デザイン思考対帰納法

(このブログの正しさについて説明します)

 

1)ブログの正しさ

 

ブログを書き始めて3年が過ぎました。

 

半年前までは、出来るだけ間違いを書かないようにしようと、帰納法を使っていました。

 

しかし、帰納法では、仮説の検証はできません。

 

帰納法を使ったから、間違いでないとはいえない訳です。

 

アブダクションを使わないで、帰納法を使えば、仮説が制約され、デザイン思考ができなくなります。

 

実際に、間違いをしないように心がけた帰納法を使った時代のブログでは、デザイン思考ができていませんでした。

 

世の中には、ネット上には、フェイク情報があふれているので、フェイクは取りしまって、正しい情報に修正すべきだという人もいます。

 

エビデンスについては、フェイクの判定がある程度できます。

 

修正した写真か、修正していない写真家といった区別です。

 

しかし、仮説については、正しいか、否かの検証は困難です。

 

基本的に、1つの記事の中で、完結した仮説の検証はできないと言えます。

 

逆に言えば、仮説は、間違っているか否かを気にしないで、作ってみることが大切です。

 

という訳で、ここ3か月は、仮説(思ったこと)を、ストレートに書いています。

 

ブログに書いている仮説は、検証が済んでいませんので、筆者自身も、正しいか否かはわかりません。

 

状況証拠のデータを見る限り、仮説は成り立ちそうに見えるということです。

 

もちろん、仮説は、間違いが見つかれば、訂正してグレードアップすべきものです。

 

ただし、グレードアップするには、スタートの仮説が必要なので、スタートの仮説が間違っていることがわかっても、その仮説に、価値がなかった訳ではありません。

 

ここで書いている仮説は、読者がデザイン思考をする頭の体操になれば、それで十分価値があると考えます。

 

2)参考例

 

内閣府が2024年1月15日に発表した2023年10月から12月のGDPの実質成長率は前の3カ月と比べてマイナス0.1%で、年率換算でもマイナス0.4%と2期連続でマイナス成長となりました。

 

因果モデルで考えれば、経済成長原因は、生産性の向上であり、付加価値の増加です。

 

生産性の向上には、同一企業内の生産性の向上と産業間労働移動があります。

 

産業間労働移動の方が、生産性の向上効果が大きくなります。

 

介護労働力が不足するので、介護をロボットで行なえば、ロボットと行なう介護は、IT産業になり、介護かた、IT産業に労働移動が起こることになります。

 

全自動介護ロボットが、難しいと主張する人は、帰納法に汚染されて、デザイン思考がきなくなっています。

 

全自動介護ロボットをつくることは、イーロン・マスク氏の火星に人類を送り込む計画に比べて、はるかに難しいとはいえません。イーロン・マスク氏は、火星に人類を送り込む計画よりも容易な自動車の全自動運転で、ある程度の成果をあげています。

 

経済成長に必要な条件は、産業間労働移動による生産性の向上です。

 

それよりも、効率の低い同一企業内の生産性の向上を選択する理由はありません。

 

さて、「GDPの実質成長率が、2期連続でマイナス成長」となった原因について、マスコミは、有識者の意見を取り上げています。

 

これは、権威の方法です。

 

有識者の意見には、次のようなものが見られました。



企業は足元の収益確保のために賃金を抑制し、設備投資を行なわなかった結果、生産性を高められず、消費の停滞や物価の低迷、日本経済が停滞した。

 

20年以上のデフレとの戦いは終わりつつある。30年ぶりの水準となった賃上げ、設備投資、株価など明るい兆しが随所に出てきている。この流れをさらに加速させて所得増と成長の好循環を実現することが重要だ。

 

ここには、3つの要因があります。



第1は、設備投資を行なわなかった結果、生産性があがらなかった点です。

 

しかし、仮に、設備投資を行っても、産業間労働移動による生産性の向上がなければ、効果は小さいはずですが、その指摘はありません。

 

デジタル社会へのレジームシフトという視点が、日本国内の議論では、まったく欠けています。

 

第2に、デフレが、経済成長の原因であるという指摘です。

 

これは、2つの点で間違っています。

 

因果モデルで考えれば、インフレは、経済成長の結果であって、原因ではありません。

 

さらに、インフレかデフレかという議論は、市場が成立している前提の経済学の議論ですが、労働市場がないので、これは使えません。

 

第3は、この労働市場がないことです。

 

これは、「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」という部分に対応します。

 

労働市場があれば、「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」することは不可能です。

 

