45mm F3.5-6.3IS STMとEF-M55-200mmF4.5-6.3 IS STMの込み合わせと比べると、画質が各段によいです。
通常は、ダブルズームレンズが1本になると画質が劣化しますので、これは、驚きでした。