労働者は、賃金の安い企業から、賃金の高い企業に移動します。

 

「企業は足元の収益確保のために賃金や投資を抑制」出来るのは、年功型雇用で、労働市場がないからです。

 

これでは、インフレになっても、賃金は上がりません。

 

つまり、「所得増と成長の好循環の実現」は、ありません。

 

実際に、春闘が満額回答であっても、定期昇給分を除いた実質では、賃下げになります。

 

年功型雇用で、労働市場がないので、インフレターゲットが無謀であることは、白川前日銀総裁が指摘しましたが、安倍政権は、これを無視しました。

 

また、現在起こっていることは、よいインフレではなく、スタグフレーションである可能性が高いですが、スタグフレーションのリスクに言及している人は少ないです。

 

さて、以上のように、権威の方法に従うよりも、デザイン思考で、見落とされている原因をチェックする方が、有効な解決につながります。

 

経団連は、自民党の政策を支持しています。

 

経団連参参加の企業は、法人税の引き下げと円安によって利益を得ています。

 

経団連参参加の企業は、自民党献金しています。

 

経団連参参加の企業は、パーティ券を購入した可能性が高いと思われています。

 

この状況証拠からみると、「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」したのは、経団連参参加の企業が、自民党と連携して行なった経営に見えます。

 

磯山友幸氏は、「財界は政策を金で買っている」といい、「企業団体献金が税制優遇に結び付くなど政策をゆがめているとの東京新聞の指摘に対して、十倉会長が「世界各国で同様のことが行われている。何が問題なのか」と発言したことを引用しています。

 

<< 引用文献

自民党「裏金」問題はパーティー券を「買う側」の問題に行きつく。問われる財界の姿勢

2024/02/15 現代ビジネス 磯山 友幸

https://gendai.media/articles/-/124305?imp=0

>>

 

株式会社は、利益を追求しますので、企業には、違法でない範囲で、色々な経営を選択する自由があります。

 

しかし、この選択には次の問題点があります。

 

第1に、企業が利権で動けば、これは市場経済の否定になり、資本主義を否定していることになります。

 

第2に、汗をかいても成功率が10%未満の技術開発をするより、成功率が100%の利権で補助金をとってくる経営をする人が社会政治で昇進すれば、技術開発をする人は誰も居なくなります。

 

高度人材は、GAFAMに流出していますが、経営のトップが、十倉会長のような方針の企業には高度人材はいなくなります。

 

十倉会長は「世界各国で同様のことが行われている」といっていますが、シェルのように、政治的中立を保つことを経営の基本にしている企業もあります。

 

円安、減税、補助金に依存する経営をすることは、この3点セットが通用しない海外市場での成長を目指す世界企業としての経営を放棄することになります。

 

これは、株主の利益になりません。

 

過去30年の日経平均S&Pの平均を比べると、明らかに優位な差があります。

 

1990年頃、世界企業のベスト100に入っていた日本企業は、現在は、トヨタ自動車を除いて、ランク外になりました。

 

この差が、経営者の経営方針が原因で生じていると考えられる場合には、日本株に投資する合理性はないと思われます。

 

「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」したのは、経団連参参加の企業が、自民党と連携して行なった場合を考えます。

 

政治家は、「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」したことが、経済成長しなかった原因であるといいます。

 

しかし、政治家自身が、献金をうけた企業とつるんで、企業の足元の収益確保のために賃金の抑制を推進していたとすれば、「企業は足元の収益確保のために賃金を抑制」したことが、経済成長しなかった原因であるという発言は、建前に過ぎません。

 

読者は、本音を推測することができます。

 

推測される本音をここにはかきませんが、これは、ブラックジョークの世界です。

 

企業への補助金や減税は、赤字国債で賄われています。

 

ジム・ロジャーズ氏は、「日本が抱える借金(赤字国債、筆者注)を考えれば、(今後)どんなに稼いでも税金として返済にあてられるだけであり、これでは経済成長ができるわけがない」といいます。 

 

<< 引用文献

ジム・ロジャーズ氏「人口減少、高齢化、借金大国…日本が豊かさを取り戻すのに必要なもの」2024/02/15 現代ビジネス ジム・ロジャーズ

https://gendai.media/articles/-/123404?imp=0

>>

 

株価が変動すれば、利益を上げられる投資家がいるので、短期的には、日本株は、上がることがあります。

 

しかし、中期的には、海外展開をしている国際企業を除けば、ジム・ロジャーズ氏の発言は日本株には魅力がないといっているように聞こえます。